INTERVIEW 02
INTERVIEW 02
ガス炉の省エネルギー活動。
天然ガス使用量を50%削減、
目標を上回る収益改善を達成する。
(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)
大学では、家族の影響もあって電気系の学部を専攻。そこで半導体の素材に触れ合うことで、より一層材料への興味が湧くとともに、当時流行っていた磁性についても学びたいと思い、大学院は材料系の研究室を選択しました。この期間で具体的に取り組んだのが、10T(テスラ)級の強磁場を利用して銅中に分散した強磁性体粒子の形状や配向性を制御する研究です。銅という素材は優れた導電率を誇る反面、そのままでは強度がそれほど高くないため、銅中に第二相粒子などを分散(析出)させる析出強化という手法が良く用いられます。第二相として強磁性体であるFeやCoを採用し、10T級の強磁場中で析出させることで、強磁性体粒子の形状や配向がどのように変化するかについて研究を行いました。
修士課程、博士課程と約5年間研究を続けてきたので、就職にあたっては、「これまで培ってきた経験を生産現場での製品開発に活かしたい」という想いがありました。そんな中で巡り会った企業が三菱マテリアル。素材メーカーでは最大手で、学生時代に銅を扱っていたこともあり、私にとって魅力的な企業に思えたのです。そして決定打となったのがインターンシップでの体験。みんなが一丸となって問題解決に取り組んでいる姿を目の当たりにして、「自分もこのチームの一員になりたい」という想いが強まり、第一希望の就職先となりました。その後、無事に内定を獲得し、2011年4月から金属事業カンパニー銅加工開発センターの一員として、キャリアをスタートしました。
最初の3ヵ月の研修期間は金属事業カンパニー銅加工開発センター(現:高機能製品カンパニー銅加工開発センター)に所属し、堺工場での現場実習や、チタン銅の特性評価などを経験しました。そして2011年7月から正式に金属事業カンパニーのグループ会社である小名浜製錬株式会社小名浜製錬所 鋳造課に配属。ここはケークやビレットと呼ばれる形銅品を製造する部署で、私は、生産技術と品質管理を担当しました。キャリア前半は主にISO 9001の担当者として、生産や品質管理に関するPDCAサイクルを回すことで鋳造を一から学び、後半は予算の作成等で、課の運営にも携わりました。小名浜製錬所には約6年間在籍しましたが、ここで製造工程についての理解を深めることができました。
この6年間の経験のうち、特に大きな達成感を味わえたのは「ガス炉の省エネルギー化プロジェクト」です。バーナーで原料を予熱するために天然ガスを使用していたのですが、当時天然ガスの価格は上昇の一途。対策を打たない限り収益を圧迫するのは確実で、天然ガス使用量の削減は至上命題となっていました。天然ガスの価格が上昇した分だけ、使用量を削減するという目標を掲げ、まず、現場を注意深く観察することからはじめました。現場では、生産品種によって生産速度を変化させますが、それに合わせてバーナーの燃やし方を最適化する必要があることに気付きました。私は、技術職の係員としてどんな燃やし方をするのが効率的なのかを理論的に考え、提案しました。ただ、それだけでは安全面、作業性など実際に運用するには十分ではありませんでした。現場の作業員の方々に助言、協力を頂きながら、効率的でかつ現場に即した燃やし方を決めることが出来ました。燃焼の土台が出来たところで、更なる解決策として、バーナーをより高効率なタイプに変更することにしました。しかし、新しいバーナーを既設の架台に取り付けたところ、バーナーの炎が外から見えにくいことが分かりました。炎が見えないと失火時の対応が遅れるなど、安全上問題があるため、監視モニタや検知器の取り付けを提案し、安全に配慮した設備改良も達成。最終的には、天然ガスの使用量を50%、金額にして年間700万円以上の削減という、当初の予想を上回る削減効果を上げることに成功しました。
2017年4月からは堺工場に異動し、タフピッチ銅線の生産技術担当に。このタフピッチ銅は純銅のありふれた材料ではありますが、求められる品質レベルは年々上昇しています。お客様に満足して頂けるような品質を実現し、シェア拡大を図ることが部署としての喫緊の課題となっています。そのために従来は技術的に困難であった部位のデータ測定にチャレンジしています。試験が深夜に及ぶこともあります。また、得られたデータをどのように解釈するのか・・・。一筋縄ではいきません。文字通りタフな作業になりますが、当社製品のシェア拡大に貢献できるよう全力で改善に取り組んでいます。
三菱マテリアルの社員としての使命は、どの分野においてもNo.1の品質を提供することにあると思っています。品質改善の余地がある限りは、全力で取り組んでいく。その積み重ねが、会社の成長を支えることになると信じているので、これからも最高の品質を求めて、挑戦を続けていきます。
当社の技術職を応募される皆さんは、現在、研究に没頭しているかと思いますが、就職するにあたっては工場の生産現場を意識した方がいいかもしれません。自分の研究したものが現場でどう造られるのか、現場と対話の出来ない人は苦労すると思います。逆に言うと、現場に即した研究開発ができるようになれば、この仕事はもっと面白くなります。また、私のように博士課程からの就職を考えている方は、自分の専門分野だけにこだわらず、幅広い知識を習得するよう心がけてください。きっと道が開けるはずです。
8:30 | スタッフミーティング |
---|---|
9:00 | 前日の操業データの確認 |
10:00 | 出荷判定 |
11:00 | サンプル調査 |
12:00 | 昼食、休憩 |
12:45 | データまとめ、レポート作成、テスト準備 |
16:00 | 現場ミーティング |
16:45 | 退社 |