2017年7月31日
三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)の電子材料事業カンパニーは、長年培ってきたセラミックス技術とアンテナ設計のノウハウを駆使することにより、全世界のセルラーバンド※1に対応した車載用通信機器向けマルチバンド※2アンテナを開発し、10月よりサンプル提供を開始しますので、お知らせいたします。
近年、テレマティクス※3・ボックス等の車載用通信機器をインターネットへダイレクトに接続することで、「コネクテッドカー※4」「ITS(高度道路交通システム)※5」といった様々な新しい製品・サービスを提供する技術が注目されています。こうした車載用通信機器には、各国のセルラーバンドに対応したユニットアンテナが取り付けられており、テレコミュニケーションECU(電子制御ユニット)※6の一部として機能しています。今後もeCall(車両緊急通報システム)※7や自動運転技術といった新しいサービスに必要な地図や路面などの詳細情報をクラウドからリアルタイムにデータ収集する手段として、ますますニーズは高まっていくと予想されます。
テレマティクス・ボックス等の車載用通信機器には、高速なデータ通信が要求されることや、セルラーバンドが国・地域、携帯電話キャリアで異なるなどの高い技術的ハードルがあることから、これまでは地域毎のセルラーバンドに応じたユニットアンテナが必要とされていました。当社は、セラミックスチップアンテナで培った設計技術と実績をもとにこの壁を打ち破り、このたび全世界のセルラーバンドに対応した車載用通信機器向けユニットアンテナである「マルチバンドアンテナ」の開発に成功したものです。今後マルチバンドアンテナは、車載用通信機器の世界レベルでの共通化に寄与していくものと期待されます。
なお、本マルチバンドアンテナは、使用温度範囲を車載標準規格のAEC-Q200グレード2(温度範囲:-40~105℃)に準拠するとともに、699〜3950MHzの周波数帯をカバーしております。
また当社では、このたび開発したマルチバンドアンテナを含む当社製品を有効にご利用いただくことを目的に、お客様のニーズにあったアンテナ設計を支援するとともに、保有する専門設備を利用して、お客様の製品の構造や部品レイアウト、設置環境等の条件を以下の手法で評価・解析することにより、最適な無線通信環境をご提案してまいります。
弊社は、企業理念に基づいた私たちのありたい姿、すなわちビジョンとして「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを掲げております。電子材料事業カンパニーは、今後もユニークな電子材料製品とこれに関連するサービスをスピーディーにお客様に提供することにより、社会に貢献してまいります。
【参考資料】
2017年1月30日 プレスリリース
「アンテナ設計の最適化ソリューション」の提供を開始 〜無線通信の最適環境を実現〜
http://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2017/17-0130.html
【製品仕様】
TYPE Ⅰ | TYPE Ⅱ | |
---|---|---|
サイズ [mm] | 143.0×15.0×9.0 | 119.0×44.5×9.0 |
同軸ケーブル | 1.5Dシリーズ/1.0m | |
サイズ:突起部、ケーブル部分は除く。 同軸ケーブル:「1.5」は絶縁体外径1.5mm、「D」はケーブルの特性インピーダンス50Ω(オーム)を示す。 ※特性インピーダンス:分布定数回路(高周波回路)において、伝送線路(ここでは同軸ケーブル)を無限長とした場合、線路上のどの点においても電流(磁界)と電圧(電界)の比Zは一定となり、この値を伝送線路の固有の特性インピーダンスと呼ぶ。 但し、開発品のため、製品形状や仕様は予告なく変更する場合がある。 |
(解説)縦軸のTotal Radiation Efficiencyは放射効率のことで、アンテナへ給電された電力のうち、放射された電力の割合を示す。横軸のFrequencyは周波数を示す。上記の図により、全世界のセルラーバンドの周波数を示す青網掛け部分において放射効率を広帯域に維持しており、-5dB以上という一定のアンテナ性能を発揮することが示されております。 但し、本性能は代表値であり、保証値ではない。
以上