森の守り人

森林には、木材生産のほかにも二酸化炭素の吸収を始めとする地球環境の保全や、生物多様性の保全、土砂災害防止、水源かん養などの多面的機能があります。そうした多面的機能を発揮するには、森の状態を調べ、適切に管理しなければなりません。
このコーナーでは、豊かな森を次世代に残すために、わたしたちが日頃、どのような取り組みを行っているかをご紹介します。

※当社は、従来から社有林管理の実務を「三菱マテリアル不動産㈱」に委託してきましたが、不動産事業の再編に伴い、
2018年2月1日付けで設立した子会社「マテリアルリアルエステート㈱」に委託先を変更しています。

2018年4月

社有林内・樹木のご紹介 ①「カラマツ」

今回から1年に亘り、「三菱マテリアルの森」で生育する代表的な樹種について、その特徴やエピソードをご紹介いたします。第1弾は「カラマツ」です。

カラマツは主に寒冷地に生育し、成長が早くて丈夫な材質であるため、北海道ではかつて炭鉱の坑道を支える坑木用途で積極的に植林されていました。また、日本の固有種の中では唯一葉を落とす松で別名「落葉松らくようまつ」とも呼ばれており、降雪前にカラマツ林が一斉に黄葉すると、一面は美しい黄金色に染まります。

カラマツ材は強度に優れ、赤みのある独特の美しい風合いがあるなどの利点がある一方、乾燥後にねじれによる割れや狂いが出やすい難点があります。そのため、坑木以外の活用としては梱包用材やパレット材などの資材用途が中心でした。しかし、近年では板状の木材を貼り合せて加工することにより、合板材や集成材として建築材などで活用される事例が増えています。また、木材の乾燥技術自体も大幅に向上しており、カラマツ材を丸太そのまま、あるいは切り出して柱等に活用する無垢材むくざいとしての利用も可能になりつつあります。

なお、北海道における三菱マテリアルの森では、現在もカラマツ、グイマツ、グイマツ雑種F1などのカラマツ系の樹種を中心に植栽しています。一般的にカラマツを植えてから伐採するまでの期間は30~50年程度と言われていますが、カラマツ材が今後も建築材などの幅広い用途で需要があることを想定し、三菱マテリアルの森ではカラマツを伐採するまでの期間を延長し、より太く、高付加価値のある大径材を生産することを目指しています。

また、余談になりますが、カラマツ林を経営していると、木材生産以外に思いがけない副産物を得られます。毎年夏の終わりごろになると、地面からハナイグチ(別名ラクヨウ)というキノコがポコポコと頭を出します。ハナイグチは見た目の愛らしさに加え、キノコ狩りでは大人気の食用キノコであり、これからも貴重な森林資源として守っていきたいと思います。

黄金色に色づく晩秋のカラマツ林(早来山林) 黄金色に色づく晩秋のカラマツ林(早来山林)

社有林カラマツ材で製作したパンフレット棚(マテリアルリアルエステート㈱森林部応接スペース) 社有林カラマツ材で製作したパンフレット棚
(マテリアルリアルエステート㈱森林部応接スペース)

カラマツ林に顔を出すハナイグチ カラマツ林に顔を出すハナイグチ

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2018年1月

外部の研究機関等と連携した生物多様性保全

三菱マテリアルの森は日本全国31箇所、合計約14,500haと広大な地域に存在するため、生物多様性保全を進めるにあたっては、外部の研究機関等のご協力も不可欠です。

たとえば、大型で希少な猛禽類であるクマタカ(環境省レッドリスト:絶滅危惧IB類)を林内で確認した際には、生息情報を社内に留めるのではなく、研究団体と共有して森を開放し、生息調査を行っていただいています。これにより、クマタカの生態解明に大きく貢献するとともに、生息状況を、より専門的な視点で把握することが可能となるため、今まで以上にクマタカに配慮しながら森林整備を行うことが可能になります。

また、林業試験場が実施するクマゲラの生息調査や、市町村が実施する絶滅危惧植物の調査、酪農学園大学等が実施するヒグマの生息実態調査など、外部の各種調査機関に森を解放することで、私たちだけでは手の届かない広大な範囲まで、多面的な視点から生物多様性の保全に繋がるさまざまな活動を展開しています。

