Project 01
K14
ケルビン 14 面体モチーフの家具
#ケルビン 14 面体 #皮膚細胞 #新陳代謝 #生産と廃棄

皮膚細胞は、様々な刺激に対するバリア性を維持しつつ、新旧細胞の世代交代を処理する。皮膚細胞が受ける様々なインプットに応答するために適した細胞形状が多面体(扁平なケルビン14面体)なのであろう。我々の無意識下に繰り返されるミクロスケールの新陳代謝では、細胞の生産と廃棄の均衡が肝要である。自然のプロセスでは大きな偏りは望ましくないことが多い。マクロスケールで新陳代謝を考えてみると、地球における物質循環やリサイクルといったキーワードが思い浮かぶのではないか。産業革命以降、人類は経済合理性の名のもとに、大量生産・大量消費・大量廃棄の価値観・行動を進め、結果的に自然界の均衡を乱している。これらの古い価値観・行動を新陳代謝させ、新たな社会を構築できる可能性を秘めた存在は、21世紀に生きる我々以外に存在しないだろう。
本作品では、身近に存在する新陳代謝の象徴として皮膚細胞に着目し、その形状であるケルビン14面体をモチーフとする椅子を製作した。本作品に触れ、自然界のエレガントなデザインを楽しむとともに、我々が行動する方向性を意識頂けたら幸いである。



ケルビン 14 面体を応用した細胞の形とその規則正しい配列は、皮膚が数理的に効率の良いデザインを選択したことを示唆する

- ・1 日 50 億個の皮膚細胞が剥がれ落ちる
- ・皮膚細胞は平たいケルビン 14 面体形状
- ・細胞同士はお互いに組み合わさる規則正しい構造
- ・細胞は決められた順番で入れ替わる
- ・新しいバリアができた後で古いバリア消失
起案者 Drafter

村中 亮
Ryo Muranaka
- 三菱マテリアル株式会社
- イノベーションセンター
三菱マテリアル株式会社へ入社後、コンピューターシミュレーションのエンジニアとして、半導体向け部品や社内の塑性加工プロセスの評価・検討に従事してきた。デザインや芸術を学んだ経験はないが、幼い頃から直線や対称形、整列された対象物に親しみを感じてきた。本作品では、ボール紙で製作した多面体模型を組み合わせながらイメージを膨らませ、三次元CADを活用し、多面体で構成された椅子のコンセプトモデルを完成させた。 2児の父として、地球環境に問題意識を感じており、自然とテクノロジーの調和や融合に興味がある。今後も自然界に存在するエレガントなデザインを社会実装することに関心を持ち続け、多面体の可能性を模索していきたい。