WITH MATERIALS vol.05
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なぜ今循環なのか。CEO INTERVIEW022023年度から2030年度までを対象とした、三菱マテリアルの「中期経営戦略2030(以下、中経2030)」が、4月からスタートしました。その中で、注力していくテーマは「循環」です。なぜ今「循環」にこだわるのか。そして2030年の社会において、三菱マテリアルはどうありたいのか。執行役社長の小野が語ります。 三菱マテリアルは「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、社会に不可欠な素材を供給しています。この度、中経2030を策定するにあたり、2030年に向けた私たちの目指す姿を「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」としました。そして、その実現のために私たちが歩むべき道筋を戦略としてまとめたものが、中経2030です。 前中経では、事業ポートフォリオの最適化に取り組みました。これまで幅広い事業を展開してきた当社が、この先も社会にさらなる価値を提供していくためには、私たちの強みを明らかにし、経営資源の配分を整理する必要があると考えたのです。その中で、当社が注力すべきビジネス領域として導き出したのが、「資源循環の拡大」と「高機能素材・製品供給の強化」。 そして、それらに取り組むにあたり、キーワードとなるのが「循環」です。資源には限りがあり、それらを人と社会と地球のために無駄なく使うにはどうしたらよいか。近年は循環型経済に注目が集まっています。そこでは、再生・再利用しやすい製品の設計、製品の長寿命化、ものを共有するなどに加え、今まで活用されていなかった廃棄物を新たな資源と捉え、循環させていくことが、持続可能な社会をつくる上で欠かせません。こうした考えを「循環をデザインする」という新たに制定したビジョンに込めて、これからの事業に取り組むことにしました。 では、「循環をデザインする」とは、何をするのか。当社の役割は、長年のものづくりの技術とノウハウの蓄積により培われた高度な非鉄金属のリサイクル技術を活かし、金属資源を循環させるためのプラットフォームを構築すること。そして、そのプラットフォームに自らもプレイヤーとして加わり、価値を創出していくことです。 「なぜプラットフォーマーだけでなく、プレイヤーでもあるのか」「なぜものづくりの会社が、製品をつくる動脈型事業だけでなく、廃棄物から資源を取り出す静脈型事業にも注力するのか」――そう疑問に思われるかもしれません。しかし、静脈と動脈、その両方に取り組まないと知り得ない、社会のニーズがある。そして、それをものづくりの現場に活かし、付加価値の高い製品をマーケットに提供することが、バリューチェーン全体を成長させていくと考えています。 「循環をデザインする」というビジョンを体現する戦略と取り組みを、今号の特集、また次号以降でも継続して伝えてまいります。どうぞご期待ください。「中期経営戦略2030」は、Webサイトよりご覧いただけます。循環に

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