私たちは、自社で行う地道な動植物のモニタリング活動等に加え、外部の研究機関等と連携し、より効果的な形で生物多様性保全や環境保全に努めてまいります。

「北海道クマタカ研究会」の方々が、木を登ってクマタカの巣内を調査する様子 「北海道クマタカ研究会」の方々が、
木を登ってクマタカの巣内を調査する様子

社有林上空を飛翔するクマタカの幼鳥(上記北海道クマタカ研究会撮影) 社有林上空を飛翔するクマタカの幼鳥
(上記北海道クマタカ研究会撮影)

社有林内の定点カメラによって撮影されたヒグマ(札幌市提供) 社有林内の定点カメラによって撮影されたヒグマ(札幌市提供)

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2017年10月

ドローンを活用した森林管理とモニタリング

ドローン調査作業 ドローン調査作業

近年、ドローン(無人航空機)がさまざまな産業分野で応用されつつありますが、林業分野においても活用事例が拡大しており、三菱マテリアルの森でもいち早くドローンを導入し、広大な森林を上空から撮影して得られる情報を活用して森林管理に役立てています。
具体的には、人工林の生育状況の把握、台風等の自然災害による被害状況の把握、伐採・地拵じごしらえ(落ちている枝等を整理したり笹草を刈り払って、苗木を植えられるようにすること)等の事業現場を図化して効率的な作業に活かすこと等が挙げられます。

また、現在、ドローンの有用性をさらに高めるため、自動航行システムにより得られた複数の撮影画像をオルソ化して数値表層モデル(DSM)**を作成し、これらを解析することで森林蓄積(木が生長した量を体積で表したもの)の把握に活用する等の分野で試験的に取り組んでいます。
一般的に森林蓄積を把握するためには、森の中で樹木を一本ずつ数える等の地道な調査を行うため、膨大な時間と労力が必要になります。また、倒木処理時の樹木跳ね返り、急傾斜地での転落、クマ、スズメバチ、マダニ等との遭遇等、調査作業自体も常に危険と隣り合わせています。こうした課題解決に向け、ドローンを活用して森林蓄積を把握する技術を確立できれば、安全かつ効率的に作業を行うことが可能になり、林業分野で盛んに叫ばれている「軽労化」、「低コスト化」に向けた新たな突破口の一つとなり得ることから、少しでも早く実務に取り入れられるよう試行錯誤を続けています。

さらに、ドローンは日常のモニタリング活動においても活躍が期待されます。具体的な活用例としては、猛禽類の巣内の雛の生育状況をモニタリングする際、十分に距離を取り繁殖に影響しないよう配慮しながら上空から確認したり、赤外線サーモグラフィカメラを搭載して野生動物の生息状況を把握したりすることが考えられます。また、地上の視点とは異なり、上空からの景観スケールで森林の変化を確認することが可能になる等、実に多様な活用方法が考えられ、モニタリングの質を一層向上させることができると思われます。

ただし、ドローンはあくまでも技術補助の一部に過ぎず、従来の森林管理の手法が重要であることには変わりがありません。今後も現場において現物に触れ、実態を見極めながら目標とする森林の姿へ近づける森林管理を継続するとともに、ドローンという“新たな視点”も加えつつ、適切に社有林を守って行きたいと考えています。

*航空写真では、写真の中心から外周に行くに従ってひずみが生じ、そのままでは地図と重ね合わせたり、分析に用いることができない。このひずみを修正することを「オルソ化」といい、補正後の航空写真を「オルソ画像」と呼ぶ。

**数値表層モデル(DSM; Digital Surface Model)のこと。建物や樹木などの地上物を含めた高さを表現したデータ。

美唄山林
美唄山林
(写真左から 紅葉したカラマツ、常緑のトドマツ、落葉した広葉樹)

間伐事業地のオルソ画像
間伐事業地のオルソ画像

間伐事業地のDSM
間伐事業地のDSM(デジタル・サーフェイス・モデル)

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2017年7月

地域の皆さまに愛される社有林を目指して

柔らかな日差しが差し込む林内(手稲山林) 柔らかな日差しが差し込む林内(手稲山林)

三菱マテリアルの森では、生物多様性の保全とともに、森林の多面的機能を高めながら木材生産やCO2吸収の促進を目的として「資源林」の整備を進める一方、都市近郊に位置する社有林については、地域の皆さまなどに豊かな自然環境をより身近に楽しんでいただける「環境林」と位置付け、その一部を開放しています。

