INTERVIEW 16

技術

モデリング技術で
地下2,000m超の世界を可視化し、
ターゲットを掘り当てる。

K.A
再生可能エネルギー事業
戦略本社 再生可能エネルギー事業部 
技術統括部 エネルギー技術室 
鹿角グループ
2019年入社

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

EPISODE 01 対象は
地下2,000m。
地熱開発の
巨大なスケールに
感動。

秋田県で生まれ育ち、豊富な天然資源を身近に感じていたこともあって、大学では資源分野の知見を深めようと資源開発環境学を専攻しました。研究テーマには環境負荷が小さく持続可能な地中熱エネルギーを選び、効率良く利用するための最適技術について研究しました。インターンシップで三菱マテリアルの地熱開発の現場を見学したいと思ったのも、環境にやさしいエネルギー開発を将来の仕事にしたいと考えていたからです。
私が研究していた地中熱は地下100m周辺の熱を対象にしていましたが、三菱マテリアルの地熱開発は地下に2,000m級の井戸を掘削して約300℃の地熱貯留層より地熱流体を取り出しており、インターンシップに参加してみて、実際の現場のスケールの大きさや技術力には只々感動しました。さらに、電力の安定供給だけでなく、周辺の自然景観を損ねないように対策を取っていたことや、地元の温泉街の方々との交流も積極的に図るなど、地域との共存共栄を大切にしていたことも魅力的に感じました。また、面接などを通じて出会った現場や本社の社員の方々は、ベテランも若手の方も気さくな雰囲気で会話がはずむ方ばかりで、自分もこんな人たちと一緒に働いてみたいと思いました。

EPISODE 02 モデリング技術で
地下の可視化に
挑戦。
地熱貯留層への到達
地点を正確に予測。

入社1年目の研修期間は北九州の東谷鉱山(現UBE三菱セメント社)で過ごし、AIを活用した操業支援システムの開発に携わりました。もともと知見がなかったAIについて学びつつ、ベテランの方々から現場の操業技術をヒアリングする中で、関連する幅広い知識を得ることができました。
2年目には本社へ異動し、再生可能エネルギーである地熱・水力・太陽光の各発電所を対象とした操業管理支援を担当、事業全体を俯瞰することができました。3年目の2021年からは、再生可能エネルギー技術部の鹿角駐在という形で地熱と水力発電所がある秋田県鹿角市の東北電力所に席を移し、より現場に密接した業務を行っています。現在担当しているのは、各発電所の操業データの取りまとめ、予実管理のほか、技術的な側面と経理的な側面のそれぞれを理解した上で総合的な判断が必要となる既存発電所の工事発注関連業務などです。また、2024年4月の運転開始を目指して安比地熱発電所の井戸掘削工事の二交替シフトに入っていることから、私自身も現場監督員業務を兼務しています。
安比では、現場作業に初めて取り組んだことから、最初は飛び交う言葉の意味が全く分からず、引継ぎミーティングでボードに何が書かれているのかもちんぷんかんぷんでした。しかし、そんな私だからこそ、新しい発想で自分なりにプロジェクトに貢献できることがないか必死で模索しました。地熱発電は地下にある地熱貯留層まで井戸を掘削し、地熱流体から取り出した蒸気を利用して発電します。そのためには掘削機で地下を2,000m以上も掘り進まなければなりません。しかし、実際に地下で何が起きているのかを、地上で確認できる現象や数値から直接的に把握できない難しさがあります。そこで、最新のモデリングツールを活用し、若手チームで現在あるデータから地下の状況を可視化することを試みました。まずは、過去の調査や試験で得られたデータを用いて地下の3次元モデルを作成。次に、掘削機から収集した掘削の方向・傾斜データを利用して可視化しました。その結果から、今後どの方向へ何m掘ればどこの深度で地熱貯留層に到達できるかを関係者で議論しながら予測し、実際に掘り進んでいったところ、正確に掘り当てることができたのです。
実際に想定した深度でターゲットに当たったという報告を見た時は、「よっしゃー!」と胸が熱くなったのを今でも鮮明に覚えていますし、第二号生産井が無事に掘り終わった時は、チームの一員として達成感を共有できたこと、自分個人の成長を感じれたことが非常に嬉しかったです。
現在は、秋田県内にある澄川地熱発電所の地下モデリングも担当しており、将来の発電量予測に取り組んでいます。今後も、大学院で学んだモデリング技術や今回の経験を基に様々な地熱地域のモデルをブラッシュアップしていき、チームの一員としてターゲットの捕捉や安定操業に貢献できたらと思っています。

EPISODE 03 英語力を磨き、
世界の先端技術を
日本に最適な形で
導入。

地熱開発は一つひとつのプロジェクトのスケールが大きく、関わる領域も多岐に及び、複数の工程を経て運転開始(操業)に至ります。いま携わっている掘削工程でも、地質調査や機械制御などさまざまな関連技術のスペシャリストが結集して開発に取り組んでいます。この前工程では、環境調査や事業化に向けた許認可手続きフェーズがあり、後工程の操業では電力の安定供給や技術的課題等を踏まえた将来戦略といった側面への対応も必要になってきます。今後は、こうした全工程を経験して多くの知識とスキルを身に付け、あらゆる局面に対応できる、総合力のある技術者になることを目指しています。
そのために必要となる要素の一つとして身に付けたいと考えているのが、語学力です。地熱開発は、アメリカやニュージーランドといった海外でも盛んに進められており、当社では、業界をリードする海外コンサルタントから、プロジェクトサポートを受けられる体制を整えています。私が取り組んでいる貯留層シミュレーション技術は、この企業が得意とする技術の一つであることから、さまざまな疑問・質問を投げかけ、技術の習得に励んでいます。英語は大学でも積極的に学んできたことから、さらに磨きを掛け、海外技術者とスムーズなコミュニケーションを図り、最先端の技術を日本に最適な形で導入していきたいと考えています。

MESSAGE

地熱、水力、太陽光といった三菱マテリアルの再生可能エネルギー事業はいま、脱炭素社会の構築への貢献に向け、次々にプロジェクトが誕生しており、新しいことにチャレンジできる機会に溢れています。働く場所は自然環境に左右される部分が多く、計画通りに工程をコントロールできない難しさもあります。しかしそうした条件下で自分らしさを発揮して、課題を一つひとつクリアすることで、目標を達成するたびに大きな喜びと達成感を味わうことができます。
エネルギー事業に興味がある皆さんとディスカッションし、さまざまな困難に立ち向い、再生可能エネルギーの開発技術者として一緒に成長できることを楽しみにしています。

SCHEDULE

掘削監督員として勤務している際のスケジュール

7:00 掘削監督員としての勤務日は宿泊施設から車で現場事務所に出勤
7:30 夜勤・日勤の交替引き継ぎミーティングで作業の進捗と今日の作業内容を確認
全員でラジオ体操を行って筋肉の緊張をほぐす
8:00 掘削会社からメールで届く業務レポートをチェック
8:30 現場巡視を開始
作業進捗状況を引き継ぎノートに適宜記入
10:30 現場事務所に戻り現場で確認した内容をもとに次の工程の実施に向けた資料を作成
11:30 昼ミーティングで作業の進捗と今後の工程を確認
12:00 お昼休憩
13:00 現場巡視
昼ミーティングで確認した内容を現場でチェック
14:00 現場事務所に戻りカンパニーの本社スタッフとして担当している既存発電所の操業支援に係る業務を行う
15:00 現場巡視
今日の作業進捗状況を確認
16:00 終業
下山して宿泊施設へ戻る