プレスリリース

2024年4月18日

三菱マテリアル株式会社

令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において科学技術賞(開発部門)を初受賞
~当社の車載端子用高性能銅合金の技術が評価~

このたび、三菱マテリアルグループ従業員5名は、「革新的な合金設計手法を用いた車載端子用高性能銅合金の開発」にて令和6年度科学技術分野の文部科学大臣表彰における科学技術賞(開発部門)を受賞しました。当社が本賞の開発部門において受賞する事は初となります。
本賞は日本国内における全分野から選ばれた科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて、顕著な成果を収めた者を表彰しており、日本の社会経済、国民生活の発展向上などに寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発もしくは発明を行った者に与えられます。
今回受賞した手法を活用した銅合金は、銅合金最高水準の強度-導電率のバランスを有し、車載端子用高性能銅合金「MSP®5」として2021年4月から本格生産を開始しております。自動車の電動化などに伴い、電気を通す端子材に要求される性能は日々高まっているなか、自動車部品メーカーをはじめとする多くのお客さまからその高い性能と信頼性を評価いただいています。
当社グループは、「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを「私たちの目指す姿」と定めています。今後も本研究成果を応用した新たな銅材料の実現ほか、目指す姿の実現に向け、資源循環の拡大、高機能素材・製品供給の強化を進めてまいります。

【受賞概要】

  • 業績名
    「革新的な合金設計手法を用いた車載端子用高性能銅合金の開発」
  • 受賞者
    • 伊藤優樹(三菱マテリアル株式会社 技術開発部 圧延製品開発室 室長補佐)
    • 牧一誠 (三菱マテリアル株式会社 技術開発部 部長・博士(工学))
    • 小林敬成(株式会社後藤製作所 技術本部技術部 工程技術グループ 技術主幹)
    • 松永裕隆(三菱マテリアル株式会社 技術開発部 圧延製品開発室 室長補佐)
    • 船木真一(三菱マテリアル株式会社 技術開発部 圧延製品開発室 室長)
    表彰式の様子

    表彰状等伝達式の様子
    (受賞者:左から小林、伊藤、牧、松永、船木)

    盛山文部科学大臣から表彰状授与

    盛山文部科学大臣から表彰状授与

  • 受賞内容
    自動車のCASE進展に伴い、車載電装部品は多機能化し、車載端子の多極化が急速に進んでいます。その結果、車載端子には小型化が要求されており、小型化実現のために、成型性を維持しながら、より高い強度、導電率、耐熱性を持つ銅材料が求められています。
    本開発では、固溶合金(*1)の優れた特徴を活かしつつ、従来の特性を大幅に向上させるために、革新的な合金設計手法として、過飽和固溶体を活用した固溶強化手法(*2)と、最も効果的な合金元素であるMg(マグネシウム)に着目し、新しい高性能銅合金を設計し、量産化技術を確立しました。また、本技術の特長として、Mgを過飽和に固溶させることにより、Mgの軽量性と銅の結晶格子の膨張効果を利用し、従来の素材と比較して比重が低いことがあげられます。低比重の実現により、製品の銅材料使用重量の削減や材料コスト低減にも寄与しています。
    (*1)
    母相(溶媒原子)の中に別の原子(溶質原子)を溶け込ませて(固溶)合金を形成すること。
    (*2)
    固溶強化とは、母相(溶媒原子)の中に別の原子(溶質原子)を溶け込ませること(固溶)により材料を強化する手法。過飽和固溶体とは通常の固溶体よりも多くの元素を溶かした合金を意味する。
    車載用コネクター

    車載用コネクター

    車載用プレスフィット端子

    車載用プレスフィット端子

    受賞した手法を活用した銅合金、
    車載端子用高性能銅合金「MSP®5」の利用事例

【関連リリース】

2015年3月19日
マグネシウム(Mg)濃度が世界最高水準の銅合金「MSP®5」を開発
URL:https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2015/15-0319.html

2021年4月21日
車載用小型端子向け銅合金「MSP®5」の本格生産開始
URL:https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2021/21-0421.html

2022年6月1日
独自開発の銅合金「MSP®5」一般社団法人 日本伸銅協会2021年度技術賞を受賞
URL:https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2022/22-0601.html

【受賞案件の成果に関連する過去の表彰】

  • 2014年 第48回論文賞
    「高濃度Cu-Mg固溶型合金の端子用材料としての諸特性」 日本銅学会
  • 2016年 第39回技術開発賞
    「強度と導電性に優れた車載端子用固溶型銅合金「MSP®5」の開発」 公益社団法人 日本金属学会
  • 2017年 第68回日本鉱業協会賞
    「車載端子用銅合金「MSP5」の開発」 日本鉱業協会
  • 2018年 第52回論文賞
    「固溶型銅合金の伸び特性へ作用する転位キャラクターの解明」 日本銅学会
  • 2022年 2021年度技術賞
    「車載用小型端子向け銅合金「MSP®5」の開発と量産実用化」 一般社団法人 日本伸銅協会

【論文などの文献】

  • 「Solid-solution copper alloys with high strength and high electrical conductivity」、
    Scripta Materialia、vol.68 p777~780、2013年発表
    URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S135964621200810X
  • 「Effect of Plastic Deformation on the Proof Strength and Electrical Conductivity of Copper-Magnesium Supersaturated Solid-Solution Alloys」、
    Materials Transactions、vol.55 p1738~1741、2014年発表
    URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/matertrans/55/11/55_M2014220/_pdf/-char/ja
  • 「高濃度Cu-Mg固溶型銅合金の端子用材料としての諸特性」、
    (日本銅学会 第48回論文賞受賞)銅と銅合金、vol.53 p198~202、2014年発表
  • 「X線ラインプロファイル解析によるCu-Mg合金における耐応力緩和特性に与える ミクロ組織因子の解明」、
    銅と銅合金、vol.55 p202~207、2016年発表
  • 「固溶強化型銅合金の耐応力緩和特性に及ぼすミクロ組織の影響」、
    銅と銅合金、vol.56 p45~50、2017年発表
  • 「固溶型銅合金の伸び特性へ作用する転位キャラクターの解明」(日本銅学会 第52回論文賞受賞)、
    銅と銅合金、vol.57 p18~24、2018年発表
  • 「小型端子に対応した高強度固溶型Cu-Mg合金の開発」、
    銅と銅合金、vol.60 p262~265、2018年発表

以上

<本件に関するお問い合わせ>

コーポレートコミュニケーション室:03-5252-5206

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