森の守り人

森林には、木材生産のほかにも二酸化炭素の吸収を始めとする地球環境の保全や、生物多様性の保全、土砂災害防止、水源かん養などの多面的機能があります。そうした多面的機能を発揮するには、森の状態を調べ、適切に管理しなければなりません。
このコーナーでは、豊かな森を次世代に残すために、わたしたちが日頃、どのような取り組みを行っているかをご紹介します。

※ 当社は、社有林管理の実務を子会社である「マテリアルリアルエステート㈱」に委託しておりましたが、2018年7月1日付で三菱マテリアル㈱総務部総務室が所管することと致しました。

2016年7月

JICA研修生がやってきた! ~生物多様性保全の取り組み~

JICA研修生と一緒に JICA研修生と一緒に

当社社有林管理の実務を担うマテリアルリアルエステート㈱森林部では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が進める2016年度課題別研修「生物多様性保全のためのGIS・リモートセンシングを利用した情報システム及び住民参加型保全」の一環として、2016年7月21日、北海道札幌市の同社森林部事務所において、エクアドル、カンボジア、ミャンマー、ラオス及びボツワナからの海外研修生7名を受け入れ、実務に即した研修を実施しました。

JICAでは、途上国において、生物多様性に関する情報をより高度な手法で管理するための支援策として、林業・森林管理に携わる海外の研修生に日本の先進的な取り組みを紹介しています。そこで、今回、三菱マテリアルの社有林における全地球測位システム(GPS)、地理情報システム(GIS)などの技術を用いた生物多様性保全の取り組みに注目いただき、本研修が実現しました。

「GPS」とは、カーナビゲーションやスマートフォンなどでも身近な、地球上の位置の把握や記録が可能なシステムのことです。また、「GIS」とは、GPSで取得した位置情報や地形図などを、一つの図面上に重ね合わせて表示できるシステムのことです。
当日は、希少種であるオオタカやクマゲラの巣の位置をGPSで記録し、GIS上で地図として広く周知することで、彼らの繁殖時期に悪影響を与えないようにしていることや、尾根や沢など動植物の生息環境として重要な場所をGIS上の図で色分けして管理し、極力手を加えないことで生物多様性の保全に役立てていることなどを説明しました。

研修生からは「民間組織の取り組みが成功していることに驚いた」、「生物多様性の保全を森林管理に取り入れる良いアイデアが得られた」など、母国においても実践可能な取り組み事例として、高い評価をいただくことができました。

私たちは今後も社有林に生息する生物の多様性を尊重し、保全する取り組みを続けることにより、さまざまな環境問題の解決に貢献したいと考えております。

社有林の概要説明の様子 社有林の概要説明の様子
GPS・GIS活用事例の説明の様子 GPS・GIS活用事例の説明の様子

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2016年7月

夏は下刈したがり

下刈の様子① 下刈の様子①

下刈の様子② 下刈の様子②

毎年夏は、三菱マテリアルの社有林においても植物が最も盛んに成長する季節です。カラマツをはじめとする小さな苗木なえぎは、太陽の光をたくさん浴びて「我先に」と空に向かって背を伸ばし、数十年後には20mを超えるほどに成長します。しかし、植栽しょくさい(苗木を植えること)後3年〜5年の間は、苗木の成長が雑草に比べて遅いため、周りを雑草に囲われてしまい、太陽光を十分に得られずに枯れることがあります。 そこで、周辺の雑草を刈り払う「下刈したがり」を行うことで、苗木の成長を守っています。

下刈は、まず作業前に苗木の樹高じゅこう(地面から木の頂点までの高さ)を測定し、周囲の雑草の生え具合を確認します。その上で、刈払機かりはらいきを使って苗木を傷つけないよう丁寧に雑草だけを刈り取ります。

三菱マテリアルの社有林では、毎年数百haもの面積(平成27年度は約200ha、東京ドーム約42個分)で下刈を行っていますが、人の手による作業のため、多大な時間と労力を要します。また、炎天下での作業のため、熱中症やスズメバチ等の危険生物に注意する必要があります。さらに、刃物を扱うため、作業を行う人同士が十分に距離をあけ、傾斜地では上下方向に並ばない等、安全に対する配慮も必要です。

