2017年11月13日
三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)の電子材料事業カンパニーは、半導体素子の動作に悪影響を与えるα線放出量を従来品に比べて約50%低減した世界最高レベルのはんだ材料を開発し、10月から量産を開始しましたので、お知らせいたします。
はんだ材料は、加熱によって球状の粒子(以下「はんだバンプ※1」)となり、ICチップを構成する半導体素子と基板を接合するとともに、その間の電極としても機能しています(「ICチップ断面図」参照)。はんだバンプのもととなるはんだ材料の主成分の一つはSn(錫)ですが、微量の放射性物質が含まれており、この放射性物質よりα線が放出されます。放出されたα線は半導体素子の動作に悪影響を与え、いわゆるソフトエラー(メモリ中のデータが書き換えられる現象)を生じさせることがあります。より信頼性の高い半導体素子を製造するには、α線量が少ないはんだ材料を用いることが極めて重要です。特に近年、更なる低α線量化による信頼性の高い半導体素子に対するニーズが高まってきています。
こうしたユーザーからのニーズに応えるため、当社は30年以上に亘って蓄積してきたはんだ材料のα線量低減技術や管理技術の開発を進め、0.001cph/cm2(count per hour)以下となる「HULA(エイチ ユー エル エーまたはヒューラ)※2」グレードのはんだ材料の開発に成功しました。従来品のα線量0.002cph/cm2以下となる「SULA(エス ユー エル エーまたはスーラ)※3」グレードを更に進化させたはんだ材料となります。
今般開発したはんだ材料を含む新製品は、Sn-Ag(銀)めっき液、Sn-Ag-Cu(銅)はんだペースト、Sn-Cuはんだペースト、Snアノード※4といった製品群に新たにラインナップして販売いたします。
また、当社は世界最高レベルの「HULA」グレードのはんだ材料の開発と並行して、より高度なα線分析評価技術も蓄積してきました。実装方法の多様化に伴い、はんだ材料のみならず半導体パッケージの周辺材料にも低α線量化が今後要求されます。そこで、半導体業界のユーザーに対して提供してきたα線測定受諾サービスについても、「HULA」グレードの高度なα線分析評価技術を提供することで、はんだ材料ユーザーへのソリューション提供力を高めてまいります。
当社は、ビジョンの中で「ユニークな技術により、人と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを掲げております。当社電子材料事業カンパニーは、今後も市場ニーズを先取りしたユニークで優れた電子材料製品とそのソリューションの提供を通じて、社会に貢献してまいります。
以上