INTERVIEW 31

技術開発/事業開発

未来のクルマに不可欠な材料開発で
地球環境の保全に貢献。

M.R
戦略本社 イノベーションセンター(小名浜支所) ナノ・機能材料領域
2021年入社

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

EPISODE 01電気自動車向けの
次世代電池材料が
入社後の
研究テーマ。

私の母国はマレーシアです。幼い頃から親しんできた自然の成り立ちを基礎から学びたいと考え、化学の道へ進むことを決めました。グローバルな研究動向を調べて分かったのが、日本の大学が化学領域の研究で先行していることです。研究の夢を叶えたいと思い、生まれ育ったマレーシアで日本語を2年間勉強したのち、日本に留学しました。大学では博士課程まで無機化学の研究に従事。この学びを活かすため、就職に関しては、幅広く無機材料に関わる研究開発に取り組み、その成果をグローバルに活かせる仕事がしたいと考えていました。この想いを実現できる企業を調べていく中で注目したのが、三菱マテリアルです。内定までの過程で印象に残っているのが、面接で私の希望を伝えた時のこと。「無機化学の知識を活かしてグローバルに活躍したい」と伝えたところ、「一緒に革命を起こしましょう」と言われたのです。この言葉から、三菱マテリアルのグローバル展開へ向けた熱意を感じ、進むべきフィールドがここにあると確信しました。
入社後の業務は、電気自動車向けの次世代電池材料に関する研究開発です。現在の電池材料はとても高価で、その高値が車載バッテリーの価格に反映され、車両価格が高額になる原因の一つになっています。そこで、低価格・高性能な電池材料を開発することで車両価格を抑えて普及を加速し、地球環境の保全に貢献することが、私たちの目標です。電池材料の開発は、私にとって新しい研究テーマですが、無機材料の知識を存分に活かすことができます。さらに、未来を見据えた意義あるテーマであることから、挑戦のしがいもある仕事です。

EPISODE 02研究室レベルで
実現した性能を
いち早く
量産レベルへ。

所属チームでは、2つのグループで研究開発を推進しています。一つは、次世代電池材料を開発するための出発原料を探索・デザインするグループ。もう一つは、創り上げた新たな出発原料を使って合成を行い、次世代の電池材料を開発するグループです。私はこの間に入り、両者の成果を結び付けてプロジェクト全体をリードし、成功へ導く役割を担っています。
現在の電池材料が高額な原因の1つは、電池材料を開発するために高価な出発原料が必要になることです。そこで私たちはまず、従来とは全く異なる物性による合成方法の構築に向けて研究開発に着手。短い期間で画期的な新技術を確立し、特許を取得しました。これにより、安価な出発原料による次世代電池材料の開発が可能になったのです。実際、この新合成方法に対応する有望な出発原料を創り上げて電池材料を開発してみたところ、現在市場で高く評価されている国内および海外のメーカー製材料と同等以上の性能が確認できました。この成果を受けて私たちは現在、量産化に向けた取り組みを進めているところです。
量産化に向けては、新たな課題が次々に発生します。例えば、設備機器関連。生産設備が巨大化・複雑化するため、トラブル原因の解明も簡単ではありません。この時頼りになるのが、イノベーションセンターの分析グループメンバーや現場で生産技術に携わった経験のある先輩技術者たちのアドバイスです。例えば、電池材料の性能をより高めるため、出発原料の純度向上に取り組んだ時のことです。無機材料の発想をベースにした探索で、高い壁を感じて行き詰っていました。その時、異分野を専攻したメンバーが、それぞれの専門知識から原料探索の工程に新しいアイデアを提案してくれ、それがブレイクスルーになり、純度を高めることに成功。新しい出発原料を使用して電池材料を開発したところ、既存材料よりも非常に高い性能が確認できました。この電池材料を使用して車載バッテリーを製品化すると、エネルギー密度が高まって航続距離を伸ばすことができます。耐久性も向上して、長期間の使用が可能になります。さらに、扱いやすさも向上して、安全性も高まる上、充電時間が短くできます。このように高性能化した電池材料を、現状よりも抑えた価格で提供することが、今目指している目標です。

EPISODE 03無理なく、楽しく、
ワンチームで
グローバル社会に
貢献したい。

こうした取り組みによって次世代電池材料の低価格・高性能への道筋が見えてきたことから、国内の自動車・電池メーカーから私たちに寄せられる注目度が高まってきました。そこで私たちは現在、各メーカーと協力しながら製品化の道を探っているところです。求める性能や特性はメーカーごとに異なるため、さまざまなニーズに応えられるよう、新たな出発原料の探索と電池材料を合成する方法のさらなる進化にも取り組み、電池材料のラインアップ拡充を計画しています。こうした成果の実現により、世界中のメーカーに対して柔軟に対応できる企業としての認知度を高め、グローバルな実績を挙げていきたいと考えています。
その実現には、グループのメンバー力を結集することが最も重要です。このグループは20代が多い若い集団です。この若さを最大限に活かして、新しい発想、画期的な取り組みに躊躇なくチャレンジできるよう、メンバーには積極的に声を掛け、誰もが思ったことを主張して行動できる環境づくりを進めています。また、これまでの研究開発を通じて培われた周囲のグループや他部署との関係性を活かして、テーマ内容や設備、分析方法を共有し、困った際にお互い様で助けて助けられたりする体制づくりにも努めています。メンバー全員で、無理なく、楽しく働き、ワンチームになって、未来のグローバル社会に貢献するというゴールを、必ずや達成します。

MESSAGE

さまざまな企業を、しっかり調査しましょう。仕事の進め方や働き方などは企業によって異なり、それぞれに良さがあります。「私はこれがやりたいです!」「私はこれができます!」とアピールした上で、「私がやりたいと思っていることを実現できる環境や、経験を活かせる場面が御社にはありますか?」と素直に聞いた方が良いと思います。機会があれば、社内見学や先輩社員との懇談会に参加し、確かな情報を得るのも有効な手段です。
また、新しい分野への挑戦を怖がらないでください。私が所属するチームにも、無機材料以外を専攻した人が多くいますが、周囲のサポートや勉強する機会をうまく活用して、大いに活躍しています。これまでの学びで得た知識や経験を活かして活躍できるシーンは必ずあります。自分の個性、希望する働き方に合う企業を、いろいろな視点から検討して見つけてください。

SCHEDULE

7:00 出社。まずはメールチェックし、実験内容の計画および実験スタッフへの依頼リストを作成
8:00 グループ朝礼。1日の作業を共有し、スタッフのスケジュールを調整
9:00 前日までの試験結果をまとめて会議資料を作成
10:30 他部門との打ち合わせに参加し、プロジェクトの状況を共有
12:00 昼休憩。週1回は手づくり弁当を持参(本日のメニューはマレーシア風チリ―ソースをかけた唐揚げ&味噌汁)。その他の日はお弁当屋さんに注文しておいたメニューをおいしく頂く
13:00 グループミーティング。1週間の進捗および課題点を共有。スケジュールをメンバーと調整
15:00 ラボで実験。今後の実施内容をスタッフに伝えて、実作業をタッチ
16:00 デスクに戻り、論文を調査。研究に必要な情報を収集
17:30 終業。グループメンバーとゴルフやテニスの練習をして、帰宅