あらゆるスクラップをタングステン粉末に変える資源に変えるすがわらゆうと原 悠菅人長年の操業経験やノウハウを活かし最適なリサイクル処理を実現新規技術の開発に挑み、安定供給に貢献したいタングステン粉末日本新金属株式会社秋田工場生産技術グループ2018年日本新金属社入社。三菱マテリアルのイノベーションセンター出向を経て、秋田工場にて勤務。現在は新規リサイクルプロセスの開発に向け、社内外試験や大学との共同研究なども担う。 私は既存のリサイクルプロセスの生産性を高める技術改良・支援や、新規プロセスの開発を担っています。国内外で回収されたスクラップは、当社で選定、分析を行い、サイズや品位などを確認してから前処理、酸化焙焼を経て酸化粉末にします。この粉末を、湿式精錬工程によって不純物を除去し、乾式処理工程にてか焼、水素還元、炭化することでタングステン粉末製品(WO3/W/WC)を製造しています。 秋田工場の強みは、あらゆる種類のスクラップに対応できるリサイクル技術・湿式精錬技術・乾式処理技術のノウハウです。リサイクルの難しさは、さまざまなスクラップを「一定のアウトプット」に落とし込まなければならない点に集約されます。スクラップの種類によって処理のしづらさは変わります。当社は、長年の操業経験で培ったノウハウによって、リサイクル処理・湿式精錬・乾式処理を行い、どのようなスクラップであっても、一定のアウトプット、すなわち高品質のタングステン粉末を得ています。感性の高いオペレーター、判断の柔軟な工程管理者の両輪が織りなす成果です。 また、H.C.Starck社と連携し、よりグローバルに事業を展開できる未来に大きな意義を感じています。技術連携によって、お互いの弱みを補い合い、強みを磨き合い、さらには両社の技術を超えた新しいリサイクルプロセスを共同で開発できるかもしれません。こうした未来の可能性にわくわくしています。 タングステンを安定供給するためには、川上であるリサイクル工程の安定処理が何よりも重要です。目の前にある業務を愚直にこなすことこそが、中期経営戦略2030の実現に直結すると考えています。 採算性の観点から、現状、受け入れていないスクラップもあります。スクラップの集荷拡大に伴い、今後、これらの引き合いも増えることが予想されます。これらのスクラップも低コストで処理できるよう、新たなリサイクルプロセスの開発も求められます。既存技術の適正化に加え、新規技術の開発にも積極的に挑戦し、変化を起こしながら、タングステンの安定供給に貢献します。My Challenge10中経2030
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