INTERVIEW 04

技術

自ら手を挙げて開発できる環境で
ナノ粒子の可能性を追求

A.E
三菱マテリアル電子化成株式会社
電子ファイン事業部 ナノ材料製造部(高機能製品カンパニー)
2017年入社

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

EPISODE 01 大学の専門である
ナノ粒子の世界を
さらに探求したい。

高校時代に化学に興味を持ち、化学を人々の豊かな暮らしの実現に役立てていきたいとの考えから、大学では工学研究科共生応用化学を専攻しました。主に研究していたのは無機ナノ粒子の湿式合成についてです。同じ物質であってもナノ粒子になるとバルクとは異なる特性が発現するところに興味を惹かれ、研究テーマとして選びました。
就職にあたっては、引き続きナノ粒子を探究していきたいという想いから、無機材料を扱う会社を中心に検討しました。中でも三菱マテリアルは、導電性粉末や機能性薄膜材料の製造において無機ナノ粒子の湿式合成を行っており、大学で学んできたことを活かせると考えました。
選考の過程ではイノベーションセンターで働く女性社員の座談会に参加したのですが、先輩方が仕事についてイキイキと語る様子が印象的でした。また、その後の面接でも、緊張してまとまりのない話をしてしまったにもかかわらず、面接官が丁寧に聞いてくださり、社内の雰囲気の良さ・人の魅力を感じたことが入社の決め手となりました。
この印象は現在も変わっていません。むしろ、入社前に想像していたより人間関係の良い会社だな、と感じます。たとえば、上司との距離の近さ。直属の上司だけでなく、事業部長も気さくに声をかけてくれますし、仕事で「こういうことにチャレンジしたいと思っている」ということを気軽に話せます。

EPISODE 02 薄膜材料である
ITO分散液の
開発・改良を担当。

現在は電子ファイン事業部の主力製品であるITO分散液の開発に携わっています。ITOとは酸化インジウムと酸化スズの化合物であり、ITOナノ粒子には導電性、透明性、熱線(近赤外線)カットといった特性があります。これを溶媒に分散させることで、帯電防止フィルムに使われたり、窓ガラスの遮熱に使われたりします。
開発のステップとしては、「遮熱効果を高めたい」といったお客様の要望を受けてITO分散液を設計・試作し、仕様通りになっているかを評価、問題がなければスケールアップするという流れになります。また、お客様からの依頼とは別に市場性のある新規製品の開発も行っています。
仕事で大切にしているのは、何事に対しても積極的に興味を持つことです。どこに課題解決や改善のヒントが落ちているかわからないので、新しい分析装置が入ったと聞けば使っている人に質問しに行ったり、他部署でどんな製品を開発しているのかを聞きに行ったりしていますね。といっても、とくに何かに役立てようと考えているわけではなく、シンプルに好奇心から話を聞きにいっているだけなのですが。
しかし、そういったところでの何気ないコミュニケーションが開発のアイデアにつながるのも事実。実際、先輩との雑談がきっかけとなって、ITOよりも性能が劣るものの、安価版として使用実績のある酸化アンチモンと酸化スズの化合物であるATOの性能アップに取り組み、現在、製品化を提案しているところです。

EPISODE 03 事業環境を踏まえ
薄膜材料の
性能改善に挑戦。

ビーカースケールの合成から量産用の実機に落とし込むまで、製品ができる全過程に関われるのがこの仕事の魅力です。ラボでうまくいっても実機ではうまくいかないケースもあるのですが、仮説を立てて検証し、問題を解決していくのが楽しいですね。
また、学生時代の知識が活かせているのもうれしいところ。湿式合成では粒子を溶液に沈殿させて不純物を取り除く方法が知られていますが、より小さなナノ粒子を作るには溶液に分散した状態で不純物を取り除く必要があります。入社当時の当社には後者のプロセスがありませんでしたが、私にとっては学生時代にいつもやっていたことです。上司にノウハウを伝えると、「これが知りたかった」と喜ばれました。
今後、取り組んでいきたいのはITOの性能改善です。一般的にナノ粒子は結晶性が低いのですが、結晶性を上げることで性能が向上します。しかしながら、結晶性を上げようとすると、粒子が大きくなり、当社ITOの特徴である透明性が損なわれてしまいます。ですから、高性能のITOを作るには結晶性を上げつつ、粒子を小さくしていかなければなりません。方向性としては、液中に分散した状態でナノ粒子の高結晶化が出来れば、性能向上品の新規アイテムとしてお客様に提案できると考えております。
一方、レアメタルであるインジウムは価格が高いこともあり、原料コストや環境負荷などの事業環境を踏まえた開発が必要です。インジウムの代替物質についてはイノベーションセンターが探っているところでもあり、協力して取り組んでいきたいと思います。

MESSAGE

就職活動ではいろいろな企業を見ると良いでしょう。とくに企業が主催する社員座談会は、社員の生の声を聞き、企業の雰囲気を感じられるチャンスです。仕事に対する姿勢、やりがい、モチベーションなどについて質問し、社会人になったときのイメージを膨らませてください。楽しく働いている自分がイメージできたら、その企業があなたにとっての最良の選択なのだと思います。
電子ファイン事業部では、人と話すことが好きな人、アイデアを積極的に発信する人が活躍しています。上司も若手の意見を求めており、時間が空けば自分の取り組みたいテーマで自由に研究できる環境です。そんな環境が「楽しそう」と感じるなら、当社に向いているかもしれません。

SCHEDULE

7:45 出社、メールチェック
8:00 工場ミーティング、当日のスケジュール確認
8:30 サンプル試作
12:00 昼休み(同僚と会社前のラーメン屋に行くことも)
13:00 サンプル評価
15:00 データをまとめ、次回試作の計画を立てる
16:00 顧客提出用資料や開発設計計画書の作成
17:00 退社