PROJECT STORY02

海外グループ会社の
会計システム統一。
日本と海外の壁を乗り越え、
グループ全体の連携強化を図る。

PROJECT MEMBER

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

SECTION01

プロジェクト始動。

三菱マテリアルの主要な海外グループ会社における会計システムを統一するというビッグプロジェクト。現在およそ40社に向けての導入が完了している本プロジェクトは、なおも進行中である。指揮を執っているのは、経理・財務部のS.Rとシステム企画部のL.Jだ。
かねてから三菱マテリアルとして念願であった海外グループ会社における会計システム統一プロジェクトが発足した。国ごとに会計基準や税制が異なるという背景がある中でこのプロジェクトが始動したのは、業務フローの統一やIT資産の一元管理、内部統制強化等を図る目的があったからである。当時のS.Rにとって、今回のビッグプロジェクトへの登用は思いがけないサプライズであった。「10年以上前に三菱マテリアルが国内の会計システムを統一した際、私はグループ会社の経理にいて、まさにシステムを導入される側の立場だったので、導入にあたって生じる課題や苦労はよく分かります。今にして思えば、その経験が買われたのかもしれません。英語は得意でしたし、原価計算、申告納税、資金繰りなど、個社の経理業務を一通り把握していたこともあり、プロジェクトに必要な条件が重なったのかなと思います」。

先ず初めに取り掛かったのは、導入システムの検討。海外での実績は豊富であるか、各社保有の周辺システムと連携可能かなど、様々な側面から検討し、慎重に決定した。システムが決まると、続いては運用のシミュレーション。経理業務において起こりうる場面を洗い出し、コンサルタントにも協力を仰ぎながら一つずつシミュレーションすることにより、システム導入後に問題が発生することを予防したという。シミュレーションが一通り終わったところで、ついに海外への展開を開始。しかし、その道のりは決して平坦なものではなかった。

SECTION02

エンドユーザーを動かす状況打開策。

現地ではまず、社長や幹部社員にコンセプトを説明し、賛同を得るところから始め、同意が得られると次に、システムのテスト環境でさまざまな問題を潰した上で、正式稼働となる。最初の説明から稼働に至るまで、最短でも6ヶ月程度は掛かるという。原因の一つは、今まで慣れ親しみ、何の不自由も感じていないシステムをどうして急に変えなければいけないのか?というエンドユーザーの戸惑いである。「このシステム導入の必要性を納得・理解してもらって、いかに相手のモチベーションにつなげていくかは一番根気のいる作業ですし、常に誠意ある対応が求められます。相手の理解を得て、モチベーションを上げるためには、こちらから歩み寄ることが重要です。たとえば『今、あの処理はどうされていますか?』と聞いて、相手が仮にエクセルに手入力していると答えたら、『そうですよね。今は手入力ですよね。でも、今度のシステムは…』という具合に、メリットを織り交ぜつつ対応する。新しいやり方だけを押し付けるのではなく、私たちも従来のやり方を勉強しますよという姿勢が大事なんです」。そう語るS.Rの表情からは、プロジェクト遂行の難しさと同時に、どんな状況であっても想いを貫きエンドユーザーを納得させてきたという自信が感じ取れた。
およそ40社の海外グループ会社へのシステム導入を終えるまでに、S.Rの海外出張回数は実に150回を超えている。

SECTION03

お互いの知識をクロスさせる。

一方、システム担当者として、このプロジェクトに途中参加したのがL.Jである。システム導入の環境構築作業や保守、アドオン開発に加え、中国出身であることを活かして現地のグループ会社への導入の際には、通訳としても活躍している。「入社後は開発プロジェクトで2~3年程度SEとしてのスキルを身に付けていくのが普通ですが、私の場合はいきなりの導入プロジェクト。経理の知識もなく、最初はやっていけるか心配でしたが、先輩方は一番分かっていない人間に合わせて説明してくれる方々ばかりなので安心しました。特にS.Rさんは経理の知識をシステムの人間に合わせて説明してくれるので、両方を理解できるんです」。S.Rの助けを受けて、プロジェクトを成功させるためなら自身の役割は何があっても果たすという意思が強くなったと語るL.J。厳しいスケジュールで進めなければならない場面に直面したこともあったというが、S.Rをはじめ現地の窓口や関係者と密に連携を取り情報共有することで乗り越えてきたという。S.Rは次のように語る。「経理からシステム部門にいろいろ要望を出すことがありますが、それが完璧かというとそんなことはないし、逆にシステム部門の人が経理の知識を全く持たずに気の利いたシステムをつくれるかというとそれも難しい。特に今回のような共同プロジェクトを進めるうえでは、経理は経理、システムはシステムの仕事をやればいいという風に業務を分断するのではなく、お互いの知識をある程度クロスさせ、それぞれが欠けている部分を補い合いながら作業することが望ましいと思っているんです」。

SECTION04

2人を動かす原動力とは。

二人にとって、さまざまな困難を乗り越え、今回のプロジェクトをここまで成功に導いてきたモチベーションはどこにあったのだろう。
「やっぱりエンドユーザーが使っているところを直接見られる点ですね。私はいかにユーザーの業務をラクにできるか、現場に近いシステムをつくりたいと思ってこの仕事に就きましたので、苦労して開発した機能や帳票が実際に活用されているのを見るとすごく喜びを感じます。もちろん満足していただけていない点もまだまだたくさんあるのですが、そういうところも含めて自分の目で確認できることがモチベーションにつながっています」とL.J。
また、S.Rは「システム変更に戸惑っていたユーザーが最終的に変更の意義を理解し、自分たちの業務改善にもつながったと喜んでくれた時にはやりがいを感じます。システム稼働に立ち会った際にあるユーザーが拙い日本語で感謝のスピーチをしてくれた時にはとても感動しました。最近では、システムが統一されたことで、これまで付き合いのなかったグループ会社同士が集まって意見交換会を行うなど、自主的な流れも出てきています。今後は、システムの安定稼働はもちろん、グループ会社間でシステムが統一できたことの利点を生かし、有用な施策を横展開するなどして、正確で迅速な連結決算に寄与していきたいですね」と語るS.R。経理とシステム、部門の垣根を超えたプロジェクトは、今後の三菱マテリアルの発展を大きく左右していくに違いない。

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