目指す姿に向かう道筋
中期経営戦略2030
私たちが2030年に向けた目指す姿、
「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」。
その実現のために私たちが歩むべき道筋をまとめたものが、
中期経営戦略2030(中経2030)です。
私たちが2030年に向けた目指す姿、
「人と社会と地球のために、循環をデザインし、
持続可能な社会を実現する」。
その実現のために私たちが歩むべき
道筋をまとめたものが、
中期経営戦略2030(中経2030)です。
資源循環の拡大、
高機能素材・製品供給の
強化による成長
20世紀以降、社会では大量生産・大量消費・大量廃棄の経済システムが定着しました。その結果、近年では資源の枯渇や地球温暖化など、さまざまな問題が地球規模で発生しています。これらの問題を解決していくことが、社会では求められています。
では、限りある資源を人と社会と地球のために無駄なく使うにはどうしたらよいか。その手段として、循環型経済に注目が集まっています。再生・再利用しやすい製品の設計、製品の長寿命化、モノを共有する仕組みなどに加え、今まで活用されていなかった廃棄物を新たな資源と捉え、循環させていくことが、持続可能な社会をつくる上で欠かせません。
当社はこうした考えを「循環をデザインする」という新たに制定したビジョンに込めて、これからの事業に取り組むことにしました。そして、その実現のために私たちが歩むべき道筋を戦略としてまとめたものが、中経2030です。
8年におよぶ中経2030は、大きく2つのフェーズで構成されています。2023年度から2025年度までのPhase1と、2026年度から2030年度までのPhase2です。これは当社を取り巻く市況や事業機会をもとに設計されています。
Phase1のポイントは「競争力強化」です。利益成長・収益性改善を進めるとともに、資源循環など中長期的な成長が見込める領域への投資を積極的に実行していきます。
Phase2におけるポイントは「事業拡大」です。対象領域の拡大やさらなるグローバル展開により、事業規模の拡大を図ります。
当社にとっての
事業機会
資源循環の拡大
需要が高まる銅を中心とした金属資源循環のためのリサイクル率アップやxEV化の加速によるLIBなどの新規領域へのリサイクル対応が必要
高機能素材・
製品供給の強化
自動車のxEV化需要、航空宇宙での高機能材料、半導体における製品高度化への対応が必要
資源循環の拡大
需要が高まる銅を中心とした金属資源循環のためのリサイクル率アップやxEV化の加速によるLIBなどの新規領域へのリサイクル対応が必要
高機能素材・
製品供給の強化
自動車のxEV化需要、航空宇宙での高機能材料、半導体における製品高度化への対応が必要
Phase1
2023年度--2025年度
競争力強化
コスト競争力強化に基づく利益成長・収益性改善と、
資源循環などの中長期の成長領域へ投資
Phase2
2026年度--2030年度
事業拡大
対象領域の拡大、海外を含む地域展開による事業規模の拡大
-
金属資源循環の強化、金属・環境リサイクル事業統合による促進
(E-Scrap処理の強化、LIB、xEV素材やタングステンの再資源化、伸銅品リサイクル強化) -
半導体、xEVなどの成長市場に対する製品供給、超硬工具・タングステン事業の拡大
-
地熱発電などの再生可能エネルギー事業の推進
(2050年度再生可能エネルギー電力自給率100%に向けた取り組み) -
カーボンニュートラル実現(2045年度)に向けたGHG削減施策の実行
金属事業
金属材料の安定供給で、
産業発展に貢献していく
資源事業
銅をはじめとする金属資源は将来、需要と供給のバランスが崩れる可能性があります。特に銅は、脱炭素社会の実現に欠かせない素材として需要が増えていますが、実は鉱山からの供給量減少も予測されています。
そこで当社は、今ある金属を繰り返し使い続ける「金属資源循環」に取り組むことで、金属資源を安定供給し、日本の産業や社会の発展を支えています。また、クリーンな金属資源を調達するため、チリのマントベルデ鉱山などの海外銅鉱山への投資も展開しています。
2030年度目標
非鉄金属の
資源循環におけるリーダー
-
権益保有鉱山からの銅精鉱確保量50万t以上
-
電気銅(含SX-EW)供給体制の確立
事業戦略
2023年度--2030年度
-
銅鉱床に含まれる希少資源の確保・回収に向けた技術開発の推進
-
継続的な鉱山投資による権益の獲得と銅精鉱の安定確保
-
銅鉱山でのSX-EWによる銅供給量の拡大
重要施策
2023年度--2030年度
-
Mantoverde硫化鉱プロジェクトの推進(コバルト回収等の新規技術開発を含む)
