INTERVIEW 30

技術開発/事業開発

試行錯誤を楽しむ。
議論と実験を重ね、次代のトビラを開く。

W.M
ものづくり・R&D戦略部 
イノベーションセンター
2009年入社

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

EPISODE 01 腰を据えて研究に
没頭できる環境と
材料の持つ
無限の可能性。

大学院では物理化学系の研究室に所属し、カーボンナノチューブをはじめとする炭素系のナノマテリアルを研究していました。この分野に関心を抱いた理由は、当時、カーボンナノチューブへの注目度が高まり、用途への期待が大きく広がっていたからです。研究対象も材料から製品まで幅広く見据えていたことから、素材の持つ影響力を実感できました。
就職に際しては必ずしも炭素系にはこだわらずに幅広く「研究開発を通じてものづくりに貢献したい」と考えていました。自身の専門分野から遠い業界・業種にも触れたいと考え、消費財メーカーも含めて多くの企業を訪問しました。各社の話を聞き、最終的に思ったのは、「BtoBの材料メーカーで取り組む研究開発が、裾野が広くて一番面白そうだ」ということです。この想いを持って研究室の先生に相談したところ、真っ先に紹介されたのが三菱マテリアルでした。
面接でも材料研究に重きを置いていることを知り、私にとって最適な環境があると感じました。研究所で働く女性の先輩と話す機会もあり、その熱意や研究を楽しんでいる雰囲気も魅力的でした。また、研究所の周辺地域には研究室の実験で訪れていた公的な研究機関が多くあり、土地勘も多少ありました。ウィークデーは仕事に集中でき、休日はゆったりと過ごせる環境が近くにあることから、入社後に研究員として充実した日々が過ごせると感じたことも、志望理由の一つになりました。

EPISODE 02 次世代半導体実現の
カギとなる
コア技術への挑戦。

入社以来取り組んでいるのが電気銅の研究です。パソコンやスマートフォンなど、あらゆる電子機器に搭載されている基板や半導体の配線に必須の材料で、高速処理機能を実現するキーテクノロジーの一つです。半導体関連は、新しい技術や素材が次々と登場して機能が進化し続けています。現在、私がターゲットにしているのは、今後数年~数十年後に使われるであろう銅という素材を使ったより高速で高性能な電子デバイスをつくるための研究で、チームメンバーと一緒に進めています。
研究で苦心する点は、論理的に正しい道筋が構築できても、実験してみると期待通りの効果が得られないのが珍しくないことです。研究で成果が得られても、操作性や経済性、導入現場の負荷などから実用化されないこともあります。こうした課題をクリアするためには、一人で悩み続けるよりも、チームメンバーや他の領域の研究員、製造現場の技術者、時には社外スペシャリストを含めたディスカッションが、極めて有効です。異なる視点からのアドバイスが、ブレイクスルーの入り口を示してくれることも数多く経験しました。試行錯誤の連続ですが、産みの苦しみと量産化や製品化できた時の喜びは表裏一体のものです。
最近の取り組みで特筆できるのは、電子デバイスのワイヤ・ボンディングなどの原料に使用される高純度銅の開発です。1年近い試行錯誤で高純度の銅を生成する工法と分析方法を確立し、製造工場での実証試験を実施したのですが、研究所の工法と分析方法をすぐには再現できませんでした。理由は研究所と製造工場のスケールの違いでした。研究所では小さいスケールで試験を行うため、管理も比較的容易ですが、製造工場ではスケールが大きく、全ての条件を把握することが困難でした。そこで、製造現場の技術者たちにもプロジェクトに加わってもらい、現場の環境を熟知している立場からさまざまなアドバイスをもらいました。その意見を反映して生成工程を改善することで、ようやく目標を達成。他分野の技術者との連携が、実用化に結び付く有効な手段であることを、改めて実感しました。

EPISODE 03 領域を横断し
チームワークで
電気銅の
可能性を追究。

さまざまな研究に携わったことで入社動機の「研究開発を通じてものづくりに貢献したい」という想いは着実に達成できています。また、年に数件は特許の申請・取得もこなし、研究員としての実績も積み上げています。今後の目標に掲げているのは、業界のトレンドを的確に捉え、未来を見据えて電気銅の可能性を広げる研究テーマを提案すること。そのために関連学会はもちろん、他学会の研究論文にも積極的に目を通し、各領域のスペシャリトとのディスカッションも積極的に行って、テーマを具体化していきたいと考えています。
もう一つの目標は、チームリーダーとしてメンバーが自信を持って研究に取り組める環境をつくり上げることです。共働きの方でも、時短やフレックス制を利用してバランスよく研究されている方もいる職場環境において、全ての研究メンバーが、狙った成果を目指して研究に取り組んでいるものの、期待通りの結果が得られず、研究が停滞してしまうことは、少なくありません。メンバーへの気配りを忘れず、壁にぶち当たっていると感じた時には積極的に声を掛け、チーム全員でコミュニケーションを図り、みんなで突破口を見いだせるようにしていきたいと思っています。
研究は楽しいものであり、試行錯誤にも面白さを感じられる雰囲気を根付かせたい。そうした環境の中で取り組むことにより、有望な研究成果を数多く導き出し、それを量産化、実用化に結び付けていきたいと考えています。

MESSAGE

就職活動に当たって最初の段階ではあまり業界を絞り込まず、さまざまな企業を見て回った方が良いと思います。同じメーカーでもBtoBとBtoCではビジネスモデル、研究のアプローチ、求められる能力など違う点が数多くあります。私が多くの企業を見た中でBtoBの材料メーカーに興味を持ったのは、開発製品がさまざまな形に姿を変えて幅広い領域と深く関わっていたことから、自分の可能性を広げられる面白さがあると思ったからです。
会社ごとに良さがありますし、調べるうちに思ってもみない業種の企業に魅力を感じることもあります。ぜひ、たくさんの企業を見てください。

SCHEDULE

8:00 出社して最初にメールチェック
8:30 チームミーティングを開催 業務に関連する予定や申し送りを連絡 メンバーが本日取り組む作業内容を確認
9:00 前日までの試験結果をまとめて次回の会議資料を作成
10:00 オンライン実施の部内進捗共有会に参加 他部門の人にも参加してもらい異なる視点からの意見やアドバイスをもらう
12:00 社員食堂でランチ 珈琲が美味しいので食後はいつも珈琲を飲みながらゆっくりした時間を過ごす
13:00 実験開始 装置が稼働中に資料作成やデータのまとめを実施
15:00 他拠点にある研究所の別部門が実施する部内ミーティングにオンライン参加 異なる専門知識からの意見交換で刺激をもらう
16:00 現在の実験データから出願が可能な特許内容について知的財産部と研究所内で打ち合わせ
17:00 実験データを収集して片付けを実施
17:30 取得した実験データを社内チャットでメンバーと共有 チームメンバーから報告された実験結果をもとにディスカッション 次に行う試験の方向性を決定
18:30 退社