2021年10月15日
三菱マテリアル株式会社
三菱マテリアル株式会社は、電気通信大学大学院情報理工学研究科の榎木光治准教授の研究グループとの共同研究により、アルミニウム繊維焼結体(アルミニウムでできた繊維の集合体)を伝熱管(熱交換などに使用される管)内に充填することにより、従来にない、非常に高効率で流体の熱回収が可能であることを見いだしました。
日本国内で利用されずに大気中に捨てられる200℃以下の排熱エネルギー量は、日本の総発電量の約2.4%に相当するといわれ、こうした排熱を有効活用するために、伝熱管を使って熱を回収し、それを高効率に変換して他のエネルギーとして利用することが期待されています。
こうしたなか、今回の共同研究では、榎木光治准教授の研究グループが有する知見と当社が有する独自の金属焼結技術を合わせることで、伝熱管の性能向上を目指しました。その結果、当社技術によりアルミニウム製の伝熱管にアルミニウム繊維焼結体を充填することで、アルミニウム繊維焼結体を充填していない通常のアルミニウム製伝熱管と比べて、熱効率が約20倍となり、伝熱管内を流れる空気の持つ熱エネルギーを高効率で回収可能なことを実証しました。今回開発した技術は、たとえば、現在工場などで廃棄されている200℃以下の排熱を回収したり、-200℃程度で輸送される液化天然ガス(LNG)の冷熱を回収したりといった、低温度差の環境における熱回収への応用が見込まれます。これまで難しかった排熱エネルギーの有効活用につながるため、カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現に飛躍的な貢献をする技術になると期待されます。
本成果は、熱工学分野の世界的なトップジャーナルの一つ、「Applied Thermal Engineering」9月号に掲載されました。
当社グループは、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、持続可能な社会に貢献するリーディングカンパニー」となることをビジョンとしております。今後も、非鉄金属素材および付加価値の高い製品の提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献してまいります。
以上
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