このように、下刈は手間のかかる作業ではありますが、今は小さな苗木であっても一本一本が立派に成長し、数十年後には素晴らしい森に変化してくれることを期待しながら、私たちは社有林を大切に育てています。

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2016年4月

雪解けは植栽の季節

植栽(しょくさい)の様子 植栽(しょくさい)の様子

カラマツの仮植(かしょく) カラマツの仮植(かしょく)

雪が解け、草木が目覚める春は、一年の中で苗木を植えるには最も適した季節であり、三菱マテリアルの社有林では毎年大忙しになります。特に、北海道にある社有林では、成長が早く強度も十分なカラマツや、北海道固有の樹種であるトドマツなどを1ヘクタール当たり約2000本と、非常にたくさん植えています。

まず植えようとする土地に適した苗木選びにはじまり、苗木が成長しやすい環境を作るための()(ごしら)え(ササなどを刈り払い、取り除くこと)、運搬した苗木が乾燥しないように仮植(かしょく)(植える直前まで土をかけておくこと)を行ってから、(くわ)などの器具を使って一本一本を丁寧に植えていきます。こうした作業は機械ではなく人の手で行うため、とても大変ではありますが、植えた木々が成長した姿を想像すると期待が広がり、いつの間にか苦労を忘れてしまいます。

もちろん、一度植えてしまえばそれで終わりというわけではありません。木が成長しやすいように下刈(したがり)(苗木周辺の雑草を刈ること)や間伐(かんばつ)(木の間隔を保つために適度に伐採すること)などを適切に行い、何十年もの長い年月で木を育てていきます。こうした中で、CO2吸収や水土保全などの機能であったり、その成長段階に応じて多様な生物の生活の場になったりと、木は様々な価値を発揮しています。最終的には、木材資源として有効活用するために収穫することになりますが、また苗木の植栽を繰り返すことで、木はその価値を保ち続けています。

私たちは、このように「伐る ⇒ 植える ⇒ 育てる」という森林のサイクルを確実に行って森の持つ多様な価値を向上させ、未来に繋ぐことで、人と社会と地球のために貢献していきたいと考えております。

トドマツの苗木 トドマツの苗木

カラマツ(植栽後6年目) カラマツ(植栽後6年目)

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2015年9月

社有林経営と生物との関わりあい

三菱マテリアルの社有林では、製品として木材を伐採し出荷していますが、同時に、そこにはキタキツネ、エゾモモンガなどの哺乳類、オオタカやクマゲラなどの鳥類など、とても多くの生物が生息しています。そのため私たちは、日々のモニタリング活動などを通じて、彼らの貴重な生活の場を奪うことのないよう常に気を配っています。

ところで、「木を伐るという行為自体が、生物にとって悪影響を及ぼすのではないか?」といった疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。たしかに、東南アジアなどで見られるような、無計画に森林を一気に伐採する方法は、生物への悪影響が大きいと思われます。しかし、たとえば過去に人の手によって植えられた樹木は、何も手を入れずに放っておくと、木と木の間隔が狭くなり、地面に十分な光が届かなくなってしまいます。そこで、適度に伐採してある程度光の入る空間をつくり、地面を明るく保ってあげると、そこに集まる生物が増え、生命を育む環境が生まれます。

それでは、育てた木をすべて伐採することは、自然破壊になるのでしょうか。実はこれも、必ずしも生物にとってマイナスの影響ばかりであるとは言えないのです。たしかに、森林がなくなれば、そこに暮らしてきた生物の数が一時的に減少するかもしれません。しかし、それまで変化のない森林であった中に、新しい空間が生まれることは、生物にとって新たなチャンスにもつながります。たとえば、森林の中に草原が生まれれば、バッタなど昆虫にとって生活範囲が広がり、生息数も増えます。また、オオタカやノスリなどの猛禽類にとっても地上が見渡しやすくなり、野ネズミなどの獲物を捕まえやすくなります。

