プレスリリース

三菱マテリアル株式会社（執行役社長：小野　直樹、以下「三菱マテリアル」）と国立大学法人京都大学（総長：湊　長博、以下「京都大学」）は、2017年4月より、三菱マテリアルの支援による寄附講座として「非鉄製錬学講座」を設立し、京都大学大学院工学研究科材料工学専攻にて開講してまいりましたが、このたび2022年4月から同講座の第2期を開始します。
近年は特に、EVや再生可能エネルギー活用に代表される社会の脱炭素化および持続可能な開発（SDGs）の重要性が国際的に叫ばれており、その実現のために非鉄金属のリサイクルは今後も社会から要請されていくものと考えられます。それらの期待に応えていくため、第2期では社会人向けWeb講座のさらなる拡充や大学院生への留学支援の強化など、第1期の活動をより充実させます。
非鉄製錬事業が必要とする人材の育成を図るとともに、同事業を国内に存続させ、リサイクル事業を活用したより高度な持続可能性を持つ社会の実現に貢献してまいります。

1. 講座設立の背景と主旨
   現在、日本の一部の大学では、非鉄製錬学講座の継承に困難を来たしており、講座の廃止または再編が進行し、場合によっては「製錬」の名前を含まない他分野の講座名のもとで研究活動が行われています。そのため、大学や大学院における「非鉄製錬学」教程は、質および量の両面において減少傾向を辿っています。しかしながら、三菱マテリアルおよび京都大学は、非鉄製錬学およびそれを利用したリサイクル技術の発展は、技術革新による立国ならびにリサイクルによる循環型社会をめざす我が国にとって重要な分野であるという認識を共有し、2017年4月に本寄附講座を設立・開講しました。


寄附講座を通じた活動内容

2. 第2期寄附講座の概要
   
   1. 開設先
      京都大学 大学院工学研究科材料工学専攻（継続）
      

      ※本専攻は、京都大学開設翌年に設置された歴史ある学科「採鉱冶金学科」を前身とします。
      現在でも京都大学は非鉄製錬学における西日本最大の研究拠点となっています。

   2. 人員構成

      教授（兼任）

      宇田哲也

      助教（兼任）

      岸本章宏

      特定准教授

      安田幸司

      特定助教

      公募中

   3. 講座開設期間
      2022年4月～2025年3月
3. 寄附講座の活動内容
   第1期の活動を継続するとともに、一部の活動を以下のとおり発展させます。
   1. 社会人を対象とした熱力学や電気化学に関するWeb講座の開設
      基礎コースとアドバンスコースを設置し、若手技術者の育成を強化。
   2. 大学院生向け教育の充実
      海外へのサイトビジットのサポート、バーチャル留学セミナーなどを企画
   3. 若手研究者を対象とした討論会の開催
      対象を中堅の研究者にも拡大（Web討論会の形式での開催も検討中）
4. これまでの実績
   第1期（2017年4月～2022年3月）の主な活動実績は次の通りです。
   
   1. 未来型の非鉄製錬・リサイクルプロセスに関する基礎研究
      20年後の資源循環型社会を担う高効率プロセス開発のため、講座所属研究者にて
      下記の基礎研究において成果を挙げました。
      • E-Scrapのリサイクル技術開発等
      • 塩基性溶液における亜鉛の電解技術の基礎研究
      • 廃LIBのリサイクル技術開発
   2. 社会人を対象とした熱力学や電気化学に関するWeb講座
      本専攻に所属する教授および准教授6名により、製錬現場の若手技術者を対象に材料工学のWeb講座を提供し、のべ31社96名が受講しました。
      
      
      

      

      
   3. 高校生に向けた啓蒙・教育活動
      高校生向けに、様々な機会で実験実習「金・銀・銅を作ろう！」を実施し、
      工学部金属系および材料系への受験動機とするための体験の場を提供しました。
      
      

      

三菱マテリアルと京都大学は、本寄附講座の活動を通じて、未来の非鉄製錬業界を牽引・革新する人材を育成するとともに、持続型社会を支える基幹産業のさらなる発展、地球環境の保全に貢献します。

【関連情報】
京都大学 大学院工学研究科 材料工学専攻
非鉄製錬学講座　Webサイト
URL：https://www.aqua.mtl.kyoto-u.ac.jp/wordpress/NF/