2025年1月 6日
三菱マテリアル株式会社
執行役社長 小野 直樹
2025年の年頭にあたり、新年のご挨拶を申し上げます。
2025年度は中期経営戦略2030(以下、中経2030)のPhase 1の最終年度となります。
「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿として2023年度からスタートした中経2030の重要な骨子となる、資源循環の拡大の取り組みについて、まず説明をします。
資源循環対象の拡大については、2024年12月17日にドイツを本拠とするH.C.Starck社の株式取得手続きを完了し、同社を三菱マテリアルグループの一員とし、タングステンのリサイクル拡大を進める体制が整いました。
資源循環地域展開戦略として、2024年9月、オランダに三菱マテリアルヨーロッパ社を設立、営業を開始しています。欧州地域での資源循環戦略の策定、実行を推進すべく精力的に域内の関係者との連携を深めています。後ほど述べる、直島製錬所でのE-Scrapの処理増とも関連する、オランダのリサイクル集荷拠点(MMメタルリサイクリング社)の増強計画も担っています。
一方、日本においては直島製錬所の銅精鉱処理能力増強、E-Scrap増処理に向けた計画を固め、2027年完工を目指しスタートしています。もう一つの国内製錬拠点の小名浜製錬所では2029年の稼働を目指して、前処理設備の導入を進めています。
さて、2024年12月11日に、2025年4月からの社長の交代を含む新しい経営体制を公表しました。私としては社長としての最後の新春メッセージとなるので、今一度社長就任時に座右の銘として示したメッセージを届けたいと思います。
座右の銘として、「①運は天にあり、鎧は胸にあり、②手柄は足にあり。③何時も敵をわが掌中に入れて合戦すべし。④死なんと戦えば生き、生きんと戦えば死すものなり。⑤運は一定にあらず、時の次第と思うは間違いなり。武士なれば、わが進むべき道はこれほかなしと、自らに運を定めるべし。」という言葉を挙げました。
最初の部分(①)は、「そもそも運は天上がきめることで自分では決められないことがあるが、自分の身を守ることは鎧を胸に着るように、自分自身の能力や心のありよう、日々の備えでできる。」という意味です。これは安全について日頃から伝えている「自分の身は自分で守るという心構え」そのものであります。
次の部分(②)は「手柄も天から与えられるものではなく、自分の力で勝ち取ることが出来るものである。」言い換えると、他責から自責へ、自分ごと化を進めるべきとの意味になります。
③は、「勝負は運任せにするのではなく、常に敵の情報を収集し、自分の手の上で転がすように戦わなければ勝てない。」ビジネスに置き換えると、競合分析を行い、自分の得意なフィールドで競うことを自分ごととして実行しなければならないと言えます。
④は示唆に富んでいます。「死ぬ気で戦えば生き残り、生き残ろうとするだけならば死ぬものである。つまり、挑戦していく気概が必要で、守りに入ってはならないことを述べています。
最後の部分(⑤)は、「運を占いで決められて、一定の周期で巡ってくるだけだと思うのは間違いである。武士ならば、自分の進むべき道は自分で考えて、自分の責任で行動するべきである。」との意味で、私たちに照らすならば、外部環境の変化はあろうとも、自分たちのやるべきことは自ら定め実行していく、自律的な課題解決能力を磨いて行動することを意味しています。
これらは、正しく、今私たちの置かれている状況に鑑み重要なメッセージであると思います。ぜひ皆さんに、この言葉のもたらす意味を自分自身に照らして、改めて噛みしめてもらいたいと思います。
一方、2024年8月に7年ぶりに当社グループの価値観を見直しました。この新たな価値観制定のプロセスでは、世界中の全従業員の83%強にあたる約16,000人の方に投票やコメントをもらう形で参画いただきました。新たな価値観は、私たちの目指す姿を実現するための行動の指針と位置付けるものです。この新たな価値観に照らして自分自身がこれからどんな行動をとっていこうと考えているかを、皆さんにお話ししてメッセージを締めくくらせてもらいます。
新たな価値観は、「挑戦し、変化を起こし、共に成長していく。その成長を称賛と感謝の言葉で後押しし、より良い明日をつくっていく。」です。
挑戦に向け、自らが挑戦する態度を示し、挑戦を促す言葉を周囲にかけていこうと考えています。その際に、失敗の不安を取り除くとともに責任を自ら取る覚悟を示していこうと思っています。
変化を起こすため、10%とか20%の変化ではなく50%以上の変化を求めることにより、これまでにない発想による変化を起こそうと思っています。
共に成長することを促すため、組織間に壁が存在することを認識したうえで、その壁を乗り越え結束していきたいと思います。そのうえで、目標にコミットし、その目標達成、結果を出すことに自らこだわりを持ち、皆を鼓舞していく考えです。
その成長を後押しするため、称賛と感謝に値する行動を見つけ出す目を持ち、称賛と感謝を言葉で伝えていこうと決心をしています。
こうした行動の積み重ねにより、昨日より今日、今日より明日をわずかずつでも進歩させていくことで、より良い明日をつくっていくことに繋げたいと思います。
ぜひ、皆さんにも新たな価値観に基づく自分なりの行動を見定め、私たちの目指す姿の実現に向かっていってもらいたいと願います。
以上
コーポレートコミュニケーション室:03-5252-5206