WITH MATERIALS Vol.08
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LFV(低周波振動切削)「LFV」はシチズン時計㈱の登録商標です。LFV(低周波振動切削)技術は、シチズンマシナリー㈱独自の制御技術です。工具を切削方向に振動させ、その振動を、主軸回転と同期しながら切削します。その特長は、削る材料と切削工具を細かい振幅で強制的に分断できることで、これまでつながっていた切りくずが細かく分断された状態で排出されること。切りくずトラブルの防止や刃先温度上昇の抑制につながります。難削材とは、加工する対象物の材質そのものが削りにくく、加工が難しいもの。主な例としてステンレス鋼、チタン合金、耐熱合金などがあります。こうした難削材は、強度や耐熱性が求められる自動車産業や航空機産業で活躍しています。難加工とは、加工する対象物の形状や、新たな加工プロセスによって難易度が増した領域のこと。例えば、小径穴や深穴、緻密で複雑、微細な形状、高精度な品質を求められる加工などを指します。の穴を破かずに工具剛性を向上させる、という従来にはなかった大きな困難がありました。三菱マテリアルはこの細い螺旋状の穴を破かない独自のデザインを実現。工具の「頑丈さの向上」と「切りくず排出性の確保」を両立させることに成功し、お客様の製造効率を高める工具を開発することができました。 「従来の切削工具では、折れて破損することによる機械稼働率低下が問題でした」。開発に携わった佐藤さんはこう語ります。「破損を防ぐことが生産性の向上、品質の安定化につながります。私たちは従来の加工方法に加え、LFV(低周波振動切削)技術のような新しい加工方法にも対応した工具開発に挑み、お客様のものづくりに貢献しようとしました」。LFV(低周波振動切削)技術に対応した工作機械を確認する江波さん DVASは、このLFV技術を搭載したマシンに対応しています。LFV技術とは、金属を削る際に出てしまう、切りくずのトラブルを解消する最新技術。切りくずは長年、金属加工の障壁であり、工具に絡まったり、被削材を傷つけるといった課題がありましたが、LFV技術に対応したDVASを使用すれば、これらの課題は解決できます。 困難な開発に成功した裏側には、これまで業界初のユニークな技術を取り入れたドリルの製造や先進的な技術開発を行ってきた、現場の知見や試行錯誤がありました。 技術営業を担う江波さんは「私たちの使命は、お客様が現場で抱える課題を明確にし、解決できるソリューションを提供することです。そのためにTRISTARドリルをはじめとする、私たちの『商品力』を多くのお客様に知ってもらうために、工作機械メーカーや周辺機器メーカーとのコラボセミナーを始動させました。他社が追従できない商品力とソリューション提供で、中経2030の実現を推進します」と意気込みます。 佐藤さんは「私たちは、お客様が求める工具を迅速に届けられるメーカーを目指しています。小径穴、大径穴、深穴加工といったあらゆる要求に応える工具を拡充し、遅滞なく市場に供給する。さらに当社ならではの技術サポートを通して、工具の市場を拡大することで中経2030達成に貢献していきたいです」と意欲を語りました。工作機械に取り付けられたDVAS。細くて深い穴を加工することができる07「難削材」「難加工」とは?技術とは?

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