札幌市手稲区に所在する手稲山林は、札幌市内中心部からの交通アクセスが良好な場所にありながら、豊かな森林に囲まれた素晴らしい環境にあることから、札幌市に対して札幌市市民の森、自然歩道、青少年キャンプ場などの用途で一部を提供したり、地元NPO団体「手稲さと川探検隊」が主催する環境教育、地元小学校のスキー学習の場、大学等研究機関の研究フィールドなどとして広く開放しています。
環境林における私たちの大事な務めは、地域の皆さまにより有意義に社有林を活用していただけるよう、それぞれの用途に適した環境に維持することです。混み過ぎて日が射さず暗い林は間伐することで林内を明るくし、様々な動植物が棲みやすく、水源涵養機能等の多面的機能を高める森づくりに努めるのはもちろんのこと、林内で倒木の危険がある枯木等を見つけたときは速やかに除去し、林内の安全な場所に移しています。また、雪解けや雨の後に、自然歩道でぬかるみ等、歩き難い場所が生じた場合は、利用者が安心して歩けるようにするため、木材を敷き詰めるなどの路面整備も行っています。

社有林は、私たちの大事な財産であると同時に、その地域を形成する重要な環境要素の一つでもあります。私たちは、これからも適切な社有林運営とともに、地域の皆さまに愛される森林環境の整備に努めて行きたいと考えています。

自然歩道のぬかるみを整備する様子(手稲山林) 自然歩道のぬかるみを整備する様子(手稲山林)
市民の森で危険木等を処理する様子(手稲山林) 市民の森で危険木等を処理する様子(手稲山林)

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2017年4月

手稲さと川探検隊が冬の森遊びを満喫!

イタヤカエデの樹液採取を体験 イタヤカエデの樹液採取を体験

そり遊びを楽しむ子どもたち そり遊びを楽しむ子どもたち

2017年2月25日、三菱マテリアルの手稲山林(所在:北海道札幌市手稲区)の一部を開放し、「手稲さと川探検隊(代表:鈴木玲氏)」が自然体験活動を開催し、札幌市内の子どもと大人約30名、当社社有林管理の実務を担うマテリアルリアルエステート㈱森林部から2名が参加しました。

「手稲さと川探検隊」は、主に札幌市手稲区内を活動場所とする市民団体です。2004年7月の設立以降、子どもと大人が身近な自然を体験し、自然との付き合い方や自然を守り育てる感性を学ぶことで、地域の自然環境の保全のための生物調査を継続的に行うことを目的に活動されており、今回は「冬の森遊び」をテーマとして午前の部でイタヤカエデの樹液採取、午後の部でそり遊びが行われました。

メープルシロップの原料となる樹液が採れる木としては、カナダの「サトウカエデ」が有名ですが、北海道に生育するカエデの仲間「イタヤカエデ」の樹液からも作ることができます。まず、森の中に入り準備体操した後、スノーシューを履いてお目当てのイタヤカエデをみんなで探しました。北海道の2月はまだとても寒く、手稲山林内のイタヤカエデは他の落葉広葉樹と同様に、葉を付けずに雪の中で春の訪れをじっと待っていますが、幹の中では地面から吸い上げた水分が早くも流れはじめています。幹の表面から1cm程の深さで穴を開けると、透明な樹液がしみ出すので、ペットボトル容器を設置して樹液を採取します。樹液をじっくり煮詰めるとメープルシロップが完成しますが、採れたばかりの樹液だけでも「なんだかちょっと甘い!」と子どもたちは目を丸くし、回収した樹液を集めて作るメープルシロップの完成が待ち遠しそうでした。

森の中でお弁当を食べた後は、近くの沢でそり遊びを楽しみました。はじめは地面がでこぼこしていて上手く滑ることができませんでしたが、何度も滑るうちに雪がなじみ、立派な自然のコースができあがりました。  子どもたちは"滑ってはスタート地点に戻る"を何度も繰り返し、大はしゃぎでした。

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2017年4月

日常のモニタリング活動について

フクジュソウ フクジュソウ

三菱マテリアルの社有林では、四季折々の森の移ろいを観察したり、森林の健康状態に異常がないかを確認したりと、日常的にモニタリング活動を行っています。

雪解けの季節である春は、林内の動植物の動きが特に活発になります。陽当たりの良い斜面からはフキノトウが真っ先に顔を出し、沢にはミズバショウが咲き、フクジュソウ(北海道レッドデータブックで絶滅危急種に指定)などの希少な植物を見ることもできます。また、春は鳥たちにとって繁殖期でもあり、林内にはさまざまな鳥類が訪れます。目視で鳥の種類を判断することはとても難しく、鳴き声を手掛かりに確認できる限りの生息状況を記録していますが、絶滅のおそれのある鳥を確認した場合には、繁殖期が終わるまでは極力巣に近づかないようにするなど、種の保存に努めています。