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中規模銅鉱山への新規参画
-
銅鉱山における湿式製錬への参画
-
銅精鉱確保量現状15万t⇒2030年度には50万t以上へ
(直島・小名浜製錬所の銅精鉱処理量の約10%⇒約30%)
銅の需要増加が続く中、銅精鉱の安定確保を目指します。権益保有鉱山からの確保量を2030年度までに3倍以上に拡大させるほか、中規模銅鉱山への新規参画も重要施策と位置付けています。鉱業技術研究所では希少資源の確保・回収のために、新たな技術の開発を進め、資源技術を高度化させます。
製錬・資源循環事業
独自開発した高効率で無公害な製錬法「三菱連続製銅法」で製錬することにより、高品質な金属素材を生産しています。使用済みの家電や自動車などを分解し、新たに金属資源として再生産する、金属資源循環の拡大にも取り組んでいます。
2030年度目標
非鉄金属の
資源循環におけるリーダー
-
非鉄金属の資源循環におけるメジャー、かつ最先端の事業者
-
E-Scrapに限定しない非鉄金属資源を含むリサイクル品の処理拡大
-
世界トップクラスの電気銅供給能力をもとに資源循環ループの中でコアサプライヤーになる
事業戦略
2023年度--2030年度
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資源循環の推進に向けたネットワーク強化・規模拡大
-
電気銅生産能力の拡大
-
E-Scrap類の処理拡大によるリサイクル率アップ
-
レアアース、レアメタルリサイクル事業の創出
-
国内および海外展開の加速(E-Scrap、家電、自動車リサイクル)
LIBリサイクル
-
「LIBから電池材料までの一貫したリサイクルプロセスを早期に開発」、
「E-Scrapビジネスを通じて構築したネットワークを活かしたブラックマス※1の集荷」、
「ブラックマスからの炭酸リチウム、硫酸コバルト、硫酸ニッケルの高効率回収」により
グローバル競争力を確保 -
廃自動車からのLIB回収(①)および他社との協業によりブラックマス処理の事業化(②)、
さらに前駆体/正極材製造まで展開(③)することで当社事業E-Scrap類の処理能力を領域を拡大


世界に誇る製錬技術や電気銅生産能力を活かし、非鉄金属のリサイクル処理拡大を目指します。中でも、xEVの浸透により廃棄量増加が見込まれるLIBのリサイクルに取り組みます。そのリサイクル工程で製造されるブラックマス(※)に含まれる、希少な金属を回収・精製するための技術開発も進めています。
※ブラックマス LIBを熱処理した後に得られる粉体
高機能製品
高機能素材・
製品の力で応える
銅加工事業
xEV市場の拡大、再生可能エネルギーへのニーズの高まり、医療の高度化などにより、グローバルで需要が拡大している伸銅品。当社は製錬で製造した電気銅を原料に、型銅から条、板、棒まで、お客さまのニーズに合わせた幅広い伸銅品を製造しており、国内シェアNo.1を誇ります。また、その需要の高まりに応えるべく、生産能力の増強に向けた投資を行っています。
2030年度目標
グローバル・ファースト・
サプライヤー
-
国内:最大サプライヤーとして国内No.1伸銅品メーカーの圧倒的な地位を確立
-
海外:合金開発力をベースにしたキーアカウント(KA)戦略の強化
事業戦略
2023年度--2030年度
-
伸銅品リサイクル率を向上し、スクラップのプラットフォーム基盤を確立
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海外(Luvata社):成長市場(xEV、医療、環境)への迅速な参入
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国内工場をマザー工場と位置づけ、海外に新たな川下工場を検討し、海外顧客への拡販、サービスを強化
当社の強みである高機能合金などの生産能力増強を進め、xEVをはじめとする成長市場の進化を支えるとともに、国内最大サプライヤーとして圧倒的な地位の確立を目指します。海外においても、「次世代鉛フリー快削黄銅GloBrass®」の独占的ライセンス権を付与した当社グループのLuvata社と協働することで、さらなる事業拡大を図ります。また、伸銅品のリサイクル率を向上させることで、GHG削減にも貢献していきます。
電子材料事業
私たちの生活に欠かせない、パソコン、スマートフォン、自動車、家電といったIT・エレクトロニクス技術の進歩を支えるべく、当社独自の材料を活かしたユニークで付加価値の高い製品を提供しています。半導体製造装置用のシリコン加工品、シール製品、半導体電極用の低α線はんだめっき液、自動車用のサーミスタセンサや熱線カット塗料など、その製品ラインナップは幅広く、世界シェアNo.1の製品も複数有しています。
