INTERVIEW 15
INTERVIEW 15
家電リサイクルの最前線に立ち
多様な素材の
高品位化、安定操業実現に挑戦。
(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)
地球温暖化やオゾン層破壊などの環境問題やその解決策に興味があったので、学生時代は環境化学、特に温室効果ガスの分析について専攻してきました。就職に際しては、習得した知識と技術を人々の暮らしと関わる分野で活かしたいと考え、その文脈で興味を持った素材業界について調べる中で三菱マテリアルと出会いました。魅かれたポイントは、川上の資源から川下の製品まで、どの分野にも強みを持っていること。また、家電や自動車など身近な製品で使用された素材を再生する資源循環に業界内で最も注力していて、今後も強化していく方針を掲げていたことです。ここなら大学で得た知見を存分に活用でき、技術者として環境保全の最前線で活躍できると考えて入社しました。
新入社員研修後の1年目から、当社とパナソニック社、三菱ケミカル社の共同出資で設立された家電リサイクルプラントの中部エコテクノロジー社へ出向、技術者としてのキャリアがスタートしました。同社では薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機を対象に年間約56万台の使用済み家電を処理しており、身近な製品の資源循環に携わりたいという希望を叶えられる環境でした。私の所属している部門では解体した家電を破砕処理し、磁力や近赤外線などを使用した高度な装置で各資源類に選別し、リサイクルしやすいように高品位化する機械処理工程を担っています。その中で私は、機械処理設備の操業管理、冷蔵庫やエアコンなどで使用されたフロン類の回収~出荷、作業エリアの安全性向上に関わる業務などに従事しています。このほか、安全衛生委員会の事務局員として、全従業員が安全で快適に作業できる職場環境づくりにも携わっています。
今の部署に配属されて間もない頃、解体材の中に「三菱マテリアル」のロゴが描かれた電子部品を発見することがありました。この時に、当社は川上の資源から川下の加工品に至るまで一貫した資源循環の拡大に取り組み、自分自身もその循環型社会の構築に貢献していることを改めて実感し、うれしくなったのを今でも鮮明に覚えています。
またこの仕事を通じて感じるのは、関わる素材の幅広さです。家電製品は、鉄・アルミニウム・銅などのほか、プラスチックやゴムなど数多くの素材でつくられています。三菱マテリアルの一員でありながら、例えば金属だけでなく樹脂の再資源化にも携われるのは、家電リサイクル事業ならではの特色だと感じています。
入社2年目の時、安定操業の精度を向上させるため、樹脂選別工程を対象に、設備の稼働確認とトラブルの発生を抑える新システムの開発を担当しました。従来はトラブル発生時には無線による報告と、日報で記録を残すことが中心で、稼働状況のリアルタイム監視と異常履歴の把握に課題がありました。そこでまず、上司や先輩、さらには現場の方々にも助言を頂き、システム導入が先行していた機械処理工程を参考に、システム要件を定義しました。次にこれに基づいて各処理設備から稼働データを収集してグラフ化し、管理室のモニターで操業状況をリアルタイム監視できるシステムを構築しました。さらに、収集データからトラブル発生の傾向を分析し、発生を抑えるための環境を整備しました。例えば、“Aという解体材を処理設備に投入すると、システム負荷の上昇でトラブルが頻発する”と分かった工程では、負荷を低減するために処理速度を落とすという新たな操業ルールを設定する、といった改善の取り組みです。これにより、トラブルの発生件数が減少し、安定操業のレベルアップに貢献できました。
また、本システム導入後にはもう一つの仕組みづくりにも着手しました。作業エリアは夏季になると40℃近くになることもあり、設備の稼働状況確認で構内を歩くだけでも作業者の負荷になっていました。そこで、各設備に状況確認用カメラを設置。前述した設備のリアルタイム監視システムと併せ、カメラ映像から設備の稼働状況を正確に把握できるようにし、作業者の負荷を軽減する仕組みを構築しました。導入後には現場の方から次々に感謝の声が寄せられ、大きな達成感を味わうことができました。
今後を見据えて取り組んでいきたいのは、やはり高精度な選別による資源の高品位化です。私たちが選別した素材・資源を受け取り、製品化に取り組む次のステップの企業の方々から、私たちの拠点と連携できてよかったと喜んでもらえるよう、回収物の品位をこれまでよりも更に高めていきたいと考えています。
もう一つは、フロン類の回収から出荷までのプロセスを、より一層安全・確実なものにしていくことです。フロン類は冷媒や断熱材として有用な反面、オゾン層破壊や温室効果ガスとしての側面も持っています。これらを適正に回収が実施できていることをリアルタイムで監視することや、回収・出荷作業時に大きな負担がなく、誰もが安全に管理を行えるシステムづくりを推進したいですね。
家電リサイクル業界の大きな特長は、家電リサイクル事業に関わる全ての組織・企業が協力・連携して、理想的な再資源化サイクルの実現に向けて全力で取り組んでいることです。その中で私たちは、先進の技術と取り組みで、廃家電を再製品化しやすい高品位な資源に戻し、業界各社と連携することで、今後も循環型社会の実現と推進をリードする役割を担っていきたいと思っています。
資源循環は、これからも私たちの生活と切り離せない関係になっていきます。この分野では、機械設備や化学物質の取扱いなど各分野の専門知識が必要ではありますが、あらゆる分野の人が活躍できる余地があります。実際、私の職場では、化学をはじめ、機械や電気、さらには建築系など、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが活躍しています。自分の専門を強みとしながら、その枠組みを超えた連携によって活躍フィールドを広げ、社会に貢献できる、魅力に溢れた領域です。業務に必要な知識は入社後に十分習得できる機会があるので、資源循環に少しでも興味がある方は私たちと一緒にチャレンジしてみませんか。
6:15 | シフト制で立上作業を担当する今日は早めに出社、メールチェック |
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6:30 | 工場設備の始業前点検と立上作業を実施 |
7:00 | 設備の稼働状況が操業開始に問題ないことを確認 |
7:30 | 操業開始。朝礼後に1日の操業内容を確認 |
8:00 | 回収冷媒フロンの出荷対応 |
9:30 | 生産会議。今日の操業状況の確認と翌日以降の予定について情報共有 |
10:00 | 設備メンテナンスや工程改善について協力会社と打ち合わせ |
12:00 | 昼休憩 |
13:00 | 工程改善に関する検討資料作成や、設備巡視対応 |
14:45 | 安全衛生委員会に出席 |
15:45 | 委員会終了、議事録を作成 |
16:15 | 定時操業終了。設備立下作業後に場内を巡視して施錠を確認 |
17:00 | 業務終了 |