目指す姿に向けて「いかにしてメンバーの持つ力を最大限発揮できるようにするか」は大変重要なテーマです。強い同調圧力の下、一人ひとりが持つ個性を奪い、その能力を十二分に発揮できない状況は改善が必要です。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン;多様性とその受容)の推進は、これに対する一つの解になると考えます。
多様性を認め、受け入れることで、様々な異なる考え方・視点からの異見に基づいた議論が行われることが可能となり、同調圧力の下での議論に比べ、よりイノベーティブな議論が行われ、新しいものが生み出される可能性が高まることが期待できます。考え方が画一化した集団は、その構成メンバーがどれほど優秀な人材であっても、発揮する知が最高になるとは限りません。
更に重要なことは、多様な意見交換にとどまらず、そこから結論を得るプロセスを構築することです。そのためには徹底した良質のコミュニケーションが必要です。従来のモノカルチャーの文化において通用した、「言わずもがな」「阿吽の呼吸」ではなく、議論において十二分に理解を得られる説明が求められ、理解した上での異論が闘わされなければなりません。そのうえで方向性を定め、少数意見や反対意見を無視するのではなく、それらをリスクとして顕在化させないことに注意を払いながら実行に移す。この実現がインクルージョン、つまり多様性を認め、受容することであると考えます。
2022年8月
三菱マテリアル株式会社
執行役社長