
当社グループの事業競争力強化・新事業創出のため、顧客から信頼される研究開発から量産化(事業化)まで、完結できる組織を目指し、開発戦略部がコーポレート開発を担っています。
開発戦略部では、全社経営方針「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」の実現に向け、サーキュラーエコノミーおよびGHG削減に関する技術/事業開発にリソースを集中し、未来の三菱マテリアルグループの資源循環事業の発展・成長に貢献します。


社内にとどまらず世界に広がる技術・市場・人材の知を積極的に収集し、当社グループの強みである技術を、論文や試作に留めることなく、社会や顧客に価値をもたらす形として具現化します。その成果を事業部や拠点、次なる成長領域へとつなげることで、三菱マテリアルグループ全体の持続的成長を支えます。
法令・ルールを遵守し、常にフェアであることを前提に、社内外のパートナーに敬意を払いながら、既存領域にとらわれない"境界"へ挑戦し続けます。
最先端の技術を創出・獲得し、トップクラスの技術力を維持するとともに、全社・グローバルの視点で社会課題と顧客価値に向き合い、世界に貢献する技術・事業の創出を目指します。
一人ひとりが自身の専門性・技術力を磨き続けて仕事の軸とし、分野の違いを越えて対話を重ね、既存の改善や研究にとどまらない、新しい価値・仕組みを生み出します。
事業部連携やオープンイノベーションにより、アイデア創出・事業化検証・事業化を加速させます。
サーキュラーエコノミー(CE)およびGHG削減分野において、新規事業・新技術を創出する
リサイクルやGHG削減技術の基盤を強化する
CEに貢献する新たなマテリアルを創出する
オープンイノベーションの活用による新規事業創出を推進する
三菱マテリアル株式会社は、2022年9月に東京科学大学(当時:東京工業大学)に設置された「三菱マテリアル サステナビリティ革新協働研究拠点」における共同研究の成果として、当社のマテリアルズインフォマティクス(MI)技術を活用し、新規光触媒材料(光を吸収して化学反応を促進する物質)の特性を向上させる添加元素の探索を行い、新たな可視光応答型光触媒材料の創出に成功しました。本成果は、米国の国際的な学術雑誌である「Journal of the American Chemical Society」誌に掲載されました。
※マテリアルズインフォマティクス(MI)とは:膨大なデータとAI技術を用いて、材料の性質や有望な組成を高速に予測し、新材料の探索・設計を効率化する手法です。従来の試行錯誤型研究に比べ、研究期間を大幅に短縮できる点が特長です。
このたびの共同研究では、当社のMI技術により、多数の添加元素候補から光触媒の性能向上が見込まれる元素を効率的に選定。その結果得られた元素を基に東京科学大学が合成した材料において、可視光照射下での水分解による水素生成反応の光触媒特性が大幅に向上することを確認しました。
本成果は、MIを活用した材料探索の有効性を示すとともに、従来の試行錯誤型研究に比べ大幅な効率化を実現したものです
本研究は水素の利活用技術の一つとして、将来的には人工光合成システムへの応用が期待されます。研究成果については、東京科学大学と共同プレスリリースを発表しています。
詳細は以下より参照ください。
東京科学大学、三菱マテリアル共同プレスリリース
URL:https://www.isct.ac.jp/ja/news/jdmhtu6yr3mh
当社は今後もMI・デジタル技術の活用を推進し、高機能材料の迅速な探索・開発を進めます。さらに、大学や研究機関との共創を強化し、社会課題の解決に資する革新的材料の創出を加速してまいります。
線路脇に敷設されている信号ケーブル
有機溶媒によって膨潤した電線剥離の様子
湿式剥離法による剥離後の銅線と被覆材
国立大学法人東北大学(以下、東北大学)、東急株式会社(以下、東急)、東急電鉄株式会社(以下、東急電鉄)、三菱マテリアル株式会社(以下、三菱マテリアル)の4者は、鉄道事業で発生する使用済みケーブルのリサイクルに関する研究開発(以下、本研究開発)を2025年4月1日(火)から開始します。なお本研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の令和7(2025)年度環境研究総合推進費に採択され、2028年3月までの3年間実施するものです。
