技術無限のスピリットで
銅製錬の未来を切り拓く
バーチャル工場見学 vol.01
三菱マテリアルの直島製錬所は、穏やかな瀬戸内海に抱かれ、現代アートの島として有名な「直島」(なおしま)に立地し、銅、金、銀などの非鉄金属を製錬しています。
銅は、人類の文明発達とともに歩んできた素材です。現代においても電線、家電製品からIT素材まで、幅広い分野で産業を支えています。
日本の銅製錬は、かつては鉱山の山元製錬所が主体でした。その後、わが国の近代化とともに需要が増大した結果、より効率的な銅製錬所が必要となりました。直島製錬所は、各地の鉱山からの鉱石を一括して集中製錬するために三菱合資会社(当時)の中央製錬所として建設され、以来一世紀以上にわたって操業を行っています。
製錬所概要
直島製錬所は、世界中の銅製錬技術者が夢見た「原料装入から粗銅の生産までを連続で行えるプロセス」を実現した「三菱連続製銅法」の商業運転に成功しました。
三菱連続製銅法の強みを活かして、近年は、廃自動車、廃家電製品、廃携帯電話などから有価金属を回収するなど、循環型社会の実現にも貢献しています。
チリやカナダ、オーストラリアなど海外の鉱山より、原料として銅精鉱を受け入れています。鉱山で採掘される鉱石中の銅品位はおおよそ1%前後であり、予め鉱山で選鉱により30%程度まで品位を高めた「銅精鉱」を原料として受け入れています。
直島製錬所では、E-スクラップや廃自動車や廃家電製品を細かく裁断したシュレッダー・ダストなどのリサイクル原料を積極的に受入・処理し、銅・金・銀など、有価金属のリサイクルのほか、これらを焼却・熔融する際に発生する熱エネルギーを回収・利用(サーマルリサイクル)しています。
写真は、有価金属リサイクル施設。
家電、パソコン、スマートフォンなど電子機器類の廃基板にも、銅・金・銀などが含まれます。
これらをE-スクラップ(金銀滓)と呼びます。直島製錬所での受入・処理能力は、年間11万トンと世界でトップクラスです。
銅精鉱などの原料は、熔錬工程の心臓部となる三菱連続製銅炉にて1,200℃以上の高温で熔融し、純度99%のアノードを鋳造します。鋳造量は時間当たり100トンの能力を誇ります。
三菱連続製銅法
従来の銅製錬法は、複数の炉を使ったバッチ式による操業で行われます。また各炉間の熔体の移動は蓋のないレ―ドル(鍋)を用いているため、SO2ガスの漏洩の問題がありました。三菱連続製銅法は、密閉された炉を樋で連結することでSO2ガスの漏洩を最小限に抑え、無公害で、そして連続して操業できる画期的なプロセスです。設備全体もコンパクトになり、省エネルギー・低コストの操業も可能となりました。
銅熔錬工程で産出されたアノード(純度99%)は、銅電解工場で電解精製され、純度99.99%以上の高品質な銅地金になります。これを電気銅とよびます。
電気銅は船積みされ、主に三菱マテリアルの堺工場(大阪府堺市)に出荷され、無酸素銅や銅合金の原料として使用されます。
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