WITH MATERIALS Vol.12
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社会環境やお客様のニーズに合わせタングステンの可能性を拡大可能性を広げるかとうゆうこ藤 優加子グループ全体で技術を磨き合い資源循環を促進していくどんなスクラップも処理できるリサイクル技術を目指す日本新金属株式会社秋田工場生産技術グループ2004年に日本新金属社に入社し、分析業務を中心に担当。2018年から生産技術グループ。現在サブリーダーとして各テーマの進□フォローを担い、特にタングステンの湿式精錬に関するテーマを担当。 私たちの仕事は、イオン交換などの技術を組み合わせてタングステンスクラップから不純物を取り除き、きれいなタングステンを作り出すことです。スクラップにはタングステンの他に、コバルトや、合金を作る際の添加材などさまざまな元素が含まれます。これらを国内唯一の湿式精錬技術で取り除けることが、秋田工場の強みです。 今後、タングステンリサイクルの「可能性」を広げるためには、予期せぬ不純物が入ったスクラップや処理が難しいスクラップも、戦力化していく技術が求められます。これまでの実績でさまざまな事例を経験し、大半は対応できるようになりましたが、時代の変化に合わせ、この技術を一層進化させる必要があります。 その□となるのが湿式精錬工程です。不純物を取り除くためにどの薬剤をどの程度入れるべきか、最適な条件の見極めが求められるため、これまで培ったノウハウや知見を活かし、手法を確立させていきたいです。 そして私は、タングステンの湿式精錬における環境対策にも取り組んでいます。アンモニア(NH3)を扱うので、秋田工場は排水中の窒素(N)量が多いという課題があります。窒素が増えすぎると、水質への影響が懸念されます。環境に配慮し、持続可能な形で事業を拡大するため、アンモニア窒素を回収して再利用していくことを目指しています。 私が現在取り組んでいる排水中のアンモニアの課題だけでなく、温室効果ガス(GHG)排出の少ないリサイクル技術を確立させるなど、社会からのニーズと方向性を合わせて、これからも業務改善に取り組んでいきたいと思っています。 私たちの役割は、タングステンリサイクルを促進、強化し、タングステンの安定供給を支えること。そのために今後、処理が難しいスクラップも処理できるよう、既存の技術をレベルアップさせていきます。これまで分析業務などでも経験を積んだことや、日々の学びを、今後の業務に活かしたいと思います。 そしてH.C.Starck社を加えたグループ全体でリサイクル技術を磨き合うことで、タングステン資源の循環を促進し、事業拡大に結びつけていきたいです。11

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