三菱マテリアル

プレスリリース

2016年9月26日

銅(Cu)と窒化アルミニウム(AlN)セラミックスの新接合技術を開発
~ 銀(Ag)系接合材不使用による絶縁基板の信頼性向上 ~

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)は、銀(以下、Ag)を接合材として使用しない、銅(以下、Cu)と窒化アルミニウム(以下、AlN)セラミックスの新接合技術(以下、新技術)を開発し、AlNセラミックス基板の両面にCuを接合した「AgフリーDBC基板(図1)」の試作対応を開始しましたので、お知らせいたします。

近年、パワーデバイスの高出力密度化に伴い、パワーモジュール用基板及び周辺部材への熱的・電気的負荷は格段に増大しております。特に、熱や電気による負荷の高い電気鉄道(電鉄)あるいは直流送電などに使用される電源制御用インバーター向けの絶縁回路基板として、高い熱伝導性・耐圧性を有するAlNセラミックス基板に、回路層として導電性の優れたCuを接合したDBC基板が広く用いられています。当社では、2016年度の電鉄あるいは直流送電用途のセラミックス基板の市場規模を年間約50億円、3年後の2019年度にはその1.4倍となる70億円と推定しております。この市場に対し、当社は新技術による「AgフリーDBC基板」の製品開発をさらに進め、2019年度に本格量産を開始し、2020年度には販売目標10億円を目指してまいります。

基板製造プロセスにおいて、従来技術ではCuとAlNセラミックス基板の接合には、通常、チタン(以下、Ti)等の活性金属を含んだAg系接合材を使用していますが、高湿度環境下で高電圧がかかると、電気化学的な移動現象が起こり、絶縁物表面をAgがシミ状あるいは樹枝状に成長してショートすることがありました。そこで、このたび当社が開発した新技術ではAgを含まない低融点Cu合金 とTiを組み合わせた材料を接合材として使用することにより、こういった問題の解決を含め、次のようなメリットを発揮する「AgフリーDBC基板」の試作対応を開始しております。

【AgフリーDBC基板の主なメリット】

従来のAg系接合材を使わないため、電極間の電気化学的な移動現象によるショートのリスクが低減され、パワーモジュール用絶縁基板としての信頼性が向上。
従来のAg系接合材に比べ、約200℃低い温度で接合することができる。

当社グループは、長期経営方針において、「ユニークな技術により、地球に新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するNo.1企業集団」となることを目指しており、独自の技術を活かした製品開発により、電力機器分野の発展にも貢献してまいります。

※ DBC基板はDirect Bonded Copper基板の略で、銅回路付きセラミックス絶縁基板のこと。

図1:新技術によるAgフリーDBC基板

新技術によるAgフリーDBC基板 (画像をクリックして拡大イメージを表示)
新技術によるAgフリーDBC基板 (画像をクリックして拡大イメージを表示)

以上

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