WITH MATERIALS Vol.08
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 小名浜製錬は銅製錬事業のほかにリサイクル事業にも力を入れています。例えば銅製錬プロセスを活用して、電子機器類の廃基板などに含まれる金や銀、銅、パラジウムといった有価金属を回収し、資源循環に取り組んでいます。私は元々、仕事を通じて循環型社会に貢献したいという思いがあり、当社に魅力を感じて入社しました。 私が所属する検定課分析係は、当社が受け入れている原料の成分分析、製造工程品の分析、出荷製品の分析といった幅広い分析業務を担います。私の担当する業務も、当社の品質保証と安定操業に直結する責任の大きな仕事だと日々実感しています。 銅製錬の事業では、銅鉱石に含まれる硫黄分を原料として硫酸や石膏も製造していて、これらは当社の主要な製品の一つです。現在、私はこの硫酸や石膏の製品分析と工程分析を担当しています。さまざまな器具や装置を使用して分析結果をまとめ、期限内にその結果を正確に報告することが求められます。分析結果は品質保証だけでなく、製造工程が正常に稼働しているかを判断するための極めて重要な情報です。 入社2年目の私が担当できる仕事はまだ多くはないですが、私の分析結果から製造プロセスの異常の兆候を発見し、不具合の原因解明につながったことがありました。先輩からは「異常が出る前に対処できたよ。ありがとう」と声を掛けられ、自分の職責を果たせたことに喜びとやりがいを感じました。 小名浜製錬の品質を守るために力になりたい。その思いで昨年10月に自主保全士2級を受験しました。自主保全では設備・装置の点検や整備を通じて、劣化を未然に防止すること、設備・装置の劣化を感覚ではなく定量的に測ること、設備・装置の特性を踏まえて維持・管理の標準化を行うことなどが求められます。まさに「自分の設備は自分で守る」と言える活動であり、自主保全士は製造業に携わる人にとって必要な知識・技能に関する資格です。 職場の先輩に勧められたことをきっかけとして自主保全士に興味を持ち、資格について調べるうちに自分の仕事に活かせるかも、と思って受験に挑みました。試験勉強と日々の仕事との両立は正直大変でした。何をどう勉強しようか迷っていた時には、職場の先輩から、実務経験を踏まえたアドバイスをもらいました。努力が実って合格し、さらには上位成績者に与多種多様な器具や装置を使用して、正確性が強く求められる分析業務に取り組む菅野さん。先輩の業務を見て学びながら働いており、職場の雰囲気については「皆さんの指導が丁寧で、風通しは良いと思う」とのこと。えられる「成績優秀者」という賞を頂いた時は、とてもうれしかったです。自主保全の知識・技能を学んだことで、「自分の設備は自分で守る」という責任感のもと、日々扱う設備の異常に対して、より鋭い目を向けられるようになりました。 銅は熱や電気をよく通すため、あらゆる電子機器になくてはならない素材です。近年、特に銅の需要は拡大しており、当社が生産する電気銅の需要も高まっています。そうした中、私の使命は担当する分析業務において迅速かつ正確に分析結果を報告し、品質保証と安定操業を守り続けることだと考えています。直接的に銅の製造に携わっているわけではないですが、私の仕事は当社製品に対する「信頼」を下支えしていて、それがひいては社会貢献につながると感じます。 私はまだ経験が浅く、使ったことのない装置や未経験の作業も多くありますが、まずは目の前の仕事をいち早く覚え、日々の業務で分析技術を磨き、先輩方のような一人前の分析者となることが今の目標です。そして将来は小名浜製錬の一員として、世界中から求められている銅の安定供給を支え、人と社会と地球のために貢献していきたいと考えています。15品質保証と安定操業を担う、責任の大きい分析業務「自分の設備は自分で守る」自主保全のスキルも磨く一人前の分析者として、銅の安定供給を支え続ける

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