2025年10月17日
三菱マテリアル株式会社
三菱マテリアル株式会社およびその連結子会社である三菱マテリアル電子化成株式会社は、紫外線(以下「UV」)透過型黒色顔料「NITRBLACK®(ナイトブラック)(*1)UB-2」の光学性能を大幅に向上させ、UVの透過率を従来同等に保ちつつ、可視光域の遮光率を従来比1.5倍以上へ向上させた「NITRBLACK® UB-3」を開発しました。
高性能ディスプレイや光学式センサーなどの製品分野においては、外部または機器内部からの不要な光を遮断する目的で、熱硬化技術(熱により化学反応を起こし材料を硬化させる技術)、あるいはUV光を用いた光硬化技術(光に反応して硬化させる技術)によって製造される黒色遮光材が広く使用されております。なかでも光硬化技術は、低温での処理が可能であることに加え、微細構造への適応性や硬化精度に優れていること、さらに、短時間での硬化による生産性の向上、省エネルギーといった多くの利点を有しており、環境負荷低減に貢献する次世代技術として近年注目を集めています。しかしながら、従来の黒色顔料(例:カーボンブラックやチタンブラック(*2))を用いた遮光材では、可視光域のみならず、光硬化に必要なUV域の光も吸収してしまうため、光硬化のみでは十分な黒色度を得ることが困難であり、光硬化後に熱硬化処理が必要となる課題がありました。
上記課題に対し、当社は2017年、独自の窒化還元技術(*3)を用いて、高いUV透過率を有する無機黒色顔料「NITRBLACK® UB-1(以下、「UB-1」)」を世界で初めて開発しました。UB-1は可視光域においては優れた遮光性能を発揮しつつ、UV域では高い透過率を有して光硬化のみで黒色遮光材の硬化を達成することができる画期的な材料として、高い評価をいただいています。さらに2021年には、より一層性能を向上させた「NITRBLACK® UB-2(以下、「UB-2」)」を開発しました。
このたび、さらなる性能向上のご要望に応えるべく、 UB-2の技術をさらに発展させることにより、UV透過率を従来同等に保ちつつ、可視光域の遮光率を従来比で1.5倍以上向上させた新製品「NITRBLACK® UB-3」の開発に成功しました。本製品を用いることにより、光硬化のためのUV照射時間を従来比で半分以下(当社試験結果)に短縮することが可能となり、より厚膜で高黒色度な光硬化が実現可能となります。
本製品は今後さらなる高性能化が進むディスプレイや光学式センサー向けなどでの利用拡大が期待されるほか、遮光性を有する接着剤など、幅広い用途への展開も見込まれます。UV照射時間が大幅に短縮できることにより、製造工程における作業時間の短縮、エネルギー効率の向上や温室効果ガスの削減への貢献にも寄与します。
「NITRBLACK® UB-3」は、溶剤または低粘度モノマー(粘度が数十mPa・s程度)の分散体(*4)の形態で提供します。これまでの検討において、分散が不十分な場合、「NITRBLACK®」シリーズの本来の性能を十分に引き出せない事例が多く確認されました。分散体の形態での提供により、より多くのお客さまや用途において、最大限の性能を発揮する「NITRBLACK® UB-3」をご利用いただくことが可能になります。
三菱マテリアルグループは、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを「私たちの目指す姿」と定めています。今後も新たなマテリアルを創造し、オンリーワンの高機能素材・製品供給を行うとともに、お客さまのご要望に合わせた最適なソリューションを提供することで、目指す姿の実現に取り組んでまいります。
2021年12月21日
「無機黒色顔料「NITRBLACK®(ナイトブラック)UB-2」を開発
URL:https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2021/21-1221.html
2017年9月27日
「NITRBLACK(ナイトブラック)UB-1」を開発
URL:https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2017/17-0927.html
以上
広報室:03-5252-5206