動植物の観察とともに、樹木の成長を見守ることも重要です。樹木が枯れたり腐ったりする原因となる有害な病害虫が発生していないか、大規模な風倒被害(強風により木が倒れてしまうこと)が発生していないかなどを定期的に確認し、適切な対応を行うことで、被害の拡大を未然に防いでいます。

私たちは今後も地道なモニタリング活動を通じて、社有林における生物多様性を保全しながら、適切な森林管理を行ってまいります。

フキノトウ
フキノトウ

ミズバショウ
ミズバショウ

オオルリ
オオルリ

風倒木処理 風倒木処理

モニタリング報告書 モニタリング報告書

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2017年1月

冬は主伐しゅばつ

三菱マテリアルの社有林では、一年で最も寒さの厳しい冬に「主伐しゅばつ」を行います。

主伐とは、森林が持つ多様な公益的機能のうち、木材としての利用に向け、十分に成長した樹木を伐採し、農作物と同じように収穫することを意味しています。
冬には葉が落ちて樹木の成長が止まり、地面から水分を吸い上げる量が減るため、樹木内部の含水率が低くなり、くるいや割れが少ない良質な木材を生産することができます。また、地面が凍結により固まるため、作業車両が林内を走行しやすいことも冬に主伐を行うメリットの一つです。

主伐の実施においては、特に生態系への影響を配慮し、限られた小さな範囲で行います。
特に、尾根林おねりん(山の尾根に成立している林のこと)や河畔林かはんりん(川の両岸に成立している林のこと)は生物の移動経路や生活空間として重要であると同時に、防風、河川への土砂流入防止、河川水温の安定といった多面的な効果もあるため、敢えて伐採せずに保全区域として残すことで、生物多様性の保全に配慮しています。

ところで、樹木が二酸化炭素(CO2)を吸収する能力は若齢~中齢期がピークで、中齢期を過ぎると徐々に落ちていきます。そこで、一定のタイミングで収穫し、新たな植栽により一から森林を育てることは、森林のCO2吸収能力を長期的に維持する上で重要であると言えます。また、樹木が吸収したCO2は炭素化合物として樹木内部に留まるため、従来同様に「家」や「紙」など様々な用途に木材を利用することで、大気中のCO2の削減に貢献することにも繋がります。

このように、尾根林、河畔林を残すなど極力人の手を加えないことが森林価値の向上に繋がる一方で、植え、育て、伐るなどの積極的な人の関与が森林価値を高めることもあるのです。

私たちは、今後も森林全体の公益的機能をより効果的に発揮させることを意識し、森林の特徴を見極め、保全及び木材生産を計画的に進めてまいります。

冬の伐採作業
冬の伐採作業

主伐において敢えて残した保全区域(尾根林)
主伐において敢えて残した保全区域(尾根林)

主伐により伐採した木材の積み上げ作業
主伐により伐採した木材の積み上げ作業

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2016年10月

秋は間伐かんばつ

夏が終わり、秋の足音が聞こえてくる頃、三菱マテリアルの社有林ではカラマツをはじめとする植栽木を対象に間伐かんばつを行います。

間伐とは、成長にともなって混みすぎた林の木を一部抜き伐ることです。最初は小さな苗木ですが、植えてから15年もすれば大きく成長し、隣り合う木と木の枝や葉が重なりやすくなります。そのまま放置すれば太陽の光が十分に届かず、幹の細い弱い木になってしまいますが、間伐を行うことで林の中に差し込む太陽の光を増やし、再び活発な光合成を促すことで、立派な太い木を育てることができます。
また、林の中が明るければ、木の周りにさまざまな植物が集まって力強く根を張り、地下水を適度に溜めてくれる機能もあることから、豪雨等の災害時に土砂の流出を防ぐことにも繋がります。

一口に間伐と言っても、木々の混み具合は場所ごとに異なるため、方法は必ずしも同じではありません。そこで重要な作業が選木せんぼくです。
木の形状、幹の太さ、樹高じゅこう(木の高さ)、樹冠じゅかん長率ちょうりつ(木の高さに対し、葉のついた枝がある部分の割合)、隣の木とのバランスなど、さまざまな視点から判断することで、実際の森林の状況に応じて木を伐る量、木の残し方などを変えています。選木によって将来の森林の姿が決まるとも言えますので、三菱マテリアルの社有林を管理するマテリアルリアルエステート㈱森林部では、定期的な勉強会の開催や作業現場から提案を受けた改善案の振り返りなどを通じて、選木の技術を高める取り組みを進めています。

