お知らせ

2016年3月31日

東京大学との共同研究により金属とセラミックスの接合メカニズムを解明

三菱マテリアル株式会社(取締役社長:竹内 章、資本金:1,194億円)と東京大学 大学院工学系研究科 附属総合研究機構の幾原雄一教授、柴田直哉准教授、熊本明仁特任研究員、藤平哲也助教授らの研究グループは、原子分解能走査型透過電子顕微鏡法(以下「STEM法」)により、Al(アルミニウム)合金とAlN(窒化アルミニウム)基板の界面に単原子層のMg(マグネシウム)が偏析し、界面接合を強化することを世界で初めて解明しました。

当社は、パワーモジュール用の絶縁回路基板としてDBA基板※1を製造・販売しており、AlとAlN等の金属とセラミックスの接合は、このDBA基板の信頼性を左右するキーテクノロジーです。DBA基板は、接合に必要な温度や添加元素等、様々な条件の最適化によって、極めて強いAlとAlNの接合を実現し、ハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載されるパワーモジュール用絶縁回路基板として長い採用実績がありますが、今までAl合金とAlN基板という異なる材料が原子レベルでどのように接合するのかに関しては未解明な点も多く残されていました。

本研究では、1Å(オングストローム、10-10m)※2以下の分解能を有するSTEM法と超高感度なX線分析手法を高度に融合することにより、Al合金とAlN基板の界面における原子レベルの組成分布解析を行いました。その結果、Al合金とAlN基板の界面には、不純物であるMg原子が単原子層構造を形成していることを世界で初めて明らかにしました。また、この周囲には酸素(O)原子も層状構造を形成しており、数原子層レベルで複雑な界面層状構造が自己組織的に形成されることがわかりました。つまり、Al合金とAlN基板の界面は金属とセラミックスの単純な接合ではなく、本来は不純物であるMgやO原子が界面遷移構造を形成し、強固な接合を実現していることが明らかとなりました。

Al合金とAlN基板という異なる材料の接合メカニズムの解明は、金属とセラミックスを強固に接合するための原子レベルの指針を与えるものであり、今後のパワーモジュール用絶縁回路基板開発やその性能向上に大きく貢献することが期待されます。

なお、本研究の成果は、英国の Nature Publishing Group(NPG)が発行する学術雑誌「Scientific Reports」 に3月10日に掲載されているとともに、東京大学工学部より3月11日付でニュースリリースが発信されております。

当社は、今後もユニークな技術をもとに新たな素材・製品を創造することにより、循環型社会に貢献するNo.1 企業集団を目指してまいります。

<東京大学工学部プレスリリース>

http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_20160311135808110207131725.html

※1
DBA基板は、Direct Bonded Aluminum基板の略。アルミ回路付きセラミックス絶縁基板のこと。
※2
1Åは10-10m = 0.1ナノメートル(nm) = 100ピコメートル(pm)。原子や分子、可視光の波長など、非常に小さな長さを表すのに用いられる。

以上

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