お知らせ

2017年4月 5日

東京理科大学理工学部工業化学科と湿式表面反応の解析技術を共同開発

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円、以下「三菱マテリアル」)は、湿式表面反応の解析技術を東京理科大学理工学部工業化学科 酒井健一 講師と共同で開発しましたので、お知らせいたします。

高純度銅などの湿式表面反応を活用する製品は、固体と液体の境目(界面)に金属を析出させる固液界面反応を利用して製造されています。固液界面の反応を制御するために、添加剤と呼ばれる水溶性の有機物を用いる場合が多く、添加剤は固液界面に存在してその効果を発揮します。しかし、水溶液中の固体表面を観察する技術は難易度が高く、得られる観察情報が限定的なため、添加剤が固液界面でどのような挙動をしているか解明することが困難でした。

このたび開発に成功した本技術は、原子間力顕微鏡※1を用いた液中での観察と、エネルギー散逸測定機能付き水晶振動子微小重量法※2および分光エリプソメトリー※3測定を組み合わせ、これらの情報を統合して解析することにより、今まで解明が困難であった固液界面において添加剤がどのような挙動をしているかを、より詳細に解析することに成功しました。本技術は、銅の更なる高品質化および高純度化に向けた研究開発に寄与するものと期待されております。

なお、本技術は2017年3月に開催された一般社団法人表面技術協会が主催する第135回講演大会にて発表されております。

当社グループは、「人と社会と地球のために」という企業理念を確実に実現していくため、2020年代初頭に向け、「ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー」となることを目指しております。今後も当社グループ独自の技術を応用することで、お客様のニーズに応える「新たなマテリアル」の開発、製造を進めてまいります。

※1.
原子間力顕微鏡
カンチレバーと呼ばれる極微小の探針で試料表面を走査し,試料表面の形状を観察する装置。真空状態でしか観察できない走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)と異なり、大気中、液体中でも観察することができる。
※2.
エネルギー散逸測定機能付き水晶振動子微小重量法
水晶振動子を使用して、その表面に吸着した物質の質量変化を測定する装置。液体中で使用することができ、ナノグラム(10億分の1g)の質量変化を測定することができる。エネルギー散逸測定機能がついているため、質量変化だけではなく、吸着した物質物の粘弾性に関する情報も得ることができる。
※3.
分光エリプソメトリー
物質の表面に光を照射し、物質に反射した光の変化から膜の厚さなどを測定する装置。光を通す膜のみを測定できる。測定したい膜が液体中に存在していても、その液体が光を通すならば液体中でも膜の厚さを測定することができる。(例外あり)
原子間力顕微鏡 原子間力顕微鏡 (画像をクリックして拡大イメージを表示)
エネルギー散逸測定機能付き
水晶振動子微小重量法
エネルギー散逸測定機能付き水晶振動子微小重量法 (画像をクリックして拡大イメージを表示)

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