本研究開発では、現状廃棄されている東急電鉄の電気設備のケーブルや線路脇の信号ケーブルをモデルケーブルとして、東北大学が主導して三菱マテリアルと共に開発してきた湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与)※を応用し、銅線と被覆材に剥離する新たな湿式剥離法(以下、本技術)を開発します。今回対象となるケーブルは、鉄道独自の外環境に耐えられるよう強度に優れている一方で、被覆線は細く、既存の被覆線処理技術では銅線と被覆材それぞれを高純度に選別することが困難なため、使用済みケーブルからのリサイクル可能な資源として回収できる素材は限定的です。東急電鉄では、このような使用済みケーブルが年間で平均約10t発生しています。本技術により回収した銅線と被覆材を使用して、東急電鉄をはじめとする、鉄道業界で使用する再生ケーブルとしてリサイクルすることを目指し、さらには、リサイクルによるCO2排出削減量および経済効果を定量化することで、将来の鉄道業界への波及効果を検証します。
本研究開発は、被覆線の湿式剥離法に関する研究・技術開発を先導してきた東北大学、脱炭素・循環型社会の実現に向け2022年3月に「環境ビジョン2030」を策定し、2030年までに廃棄物量10%削減を目指す東急、鉄道事業を通じて脱炭素・循環型社会の実現に向け、事業特性を活用した新たな価値創造・貢献などにより環境・社会課題の解決を目指す東急電鉄、銅をはじめとする非鉄金属の高度な製錬およびリサイクル技術を有する三菱マテリアルの、4者連携により実現しました。
本研究開発を通じて、鉄道事業のケーブルが再生ケーブルとしてリサイクル可能となり、将来的には鉄道業界、さらには他業界にも展開することで、可能な限り廃棄物を減らし、循環する仕組みの確立を目指します。
三菱マテリアル株式会社(以下、「MMC」)と株式会社エネコートテクノロジーズ(本社:京都府、以下、「エネコートテクノロジーズ」)は、ペロブスカイト太陽電池を構成する電子輸送層の研究開発に共同で取り組み、従来比約1.5倍の発電効率を実現する塗布タイプ成膜用インクを開発しました。
近年、ペロブスカイト太陽電池は高効率で低コスト、さらに軽量・柔軟性を持ち、設置が難しかった場所にも対応できることから、再生可能エネルギー分野で注目されています。従来課題とされていた耐久性や安定性も技術の進展により向上しており、次世代の太陽電池として商業化に向けた取り組みが積極的に行われています。
ペロブスカイト太陽電池には、積層する材料の違いから「順型構造」と「逆型構造」の2つの構造があります。製造の簡便さや耐久性の理由から「逆型構造」が注目されていますが、この構造ではペロブスカイト発電層の上に「電子輸送層(*1)」と呼ばれる膜を、ダメージを与えずに形成する必要があります。これまでは炭素系材料であるフラーレン(C60)を真空プロセスで成膜していましたが、商業化に向けて低コストの材料および新たな成膜方法に関する研究開発が進められています。また、電子輸送層用インクには,ペロブスカイト層への浸食防止やインクの分散性(塗布性)を確保し、成膜後の均一性や密着性が求められています。
この度、MMCイノベーションセンターは、NEDO(*2)のグリーンイノベーション基金事業を受託したエネコートテクノロジーズより委託を受け、製造コストに優れる塗布型のプロセスを採用した電子輸送層形成材料の開発に取り組み新たな成膜用のインクを開発しました。
塗布型のプロセスは非真空状態で製造コストに優れるものの、成膜用インクの溶媒がペロブスカイト発電層にダメージを与えること、ダメージを与えない有機溶媒中ではナノサイズ(10-9mオーダー)の酸化スズ(SnO2)が凝集してペロブスカイト発電層との密着性が得られないことが課題でした。今回開発した塗布型の電子輸送層の成膜用インクは、酸化スズナノ粒子の表面を適切な材料で被覆することで有機溶媒中に凝集させることなく分散させることに成功し、ペロブスカイト発電層に対して十分に密着した緻密な塗膜を形成することが可能になりました。これにより、ペロブスカイト発電層から生成される電子を金属電極に効率的に輸送することができます。この新技術の採用により従来比約1.5倍の16.0%という高い発電効率を実現しました。
なお、本成果は2025年1月20日に京都大学宇治キャンパスにて開催された国際学会Asia-Pacific International Conference on Perovskite, Organic Photovoltaics and Optoelectronics (IPEROP25)にて発表しています。
