INTERVIEW 15

技術

生産ラインへのAI導入や自動化を急ぎ、
工場のデジタル化推進の最前線に立つ。

K.A
金属事業カンパニー
資源循環事業部 事業推進部 
家電リサイクル室 
自動化・システムグループ
2019年入社

(所属部署・役職、インタビュー内容は当時のものです)

EPISODE 01 見学した家電の
リサイクル工場で
見えてきた
未来の自分。

学生時代は、パラジウムの研究に従事していました。パラジウムは水素に反応する特性から、燃料電池自動車(FCV)向けのセンサ用途として注目されており、今後の成長分野になると考え、パラジウムと水素の反応に関する研究に取り組んでいました。
この研究を進めていく中で抱いたのは、パラジウムは埋蔵量が限られているため、FCV搭載で需要が拡大すると、いずれ枯渇してしまうだろうという危惧感です。そこから都市鉱山の有用性とリサイクルに興味を持つようになり、就職活動は「環境」と「素材」をキーワードに行い、早い段階で、三菱マテリアルと出会うことができました。
修士1年の時に参加したインターンシップでは、三菱マテリアルの管轄下にある家電リサイクル工場を見学。家電の処理から素材の回収に至るまで、自動化によって作業者の負担を低減した上で実現しており、その仕組みに大きな興味を持ちました。そして、いつか自分の手で自動化技術を開発し、作業員の負担がより少なく、より精緻なリサイクルシステムをつくり上げたいと思ったことが、入社を決断するきっかけになりました。

EPISODE 02 現場で
突き付けられた
「2%」という
数値の意味。

入社後は、希望通りリサイクル現場の自動化プロジェクトに携わることができました。家電リサイクル工場内のベルトコンベア上を流れる洗濯機やエアコン室外機の解体部品を、自動で検出して分別回収する自動ピッキングロボットの実用化に取り組みました。
私が任されたのは、ロボットの目になる画像認識技術の開発です。人間と同様に判断して仕分けるためにはAI技術が必要になると考え、Webサイトや外部の講習などから情報収集しつつ、学習モデルを構築、実装していきました。2週間に1回のペースで工場に出向いて、実際にシステムを稼働させ、未検知や誤検知の発生状況を見ながら追加学習を行って、徐々に精度を高めていきました。約8ヵ月後には、98%という画期的な精度を実現しました。
98%という数値に、我々開発サイドは大喜びしましたが、現場サイドが注目したのは、検知できないものがまだ2%あるということでした。「これではロボットによる労働代替は難しい」と不合格を告げられたのです。この悔しさが私の開発魂に火をつけ、さらに開発を推し進め、99.5%~100.0%の精度を実現しました。以後も定期的な学習モデル更新で、精度の向上に努めています。
私が所属している部署は、金属事業カンパニー資源循環事業部管轄下の工場のデジタル化推進も担っています。このため、現在はカンパニーが管轄する複数の工場に導入する統一された操業管理システムの開発にも携わっています。この取り組みで目指しているのは、現在、各工場で別々に運用されているシステムの統合を行い、全工場で共通利用できるクラウド版のシステムを開発、運用することです。クラウドの利点を最大限活用することで、各工場のシステム運用負荷とコストが削減できる上、高セキュリティな環境下でリアルタイムのデータを反映した情報のやり取りができるため、迅速な経営判断と実行が可能になります。
カンパニーの事業運営に大きく貢献するこのシステムも、土台は完成。各工場への順次導入を、始めたところです。

EPISODE 03 人手不足解消と
生産性向上に向け
自動化と
システム化を急ぐ。

いま、長期的な観点で取り組んでいるのは、現場と管理部門を含めた工場運営に関わる手作業の依存度を下げることです。
私たちが導入した自動ピッキングロボットは、作業者に代わって1日5トンの部品を分別回収します。また、私の入社以前に、別のプロジェクトで導入されたロボットは、それまで作業者が電動ドライバーで外していた薄型TVに使用されている200本のネジを自動で外します。こうした各種自動化システムの導入によって現場作業の省力化・効率化を図っていますが、より一層、導入速度を加速させる必要があると感じています。
背景としては、工場スタッフの高齢化があり、数年後の人手不足が明らかなためです。工場側も複数の対策を検討しており、自動化・システム化の導入は、その重要施策の一つとして認識されています。こうした理由から、ロボットや操業管理システムを導入した現場では、私たちと一体で現状を共有、分析し、より良い方向へ進めるよう、さまざまな提案活動も進めてくれています。次のブレークスルーに向けて必要なIT知識を幅広く身に付け、より有効な装置・システムを開発・導入し、省力化によって工場で働く人たちの働きやすい環境を実現したいと考えています。

MESSAGE

金属事業カンパニー資源循環事業部には、私のような金属をはじめ、地質、土木、建築、農学、化学など、多様なバックグラウンドを持つ社員が所属しています。数十年先を見据えて、異なる視点や専門知識からの意見をぶつけ合い、融合して、新規事業の立ち上げや技術開発を推進中。幅広いことに興味を持ち、新しいことに取り組み、楽しみながら成果をあげたいと考えている人にとって、これ以上のフィールドはないと思います。

SCHEDULE

9:00 社外との連絡をメールでチェック
社内の連絡は主にMicrosoft Teamsでチェック
10:00 チームミーティングで担当システム案件の内容を報告
12:00 昼休憩
13:00 DX推進の打ち合わせをコンサルティングファームと実施
14:00 新たに立ち上げるシステムの設計書を作成
15:00 協力会社からあがってきたシステムの受け入れテストを行い、設計書通りに仕上がっているかを確認
16:30 先日あがってきたプログラムの修正作業を実施 進捗をTeamsで報告すると他のメンバーから有意義なアドバイスが届いた
17:30 翌日に行うタスクを整理
18:00 終業