三菱マテリアルグループは、2014年の四日市工場での爆発火災事故を厳粛に受け止め、このような事故・災害を二度と起こさないため、安全管理体制の見直しや各種の安全衛生の向上を進めています。
当社グループは、行動規範の第2章において「私たちは、安全と健康をすべてに優先します」と定めています。これは、従業員の安全と健康無くしては、従業員と家族の安定した生活や幸福が実現されず、順調な操業も望み得ない、ひいては会社の発展もあり得ないという考えに基づいています。
2014年4月から新たな「ゼロ災プロジェクト」を立ち上げ、休日4日以上の重篤な災害発生ゼロを目標として、当社グループの安全衛生基盤の強化に取り組んでいます。その推進のため、本社の安全環境品質部を中心に当社グループが一体となった安全管理体制を拡充・構築しています。
安全への取り組みの基本施策として、毎年安全管理重点実施事項を定めて活動しています。
2021年度の重点実施事項は
これらの事項を基軸として各事業所及び全社で毎年PDCAサイクルを回す労働安全衛生マネジメントシステムを展開しています。
このうち、設備安全化の徹底と安全衛生教育の強化の2点について解説します。
当社グループにおける災害の型を分析すると、機械・装置の安全対策が万全でない等「防護措置・安全措置の欠陥」や稼働中の機械・装置に触れるといった「危険場所への接近」に起因する災害が多く発生しています。ハード面での対策を強化するため、リスクアセスメントによる工学的対策を実施しています。
リスクアセスメントは、製造現場の作業行動・その他業務に起因する危険性や有害性を見つけ出し、これを除去あるいは低減するために有用な手法です。
リスクアセスメントとは、職場の潜在的な危険性または有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法です。
リスクアセスメントの基本的な手順は、以下の通りです。
(参考:中央労働災害防止協会ウェブサイト)
各事業所にリスクアセスメント指導員を養成する。リスクアセスメント活動を作業者目線にまで展開することにより、設備の不安全状態の抽出能力を向上させ、その解消に向けた取り組みを加速する。
事業所毎に得意なツール(危険予知、ヒヤリハット、作業手順書見直し、5S ※1、TPM ※2など)を活かしたリスクアセスメント活動を展開する。
三菱マテリアルグループの労働災害撲滅を目指し、安全衛生教育センター「緑館(みどりかん)」(埼玉県さいたま市)を建設し2017年3月1日から運営しています。
安全衛生教育センター「緑館」は、当社のみならず当社グループ従業員を対象に、
を実施可能な設備を備えた施設です。
危険体感教育では作業現場の実態を踏まえ、日常作業に潜む危険を疑似体験することにより、危険感受性の向上を図ることができます。三菱マテリアルグループ全体で発生しうる種々の災害を選定した多彩なプログラムメニューが特徴となっています。
講習室では、労働安全衛生に関する知識教育、各種の特殊作業に必要な特別教育、更には三菱マテリアルグループで過去に発生した事例のコンピュータグラフィック動画を使った安全教育等を実施しています。
バーチャルリアリティー(仮想現実)技術を活用した危険体感装置「VR危険体感装置」を2018年度より運用開始しました。
当社で実際に発生した過去の労働災害をもとに、やけど、転落、挟まれ、巻き込まれなどの労働災害をCG映像で再現して擬似体感することが可能となりました。
360°の映像の中で被験者の行動をVR上で反映することができ、例えば、ローラーを回転させて掃除中に手を巻き込まれる災害や、点検口からの掃除中に熱風が吹き出すやけど災害などについて、あたかも実際に作業をやっているような臨場感の中で疑似体感をすることができます。
分解可搬式となっており、当社の各工場・関係会社における安全教育で活用しています。
わが国の労働災害による死亡者数は減少傾向を示していますが、未だ大幅な削減を達成するまでには至っていません。この様な状況下、三菱マテリアルグループの多くの職場では災害を経験することが稀なことにより、安全のノウハウが継承されないという問題に直面しています。
当館では、経験豊富なインストラクターにより、災害事例を基にした実践的な疑似災害体感教育を行っています。体感教育を通して、受講者の危険感受性を高め安全意識の向上を図ることにより、当社のゼロ災達成への一助となれる様に尽力していきます。
緑館は現場で発生しうる災害を、五感を通じて学ぶことのできる教育施設です。
安全衛生というのは生命や人生に関わるものですので、私たちも毎回、真剣勝負で指導にあたっています。
受講者の皆さんには是非当施設で学んだことをそれぞれの現場の安全衛生レベル向上に役立ててもらいたいと思っています。
2018年4月1日現在