プレスリリース

2016年11月24日

200℃動作保証の完全モノリシック構造「高温環境対応チップサーミスタ」を世界で初めて開発

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)は、従来の鉛はんだの代替材料である導電性接着剤※1を用いて自動車のエンジン周辺等の高温環境下で実装が可能な、200℃動作保証の完全モノリシック構造※2「高温環境対応チップサーミスタ」を世界で初めて開発し、本年12月から量産を開始しますので、お知らせいたします。

近年の自動車・産業機器市場では、安全性および環境性能の向上のため、各種センシング部品(センサーを利用して計測・判別する部品)を用いた電子化が進んでおります。なかでもエンジンやトランスミッション周辺に搭載される電子機器は150℃を超える過酷な環境で動作するため、電子部品の動作保証温度の高温化要求がより高まっております。当社がこれに対応するために開発した「高温環境対応チップサーミスタ TAシリーズ」は、完全モノシリック構造とすることにより、製品サイズを柔軟に変えられることから、今後携帯電話はもちろんのこと、自動車、産業用モータ・電源に至るまで、さまざまな用途で活用いただくことが可能です。

今般当社で開発した「高温環境対応チップサーミスタ」の特長は、次の通りです。

1.
車載パワートレイン、安全機器向けの製品で、AEC-Q200※3に準拠している。
2.
外部電極として、Ag/Pd(銀/パラジウム)電極材を新たに開発したことにより、高温環境下においても導電性接着剤との高い接合信頼性が得られる(図2参照)。
3.
高温環境下での安定性に優れた独自のサーミスタ材料と素子構造、加えて高信頼性の端子電極技術を一体的に組み合わせた完全モノリシック構造により、250℃で2,000時間放置しても抵抗値変化率が僅か「0.6%」と、高温環境でも高い信頼性を有する(図3参照)。また、製品サイズも柔軟に変えることができ、特に小型化に優位性を発揮する。

当社の電子材料事業カンパニーは、中期経営計画「Materials Premium 2016」における事業戦略として「ユニークで高付加価値戦略製品の短期開発と戦力化を実現するために、マーケティング主導による研究開発を推進」することを掲げており、今後も市場ニーズを先取りしたユニークで高付加価値な製品を開発してお客様に提供してまいります。

  • ※1
    導電性接着剤は、温度変化による基板と部品の熱膨張収縮が生じさせる応力を緩和し、高い温度サイクル寿命を有しており、高温環境下でも信頼性が高い。また、鉛フリーで環境にも配慮している。
    ※2
    完全モノリシック構造とは、サーミスタ素体を複合酸化物焼結体の単一材料とし、表面にガラスコート層及び端子電極を形成した一体構造のこと。
    ※3
    AEC-Q200とは、AEC(Automotive Electronics Council、大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーで作った車載用電子部品信頼性の規格化のための団体)が策定した、車載電装部品に求められる信頼性試験規格。
  • <新製品仕様>

    1.形名
    TA05-3N333F ※抵抗値は順次ラインナップ拡充予定。
    2.形状
    1005サイズ(1.0×0.5×0.5mm)
    3.公称抵抗値(25℃)
    33kΩ ±1.0%
    4.公称B定数(25℃/50℃)
    3,650K ±1.0%
    5.使用温度範囲
    -40℃~+200℃
    TAシリーズ サーミスタ外観 図1 TAシリーズ サーミスタ外観
    (画像をクリックして拡大イメージを表示)
    TAシリーズ製品構造図(断面) 図2 TAシリーズ製品構造図(断面)
    (画像をクリックして拡大イメージを表示)
    250℃放置 2000hr試験結果
(1回の試験あたり20個の試料を測定した平均値) 図3 250℃放置 2000hr試験結果(1回の試験あたり20個の試料を測定した平均値)
    (画像をクリックして拡大イメージを表示)

    以上

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