三菱マテリアル

プレスリリース

2017年9月27日

「NITRBLACK(ナイトブラック)UB-1」を開発
〜世界で初めて紫外線(UV)域で従来品の最大7倍の透過性を実現〜

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)の電子材料事業カンパニーとその連結子会社である三菱マテリアル電子化成株式会社(取締役社長:越村 正己、資本金:26億円)は、独自の窒化還元技術※1により、世界で初めて紫外線(以下「UV」)域で従来品の最大7倍の透過性を実現した無機黒色顔料「NITRBLACK(ナイトブラック)※2 UB-1」を開発し、本日より販売を開始しましたので、お知らせいたします。

高性能化が進む液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等の製品分野では、外部または内部からの余分な光を遮るために黒色の周辺材が使用されています。その製造には、耐熱性の低い基材を用いる必要があるため、低温処理できることが要求されています。そこで、一般的に活用される熱硬化技術ではなく、黒色顔料を混合した感光性樹脂(光に反応して硬化する樹脂)を用いる光硬化技術※3が活用されています。光硬化技術には、μm【マイクロメートル】単位の微細なパターンの形状加工にも向いているという利点もあります。

従来品では、光硬化技術によって黒色の周辺材を製造する時に、可視光域※4だけでなくUV域※5の光も黒色顔料が吸収してしまうという課題がありました。従来品の黒色顔料と感光性樹脂を混合して製造した場合、UV域の光も樹脂に届かないために硬化が不十分となっていました。逆に、光を透過させることによって周辺材の硬化を優先して製造した場合、黒色顔料の添加不足により必要な遮光性(周辺材の黒色濃度)を発揮できていませんでした。

そこで当社は、前述の課題を解決するため、可視光域では十分な吸収性能を有して遮光性を発揮する黒色濃度を保ちつつ、UV域では高い透過性を有して周辺材の硬化を促すことができる無機黒色顔料「NITRBLACK UB-1」を世界で初めて開発しました。「NITRBLACK UB-1」をUVに強く反応して硬化する感光性樹脂と混合して使用することにより、優れた遮光性と硬化性を同時に満たす黒色の周辺材の製造が可能となりました。「NITRBLACK UB-1」は、従来品と比べて最大7倍という高いUV域透過率を実現しています。

当社は、これまでも着色力・遮光性に優れたチタン系絶縁性黒色顔料である従来品を、液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等向けに販売してまいりました。このたびの「NITRBLACK UB-1」の販売開始により、今後更なる高性能化が進む液晶ディスプレイや光学式センサー、レンズ等向けでの利用拡大のほか、遮光性を有する接着剤等、更に幅広い用途へ積極的に展開を図ってまいります。

当社は、ビジョンの中で「ユニークな技術により、人と地球と社会のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを掲げております。当社電子材料事業カンパニーと三菱マテリアル電子化成株式会社は、窒化還元技術をはじめとしたユニークな技術に裏打ちされたUV透過性無機黒色顔料などの優れた電子材料製品の提供を通じて、社会に貢献してまいります。

※1.
窒化還元技術
金属または金属化合物を冶金法の応用や特殊な環境下で加工することにより、窒化物にする技術。
※2.
NITRBLACK(ナイトブラック)
当社独自の窒素還元(Nitrogen reduction)技術と黒色顔料(Black pigment)の名称を組み合わせた商標。
※3.
光硬化技術
樹脂やコンクリートなどのように材料を硬く丈夫なものにするため、低分子の軟らかい原料を光により高分子化させることにより硬化させる技術。一般的に利用される熱硬化技術に比べて、低温での処理と微細な形状加工が可能なことから、用途が拡大している。
※4.
可視光域
人間の目で見える光の波長の領域。一般的には波長400-800nm程度。
※5.
UV域
可視光よりも短い紫外線の波長の領域。一般的には波長100-400nm程度。

【用途例】
ディスプレイ用ブラックレジスト、ソルダーレジスト、UV硬化型接着剤・シール材、カバーレイフィルム・インク、UV硬化型インキ、UV硬化型塗料・コーティング材 他

【UV透過性無機黒色顔料の粉末】 NITRBLACK(ナイトブラック)の写真 (画像をクリックして拡大イメージを表示)
グラフ:光と波長と透過率の関係 (画像をクリックして拡大イメージを表示)

以上

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