自然界においては、台風や山火事、その他のさまざまな自然現象によって、森林が草原に変わり、長い年月を経て再び森林に変わる、というように、森は絶えず変化を繰り返しています。そしてそこに生きる生物も、彼らにとってふさわしい環境を見つけ出しながら日々暮らしています。木の伐採は、一見すると生物にとって悪影響を与えるように思われがちですが、こうした自然界の環境変化に近い形で、一定の気配りのもとで行うのであれば、生物の暮らしを守ることができるのです。

私たちは、今後も社有林を経営していく中で、そうした自然界の仕組みを十分に理解しながら、生物の多様性に配慮した社有林づくりを心がけていきたいと思います。

早来(はやきた)山林の林道を行列して歩くシカ 早来はやきた山林の林道を行列して歩くシカ

早来山林の定点カメラに写ったキタキツネ 早来山林の定点カメラに写ったキタキツネ

早来山林を上空から撮影 早来山林を上空から撮影。
伐採により生まれた草原と、その周りに残した天然生林てんねんせいりん(自然に発芽した樹木でできた林)、カラマツの造林地ぞうりんち(人の手で植えられた苗木でできた林)がモザイク状にバランスよく配置されている。

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2015年4月

早春の作業は「山火事予防」と「クマ対策」から

早春の早来社有林 早春の早来社有林

本州では日々新緑が眩しくなる季節、北海道にもようやく春が訪れ、雪の下からふきのとうや福寿草が顔を出してきます。この時期は空気も乾燥し、一年で最も林野火災の多い時期です。 そのため北海道では、4月~5月にかけて火災予防強調期間を設定し、防火に努めています。

「三菱マテリアルの森」を管理するマテリアルリアルエステート㈱森林部でも例年、この時期に「山火事予消防訓練」を実施しています。
社有林内で火を使う作業時の延焼防止機材として“ジェットシューター(背負い式消火水のう)”を準備しており、イザという時に全員が使えるよう定期的に訓練しています。背中に18㎏の水を背負い手動式ポンプで放水するのは重労働ではありますが、延焼を防ぐためには必須の訓練ですので、毎回、気を引き締めて実施しています。

また、この時期はヒグマが冬眠から目覚め、空腹のため凶暴化する季節でもあるため、「春のヒグマ注意特別期間」にも指定されています。遭遇時の撃退手段である“クマ除けスプレー”は、個人一人一本の必須携行品としていますが、突然、クマに遭遇しても慌てることのないように、この時期に併せて訓練しています。ときおり噴射訓練中に、急に風向きが変わり、訓練者自身がその威力を体感するハプニングもありますが、日々“守り人”としての備えを固めながら、万が一に備えています。

山火事予防訓練開始! 山火事予防訓練開始!

ジェットシューターを使った消火訓練 ジェットシューターを使った消火訓練

クマ除けスプレーは必須アイテム クマ除けスプレーは必須アイテム

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2014年12月

森を調べるには冬がいい!

2014年12月の様子 冬の早来山林

三菱マテリアルの社有林は全国に約14,500haありますが、そのうちの8割、約11,500haが北海道にあります。北海道の冬は長くて、寒くて、雪が多い大変な季節ですが、森を管理する私たちには森を調べるために都合が良い季節でもあるのです。

都合が良いことの一つ目は、笹などの下草が雪に隠れる上に木々の葉も落ちるため見通しが良く、森の中まで入りやすいこと、二つ目には熊は冬眠し、スズメバチも活動しなくなるために安心して森の中を歩きまわれることです。

毎年秋から冬にかけて行う「間伐」、「皆伐」の準備として、その半年以上前から作業予定場所の木の種類、幹の太さ、本数などを調べて行きます。日中でも氷点下という厳しい寒さのなか、車はもちろん、柔らかい雪が積もると徒歩でも移動できないため、スノーシューやスキーを使って森に入ります。

冬季調査は大変な作業ですが、持続可能な森林として維持するために毎年続けています。

トドマツ立木調査
トドマツ立木調査

昼食風景
昼食風景

森林踏査
森林踏査

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