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◎焼成について

・純銀粘土の焼成について
焼成工程は、完成後の作品の強度、光沢に最も影響を及ぼす重要な工程です。
純銀粘土の焼結性(=純銀粘土の焼結のし易さ)は、粘土内の銀の含有量や銀の粒子径(大きさ)、形状に大きく依存します。PMCシリーズでは、用途、目的に応じた3種類の焼結性能を持つ純銀粘土を提供しております。
純銀粘土の焼成メカニズムを考えると、できるだけ高い温度で、できるだけ長い時間焼成することで、最も強度が強く最も光沢良い仕上がりが期待できます。ただし、時間に関してはある時間を過ぎると、性能の差がほとんど変化しなくなるポイントがあります。焼成条件として記載している時間は、このポイントです。
焼成が十分に進行した状態と不十分な状態の電子顕微鏡写真は、次のようになります。焼成が不十分の場合、銀の粒子が明瞭に観察され、隙間(ポア)が多数見られます。焼結が十分に進行していると、粒子同士が接着し、ポアが少なくなり連続した状態になります。

 
焼成が十分な場合   焼成が不十分な場合
・純銀粘土の焼成方法について
純銀粘土の焼成方法としては、当社では4種類の方法を推奨しております。それぞれの焼成方法の特徴は、次の通りです。なお、ここに記載されている焼成方法以外は、到達可能な温度、安全性に十分留意する必要があります。

焼成方法

特徴

外観

シルバーポット

PMC3専用の焼成用具。ポットは陶器でできており(アロマポットのような形状)、30gのアルコール固形燃料(一般に鍋用の熱源などに使われています)を熱源としています。固形燃料に点火し、火が消えれば焼成が終了です(10分〜15分)。簡単、安全、確実、安価な方法で、初めての方でも焼成の失敗が少ないお勧めの焼成方法です。1度に焼成できる作品は、重量で20g以内、大きさで40mm四方以内という制限があります。また、シルバーポット焼成では、温度制御ができないため、ガラスやスターリングシルバーとの同時焼成はできません。また、直火を使用することから、中空技法、転写技法(葉っぱなどにペーストタイプを塗布してその模様を写し取る技法)、純銀線や純銀パーツで細いものは、使用できません。シルバーポット焼成の最大温度は、700℃〜800℃のため、スタンダードタイプ、クイックタイプの焼成はできません。

ミニパン

PMC3及びクイックタイプが焼成できる焼成器具。卓上型カセットコンロ(2000kcal〜3500kcal、中心に炎の吹き出し口がないもの推奨)の上にミニパンをのせ、ガスコンロの火を付けるだけで簡単に焼成を行うことができます。危険防止と均熱を目的として作品を専用の網で覆う必要がありますが、この網に入る大きさであり、重量が50g以内であれば、作品の大きさ、作品数に制限はありません。なお、ミニパンでは、背の高い作品(最大で約3cm)や中子を使った中空作品、ガラスとの複合作品等の焼成は困難です。また、スタンダードタイプは焼成できません。

電気炉

900℃以上まで昇温可能でかつ温度保持機能がある電気炉が使用できます。すべてのタイプの純銀粘土が焼成できます。複雑な形状の作品でも、異素材との複合作品でも焼成することができます。最も焼成作品の条件に制限が無く、安全でかつ安定的に焼成できる手法です。

ハンディガスバーナー

ハンディガスバーナー(ヨシナガテクニカ製GT3000シリーズ推奨)の炎を、耐熱ボードの上に置いた作品に直接当てて焼成します。焼成具合を見ながら自分の手で焼成できるため、手作りの満足感が得られます。昇温速度が速く、炎の温度も銀の融点以上であるため、作品を溶かさないよう注意が必要です。なお、炎が拡散し作品が融点以上になりにくいタイプのハンディバーナーも販売されております。

・異素材との同時焼成方法について
焼成条件とマッチングすれば、異素材と同時焼成が可能です。異素材との同時焼成は、温度をコントロール必要があるため、電気炉を使用することをお勧めします。代表的な異素材との焼成条件は、次の通りです。

異素材 焼成方法、条件

人工石

キュービックジルコニア、合成ルビー、合成サファイヤは、同時焼成可能です。すべての純銀粘土に使用でき、各粘土の推奨焼成条件で焼成できます。

天然石

ルビー、サファイヤは物性上同時焼成可能です。すべての純銀粘土に使用でき、各粘土の推奨焼成条件で焼成できます。ただし、天然石は微量元素を含んでいるため、同時焼成した場合変色する危険性があります。また、熱衝撃によってクラック(割れ)が生じる危険性もあります。天然石を同時焼成する場合、これらのリスクがあることを必ず念頭に置き、できるだけ後付けすることをお勧めします。

純銀線、純銀製パーツ

すべての純銀粘土に使用でき、各粘土の推奨焼成条件で焼成できます。

925銀
(スターリングシルバー)、
950銀

PMC3のみ使用可能です。600℃で30分間焼成して下さい。600℃より高い温度で焼成した場合、925銀、950銀中の銅が酸化し、脆くなります。

真鍮、銅

PMC3のみ使用可能です。600℃で30分間焼成して下さい。600℃より高い温度で焼成した場合、真鍮、銅が酸化し、脆くなります。なお、600℃で焼成した場合でも、真鍮、銅の表面は酸化し、黒変します。サンドペーパー等で表面を研磨して下さい。

ガラス

軟化点*)が、焼成温度より高いガラスの場合、焼成前の形状をそのまま残すことができます。また、軟化点が、焼成温度より低いガラスの場合、ガラスが溶け表面張力で丸みを帯びた形状になります。ガラスと同時焼成する場合、歪点**)まで徐冷(ゆっくり冷やす)する必要があります。

陶磁器

原則、すべての純銀粘土に使用でき、各粘土の推奨焼成条件で焼成できます。種類によっては、熱衝撃に弱いものがありますので、その場合、徐冷する必要があります。

*)**)ガラスの物性値。使用する前に、調べておくことをお勧めします。

同時焼成できない異素材は、純銀粘土を焼成後、接着することで使用可能です。同時焼成できない素材の条件をまとめると、次のようになります。
・純銀粘土の焼成条件下で焼失するもの。(例:ダイヤモンド、木、プラスチックなど)
・融点が、純銀粘土の焼成温度以下のもの。(例:ロウ材、はんだなど)
・変形するもの(例:ガラスの一部など)
・変色するもの(例:天然石の一部、ガラスの一部など)
・熱衝撃に弱いもの(例:天然石の一部など)

 

・製作アイテム別推奨焼成条件
各粘土における製作アイテム別推奨焼成条件をまとめると次のようになります。
◎制作アイテム別推奨焼成条件(適切な強度を得る為の目安)

焼成温度(℃)

600

650

700

750

800

850

900

焼成時間(分)

5

PMC3

10

20

30

60

120

5

クイック

10

20

30

60

120

5

スタンダード

10

20

30

60

120


  制作可能なアイテム
  バングル、リング、ペンダントなど作成可能なすべてのアイテム
  リング、ペンダント
  ペンダント
  不適切な焼成条件

焼成条件を明確にするため、電気炉を使った場合の条件で記載しております。電気炉以外の焼成方法は、環境条件や被焼成物によって大きく変化するため、一概に言うことは困難ですが、目安としては次のようにお考え下さい。
シルバーポットの場合:750℃10分
ミニパンの場合:800℃〜850℃