MMCとエネコートテクノロジーズは引き続き、成膜インクの塗布プロセスの開発も進め、大面積のペロブスカイト太陽電池への早期の実用化を目指してまいります。
この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業(JPNP21016)の結果得られたものです。
三菱マテリアル株式会社は、独自の銅粉製造技術により、一般的な銅粉末よりも低温での焼結接合を可能とするサブミクロン銅粒子を用いた「焼結型銅接合材料」として、用途に応じて選べる銅ペーストと銅シートの2タイプの材料を新たに開発しました。
車載や鉄道用インバーターに代表される高出力パワーモジュールでは、半導体素子の高温動作や大電流化に伴い、接合部には高い耐熱性と放熱性、長期信頼性が求められています。
従来は、銀を主原料とする加圧型の焼結接合材料が広く用いられてきましたが、銀価格の高騰による材料コストの上昇、加圧接合工程における位置ずれの発生、また大面積接合時に、有機溶剤や樹脂成分の分解ガスが残留しやすく、それに伴う接合不良への課題がありました。
このような背景を踏まえ、当社は、従来の銀焼結接合材料が抱える「高コスト」「工程制約」「大面積信頼性」の課題を、銅材料によって解決することを目指し、開発を進めてきました。具体的には銅製錬工程の副生成物を原料とし、銅粉末の合成から銅焼結材料の設計まで一貫した開発体制を構築し、材料設計の高度化に取り組んでいます。その結果、粒径100〜200nmで金属不純物量が極めて少なく、かつ独自の粒子表面被覆設計により高い焼結性を有するサブミクロン銅粒子を創製しました。本粒子を用いることで、従来の銀系焼結材に代わる低温接合・大面積対応・高信頼性を兼ね備えた銅接合材料として銅ペーストと銅シートの2タイプを開発しました。
当社が独自に開発した銅粒子を用いた焼結型銅接合材料は、銅でありながら銀焼結材料に匹敵する低温焼結性を有しています。窒素雰囲気下において、接合温度200~250℃、短時間での接合が可能な次世代の接合材料です。用途に応じて選択可能な銅ペースト、銅シートは以下の特長を有しています。
銅ペースト、銅シートいずれも用途に応じて順次サンプルワークを開始予定です。車載および鉄道向けをはじめとする高出力パワーモジュールの高耐熱・高効率化・省電力化に貢献してまいります。
三菱マテリアルグループは、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」を「私たちの目指す姿」と定め、資源循環ビジネスで未来を創る企業を目指し、目指す姿の実現と企業価値向上に努めてまいります。
鉱業研究所(設立当時)
鉱業研究所 (埼玉県大宮市に移転した頃)
1917年、東京府品川に三菱合資会社が当時国内では珍しい民間研究機関として設立した鉱業研究所、それが、現在のイノベーションセンターの前身です。
1939年には、埼玉県大宮市に移転、約1世紀にわたり我が国有数の研究機関として、材料・プロセスを基軸とした研究開発に取り組んできました。応用分野は資源、エネルギーから、原材料、基礎素材、新素材、各種製品、さらにはそれらのリサイクルに至るまでの多岐にわたり、相互に関連し合いながら相乗効果も挙げてきました。
そして2001年、新しい世紀の幕開けとともに、茨城県那珂市に新たな研究棟を建設し、移転を開始、2007年には移転を完了するとともに、小名浜地区、北本地区、大宮地区に3支所を置く中央研究所として再スタートしました。
そして、研究開発及びものづくり力の強化を推進するため、2022年4月1日付で中央研究所からイノベーションセンターへ改称しました。
| 1917年 | 鉱業研究所として東京品川に設置 |
|---|---|
| 1939年 | 埼玉県大宮市(現さいたま市大宮区)に移転 |
| 1964年 | 研究内容拡大に伴い、中央研究所に改称 |
| 1967年 | 昭和天皇・皇后両陛下行幸啓 |
| 1995年 | 組織改編に伴い、総合研究所に改称 |
| 2001年 | 総合研究所に、大宮研究センターと那珂研究センターを設置 |
| 2007年 | 組織改編に伴い、中央研究所と改称 |
| 2022年 | 組織改編に伴い、イノベーションセンターと改称 |
ものづくり・R&Dレビュー No.4表紙
機械学習とイジングマシンを組み合わせた光学特性を対象としたコアシェルナノ粒子の最適化アルゴリズムの開発(9ページ)(1.65MB)
酸化銅の深さ方向XPS 解析における光電子ピークとオージェ電子ピークを統合した化学状態の定量解析(34ページ)(3.52MB)