私たちは適切な間伐によるたくましい森林づくりを目指しており、間伐により伐り出した木材についてもできる限り再生可能な資源として世の中に送り出すことで、人と社会と地球のために貢献してまいります。

間伐作業の様子
間伐作業の様子

間伐により明るくなった林内
間伐により明るくなった林内

選木に関する勉強会の様子
選木に関する勉強会の様子

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2016年7月

JICA研修生がやってきた! ~生物多様性保全の取り組み~

JICA研修生と一緒に JICA研修生と一緒に

当社社有林管理の実務を担うマテリアルリアルエステート㈱森林部では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が進める2016年度課題別研修「生物多様性保全のためのGIS・リモートセンシングを利用した情報システム及び住民参加型保全」の一環として、2016年7月21日、北海道札幌市の同社森林部事務所において、エクアドル、カンボジア、ミャンマー、ラオス及びボツワナからの海外研修生7名を受け入れ、実務に即した研修を実施しました。

JICAでは、途上国において、生物多様性に関する情報をより高度な手法で管理するための支援策として、林業・森林管理に携わる海外の研修生に日本の先進的な取り組みを紹介しています。そこで、今回、三菱マテリアルの社有林における全地球測位システム(GPS)、地理情報システム(GIS)などの技術を用いた生物多様性保全の取り組みに注目いただき、本研修が実現しました。

「GPS」とは、カーナビゲーションやスマートフォンなどでも身近な、地球上の位置の把握や記録が可能なシステムのことです。また、「GIS」とは、GPSで取得した位置情報や地形図などを、一つの図面上に重ね合わせて表示できるシステムのことです。
当日は、希少種であるオオタカやクマゲラの巣の位置をGPSで記録し、GIS上で地図として広く周知することで、彼らの繁殖時期に悪影響を与えないようにしていることや、尾根や沢など動植物の生息環境として重要な場所をGIS上の図で色分けして管理し、極力手を加えないことで生物多様性の保全に役立てていることなどを説明しました。

研修生からは「民間組織の取り組みが成功していることに驚いた」、「生物多様性の保全を森林管理に取り入れる良いアイデアが得られた」など、母国においても実践可能な取り組み事例として、高い評価をいただくことができました。

私たちは今後も社有林に生息する生物の多様性を尊重し、保全する取り組みを続けることにより、さまざまな環境問題の解決に貢献したいと考えております。

社有林の概要説明の様子 社有林の概要説明の様子
GPS・GIS活用事例の説明の様子 GPS・GIS活用事例の説明の様子

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2016年7月

夏は下刈したがり

下刈の様子① 下刈の様子①

下刈の様子② 下刈の様子②

毎年夏は、三菱マテリアルの社有林においても植物が最も盛んに成長する季節です。カラマツをはじめとする小さな苗木なえぎは、太陽の光をたくさん浴びて「我先に」と空に向かって背を伸ばし、数十年後には20mを超えるほどに成長します。しかし、植栽しょくさい(苗木を植えること)後3年〜5年の間は、苗木の成長が雑草に比べて遅いため、周りを雑草に囲われてしまい、太陽光を十分に得られずに枯れることがあります。 そこで、周辺の雑草を刈り払う「下刈したがり」を行うことで、苗木の成長を守っています。

下刈は、まず作業前に苗木の樹高じゅこう(地面から木の頂点までの高さ)を測定し、周囲の雑草の生え具合を確認します。その上で、刈払機かりはらいきを使って苗木を傷つけないよう丁寧に雑草だけを刈り取ります。

三菱マテリアルの社有林では、毎年数百haもの面積(平成27年度は約200ha、東京ドーム約42個分)で下刈を行っていますが、人の手による作業のため、多大な時間と労力を要します。また、炎天下での作業のため、熱中症やスズメバチ等の危険生物に注意する必要があります。さらに、刃物を扱うため、作業を行う人同士が十分に距離をあけ、傾斜地では上下方向に並ばない等、安全に対する配慮も必要です。

このように、下刈は手間のかかる作業ではありますが、今は小さな苗木であっても一本一本が立派に成長し、数十年後には素晴らしい森に変化してくれることを期待しながら、私たちは社有林を大切に育てています。

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