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未来創造変革プロジェクト

Project 02

WVAM

ローラブルな建築、編む建築を目論む

#Reconstruction #リコンストラクション #編み物 #巻物 #折り紙 #再生

WVAM はReuse、Reduce、Recycle の発展した概念としてのReconstruction を表したコンセプトモデルである。
空き瓶などのReuse は同じ形にしか再生できない。また空き缶などのRecycle では熱という大きなエネルギーを使わなければいけない。一方でWVAM は編んで形作ったものを解いて、違う形を編み上げることで全く新しい形に再生できる。また解くときにはほとんどエネルギーを消費しない。このように様々な構造の元となり、なおかつ再利用にエネルギーをほとんど使わない素材は次の時代に必要とされるのではないだろうか。

WVAM は計算されたスリット構造であるLiving Hinge とOrigami の折り方で構成されており、Living Hinge の構造や折り方を最適化すれば樹脂だけでなく金属など、どのような材料にも適用できる。この特殊な構造を持ったWVAM はコンパクトな巻物(Roll) の状態から長い紐(String) の状態へ変化し、また元に戻ることが可能である。また紐の状態で編み上げることによって、家などの構造物(Structure)を作ることができ、この構造物は紐を解くことで紐、さらには巻物に戻すことができるため、必要な時・必要な場所で家を建てることができ、不必要な時はコンパクトにしまっておくことができる。つまり巻物(Roll)⇔長い紐(String)⇔構造物(Structure) を自由に行き来できる素材・コンセプトがReconstruction である。

ロール状に巻かれた端を引き出すと、自ら中空の筒状の紐へと変化する。その紐は編み込まれ、様々な形に変化した後、解かれ紐から元のロールへと戻すことができる。素材そのものではなく材料力学で柔らかさを実現させている。それにより、編むことが出来るほどに柔らかく、編んだ時に中空が潰れてしまうことなく構造としても機能できる可能性を残している。将来、建築できることを目論んだ。災害時に物資が不足し、輸送もままならない状況においてローラブルな建築物は無比に有効と考えている。自身のみが資材となり、その資材はローラブル(巻き取ることが出来る)でポータブル(持ち運べる)。また、その製作方法“編む”は極めてシンプルだ。

ある程度硬質な素材を使用して、編むことが出来るぐらいの柔らかさと、筒状になったときの強度を実現するために、Living Hinge のデザインを幾度となく調整した。
紐は編み込むことで、どんな形にも変化する。そして、また、解くことで紐から元のロールへと戻すことができる。
自立できる箱状(家状)のものへと編み込むことが当面の目標。釘はおろか、自身以外の何も必要としない建築が可能となる。

起案者 Drafter

村中 亮

幸 俊彦

Toshihiko Saiwai

三菱マテリアル株式会社
イノベーションセンター

金属材料を専門としており、三菱マテリアル入社後は、多孔質金属や金属3D プリンターの研究に携わった。自然の力が織りなす形状を有する多孔質金属と、幾何学的な構造が連続する金属3D プリンターを融合して世の中にないものを作りあげたい。また、金属3D プリンター(Additive Manufacturing)は従来の切削などの加工法(Subtractive Manufacturing)と比べて少ない材料で形作ることができるため、省資源・省エネルギーという観点でも魅力的だ。