プレスリリース

2018年9月27日

長期信頼性に優れた、世界最小のフレークサーミスタを開発

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:小野 直樹、資本金:1,194億円)は、光通信用レーザーダイオード※1(以下LD)に使用されているサーモエレクトリッククーラー※2(以下TEC)の高精度温度制御用にフレーク(表裏電極型)サーミスタVHシリーズを開発し、その量産を10月より開始しますので、お知らせいたします。

光通信関連市場では、携帯通信網の5G化によるインターネット通信の高速化、動画配信やクラウドサービスの普及拡大によるブロードバンド高速化や波長多重による大容量化が進展し、それに伴って、100Gbpsから200Gbps、400Gbpsと更なるデータ伝送の高速大容量化が必須となり、次世代の光トランシーバ※3の需要が高まっています。光トランシーバに内蔵されるLDは温度によって波長が変化します。従い、一定温度に保つ必要があるため、TECとサーミスタを組み合わせることによる高精度な温度制御が不可欠です。

当社では、これまでにも光通信市場向けに高速、高精度な温度制御が可能なフレークサーミスタFHシリーズを販売してきました。このたび開発したVHシリーズは、材料技術と精密加工技術を駆使し、更なる小型化と高信頼性を同時に実現しました。シリーズ最小のVH02では実装面積を43%に縮小(当社従来比)しており、光通信モジュールの軽薄短小化に大きく貢献します。小型化と高信頼性を実現するために、特に高温環境下で起こる熱膨張に対し、サーミスタ材料と金電極の接合面の密着性向上を図ることで熱ストレスを克服し、過酷な環境での長期信頼性試験(「比較表」参照)で、抵抗値変化がほとんど無い"ZERO SHIFT"(「ロゴマーク」参照)を実現しました。

フレークサーミスタ(表裏電極型サーミスタ)VHシリーズは、電話の基地局間、海底ケーブルによるインターネット光ファイバー網やコンピュータクラウドサービス・データセンターのサーバ間の光通信機器(光トランシーバ、光増幅器など)といった分野の高速大容量化に不可欠な製品として、幅広くご提供してまいります。

当社は、今後も成長する光通信関連市場に対応すべく、長期信頼性の向上や保証温度領域の拡大に対応したサーミスタ製品の開発・供給を続けてまいります。

※1.
レーザーダイオード(Laser Diode)
半導体の再結合発光を利用したレーザーで、半導体レーザーともいわれる。直進性、微小発光スポットサイズ(数µm~)、単色性、高光密度、可干渉性(coherent)といった特長を生かし、平版印刷版やプリント基板のほか、モーションセンサ、HDD熱アシスト磁気記録、照明(プロジェクタ、ヘッドライト)など、様々な用途がある。
※2.
サーモエレクトリッククーラー(Thermoelectric Cooler)
ペルチェ効果(2つの異なる導体の接合部分に電圧をかけ電流を流すことによって、クーラーとして機能する効果)を利用した電子部品で、冷却する素子。様々な熱電冷却分野で使用されている。
※3.
光トランシーバ(Optical Transceiver)
電気信号と光を相互変換する光送受信機で、光通信において重要な役割を果たしているデバイス。送信側で電気信号を取り込んで光信号に変換し、 光信号を光ファイバー内で伝送し、受信側で受けた光信号を電気信号に変換する。
VHシリーズ 写真 VHシリーズ 写真
VHシリーズ イメージ図 VHシリーズ イメージ図
VHシリーズ ラインナップ表 VHシリーズ ラインナップ表
新製品VH05の長期信頼性を示す従来品FH05との比較表 新製品VH05の長期信頼性を示す従来品FH05との比較表 (画像をクリックして拡大イメージを表示)

※従来品の環境試験時にくらべて抵抗値上昇率が大幅減少。
0.2~0.4%程度≒ほぼ変化しない「ゼロシフト」を達成。

フレークサーミスタVHシリーズ用の「ZERO SHIFT」ロゴマーク フレークサーミスタVHシリーズ用の「ZERO SHIFT」ロゴマーク

以上

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