2030年度目標
グローバル・ファースト・
サプライヤー
-
半導体、xEV市場を中心に、コンセプト・インによって付加価値を高めた製品・ソリューションの提供
-
市場からなくてはならない存在となり、認知され、持続的に成⾧する高収益事業体
事業戦略
2023年度--2030年度
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事業ポートフォリオの継続的な組み換えによる高資本効率経営
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成⾧領域の注力製品への戦略投資
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新規事業創出や事業提携の推進およびそのための人材育成と確保
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ものづくり力とDXの強化による生産高度化、稼ぐ力の追求
-
カーボンニュートラルに向けた事業、社会的価値(SDGs)の提供
新規事業創出のため、事業部全体を横断する研究開発体制を構築すべく2023年4月に半導体新事業開発センターを立ち上げ、特に半導体周辺材料・部材に関する新事業や新製品探索を加速しています。
加工事業
世界のものづくりの
力になる
加工事業
自動車や航空宇宙、医療、金型、衛生など幅広い産業のものづくり現場で使用される超硬工具を提供しています。
また、使用済み超硬工具を回収し、希少金属であるタングステンを原料としてリサイクルすることで循環型社会の構築に貢献しています。
2030年度目標
グローバルで顧客が認める
タングステン製品の
リーディングカンパニー
-
卓越した技術のタングステン製品とソリューションを世界のものづくり現場に提供する
-
基幹事業である超硬工具に加え、タングステン事業とソリューション事業を収益の柱とする
事業戦略
2023年度--2030年度
戦略市場で自律した
事業展開を目指し、
真のグローバル企業へ変革する
-
素材とコーティング技術の強みを活かした高効率製品を世界No.1品質で安定的に提供(超硬工具事業)
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超硬工具向けに加え、二次電池向け等に事業規模を拡大(タングステン事業)
-
環境対応力の強化(タングステン事業)
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ものづくり現場へのコト売りを事業化(ソリューション事業)
当社独自の素材とコーティング技術という強みを活かし、難削材・新素材加工分野への取り組みを強化。使用済み超硬工具を回収し、タングステン原料へリサイクルする体制を強化することで循環型社会に貢献します。
また、グループ会社である日本新金属社のリサイクル処理能力を増強することで、原料の安定供給も実現。グローバルに展開するテクニカルセンターとデジタル技術を活用し、幅広い加工ソリューションサービスをお客様に提供します。
再生可能エネルギー事業
地熱・水力発電で培った知見を
社会のために
再生可能エネルギー事業
地球の限られた資源を大切に使うこと、そしてよりクリーンなエネルギーでサステナビブルな社会を構築することは人類共通の大きな課題です。当社は持続可能な社会を実現するため、地熱発電をはじめ、太陽光発電、水力発電などの再生可能エネルギーの活用を進めてきました。2050年度の目標として、現在の発電量の3倍以上であり、当社の消費電力量に匹敵する発電量の創出を目指しています。
2030年度目標
再エネ電力自給率100%に向けた再エネ発電の拡大
-
地熱発電事業の更なる拡大
-
事業領域の拡大(風力発電、発電関連事業)
事業戦略
2023年度--2030年度
再生可能エネルギー事業を
全社的な取り組みとして
戦略本社に集約し、
⾧期的な視野で事業の拡大を推進
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事業の拡大に向け、3年に1箇所のペースで新規開発を実施(地熱)
-
将来的に発電コスト低下が見込まれる風力発電への新規参入(風力)
再エネ発電の拡大
-
2050年度の当社消費電力に匹敵する発電量を目指して、地熱発電開発体制の構築と事業拡大を加速、風力を中心に新規再エネ発電への展開

