

高機能製品カンパニー
現場の困りごとに半歩先の
アイデアや自動化技術で応える
「設備のドクター」として。
- M.T
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高機能製品カンパニー
三田工場 生産技術室
ものづくり改革グループ2009年入社
※所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです

OB訪問で見えてきた
電気電子系が活きる道筋。


大学では燃料電池の研究室で、起電力の発生などに関わる研究に取り組みました。次世代を見据えた研究は、純粋に楽しいものでしたが、就職活動に向けて改めて自己分析を行い、見えてきたのは、研究よりもものづくりの現場で手を動かし、周りの役に立つ仕事の方がより自分の力を発揮できそうだ、ということです。この方向性でチャレンジしたいと思ったのが、馴染みのあった材料系の企業で電気電子システム工学の知識を活かす道です。真っ先に大手素材メーカーである三菱マテリアルに興味を持ち、電気系出身者の活躍ぶりを知りたいと思いOB訪問をしました。そこで先輩社員が語ってくれた「設備のドクターになれるよ」という言葉が印象的でした。プラントエンジニアは設備に携わる現場の人たちから信頼を得て、相談内容に応じて適切な処置を行い、安全・安定操業を支える仕事。そのスケール感や裁量の大きさに魅了され、入社への想いが一気に高まりました。
また、私はずっと実家暮らしだったことから、社会人になったら一人暮らしを経験したいと思っており、三菱マテリアルは全国に独身寮があることも魅力でした。実際に1年目から独身寮に入り、同期と仕事やプライベートを通じて絆を深めることができました。
入社後の配属先は、日本一のセメント生産量を誇る広大な九州工場です(現・UBE三菱セメント九州工場)。セメント製造は基本的に自動制御で、オペレーターが中央操作室から各種の製造設備を遠隔制御して生産します。一連の生産工程の中で私は、既設設備の改造や新規設備の導入といったエンジニアリング業務を通じて、設備のドクターとしての第一歩を踏み出しました。

現場の要望+αの解決策を提案し、
担当者の喜ぶ顔を目にする喜び。


6年目に、半導体関連製品を生産する三田工場へ異動しました。こちらは現場担当者による設備オペレーションが中心であり、異動して真っ先に感じたのはコミュニケーションの重要性でした。
異動して間もない頃、ある装置の保護カバーを製作してほしいという依頼が、現場担当者から届きました。私たちのもとには工場内から次々に依頼や相談が寄せられるため、内容から緊急度を判断し、優先順位の高いものから対応していきます。保護カバー製作の緊急度はさほど高くないと判断し、他の不具合対応依頼などから先に取り組んだ結果、「なぜこんなに遅いんだ!」と叱責されました。こちらの対応状況を伝えると、「それならそうと連絡が欲しい」「こうした対応では、任せたいことも任せられない」と厳しい表情で言われました。依頼者の立場で考えれば当然のことであり初期対応の拙さを痛感。その後は依頼が届くとすぐ現場へ直行して状況を把握することを習慣付けました。
こうして依頼者とのコミュニケーションを深め、信頼関係が生まれてくるにつれ、徐々に仕事をスムーズに進められるようになりました。時間があれば依頼がなくても現場を訪れ、関係づくりに努めた結果、さまざまな相談をもらえるようになり、それに応えるのはもちろん、+αの提案を盛り込むことを意識するようにしました。「君に頼んだらすぐに的確な対応をしてくれるから安心だ」と言われた時は、ようやくドクターの1人として認めてもらった気がしました。
先日も製造した加工品を巻き取る装置の改良について相談がありました。その装置は洗浄しながら製品を巻き取るのですが、「使用する洗浄液の交換時期をアラートとして出せないか」という内容でした。最も簡単なのは、洗浄状況を把握するセンサーの増設です。ただ、センサーを増設する工事期間中は生産を止める必要があり、増設後は、定期的にセンサーの確認作業が発生します。コスト及び生産停止期間に頭を悩ませました。検討を重ねている時に先輩からアドバイスされたのが、「巻き取り装置に装備されている既存のセンサーに、洗浄状況の把握と交換アラート機能が追加できるのでは」というアイデアでした。さっそくセンサーのメーカーに問い合わせたところ、わずかな時間とコストで機能追加が可能だとのこと。こうした+αの提案で要望に応え、「ありがとう、これで作業者のミスが低減できる」と、現場担当者の笑顔・喜びを見るたび、この仕事の手ごたえを感じます。



新たな視点からものづくりを捉え、
生産効率化をリードする。


現在は「生産プロセス革新プロジェクト」のメンバーとして、工場の生産効率を向上させるスマートファクトリー化を担当。自動搬送ロボットの導入に取り組んでいます。具体的には、手押し台車での天箱や製品の運搬作業を、AI機能搭載のロボット搬送機の導入で自動化するもの。人と搬送機が対峙した時はAI機能で衝突を回避するなど、目的地まで自動・安全・確実に搬送します。従来、運搬作業は1つの作業として行っていましたが、100mもの距離を1日30~40往復も行っており、そのたびに作業者は生産作業を中断せざるを得ない状況でした。運搬作業をロボットに代替することで、作業者が生産作業に集中できる環境を創出し、生産効率を大幅に高めることを目指します。プロジェクトは最終テスト段階を迎えており、もう間もなく正式運用を開始する予定です。
本タスク完了後も「革新」をキーワードに、新たな視点から工場内のさまざまなものづくりを捉え、作業プロセスを変革するプロジェクトを進めていく計画です。この仕事は、提案したことが形になることで自身のモチベーションが高まるのはもちろん、生産性の向上に繋がって現場の担当者に喜んでもらえることが、より大きなやりがいに繋がります。今後も設備のドクターとして知見を蓄積しつつ、設備/プラントエンジニアリングに関連する電気や設備関連の資格を取得するなどしてスキルを磨き、生産の効率化をリード、そして挑戦を続けていきたいと考えています。

ある一日のスケジュール
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- 8:00
- 出社してメールチェック。必要なものにはメッセージを返信
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- 8:30
- 始業ミーティングに参加。工場連絡・行事予定・各スタッフの予定などを共有
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- 9:00
- 施工業者と現場でミーティング。対象設備の電源遮断、作業内容の確認後、着工に立ち会い
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- 10:00
- 製造部との定期ミーティングを実施。生産性向上を目的とした改善テーマの進捗状況を報告。その後、省力化に向けて検討している自動化について議論
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- 12:00
- 昼休憩。昼食後の雑談から仕事のアイデアを発見することも
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- 13:00
- 工事の現場を訪れ、進捗状況や安全性の確保を確認
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- 14:00
- 設計業務に着手。機械チームのアドバイスを活かして治工具設計を推進。改善に関する依頼事項にも対応
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- 17:00
- 工事の終業と進捗を確認。また、明日の作業予定を現場打ち合せ
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- 17:30
- 明日のミーティングで使用する資料を作成。改善関係の依頼事項を再度検討
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- 18:30
- 終業