都市鉱山の更なる活用に向けて
~金属資源の再生利用のために~

循環型社会の構築のためには、さまざまな廃棄物に含まれる金属資源、すなわち「都市鉱山」の有効活用が不可欠です。
三菱マテリアルグループは、優れた銅製錬プロセスを最大限に活かしながら、グローバルな視野で金属資源のリサイクルを拡大しています。

E-Scrapリサイクルの拡大

再資源化への機運が高まり、世界で発生増の見通し

家電やパソコン、スマートフォンといった電子機器類の廃基板(E-Scrap)には、金・銀・銅・パラジウム等の有価金属が高濃度で含まれています。それらは天然資源よりも効率良く有価金属を得ることができ、環境を棄損することのない「都市鉱山」*1として注目され、リサイクルの重要性が認識されています。
しかし、E-Scrapの再資源化に欠かせない製錬技術と設備を持つ企業は世界でも限られており、国によってはE-Scrapの発生に対して処理が追い付いていない状況です。
こうした背景を踏まえ、当社グループでは国内外からE-Scrapを積極的に受け入れています。直島製錬所(香川県直島町)と小名浜製錬(株)小名浜製錬所(福島県いわき市)で、熱エネルギーとして利用したうえで有価金属を回収、リサイクルしています。
2002年に発令されたWEEE*2指令により、廃家電・廃電子機器の回収率は世界的に上昇しており、E-Scrapの発生量も増大が見込まれます。当社は都市鉱山の活用を進めるため、海外からのE-Scrapの受け入れを更に拡大する考えです。

  • *1 都市鉱山:地上に蓄積された電子機器等の工業製品を資源とみなして「都市鉱山」と名付け、資源をそこから取り出すことを試みる概念。
  • *2 Waste Electrical and Electronic Equipment(廃電気電子機器指令):電子機器や電気製品の廃棄物のリサイクル促進に向けてEUが定めた指令。

「三菱連続製銅法」を活かしたE-Scrapリサイクル

当社グループの銅製錬所は、業界トップレベルの環境負荷低減を実現したユニークな銅製錬技術である三菱連続製銅法を強みとしています。これにより、他社に比べて圧倒的に低コストで効率良くE-Scrapを処理することができます。更に、従来の製銅プロセスでは避けられなかった亜硫酸ガスの漏煙が防止され、環境負荷の極めて低いシステムを確立しています。
また、E-Scrapリサイクルの処理能力は、秤量から分析に至るまでの前処理工程の技術や設備に大きく左右されます。その点でも、独自の製錬システムと長年培った多様な製錬・リサイクル技術を有する当社グループは、E-Scrapの種類を問わず幅広く受け入れ、処理することが可能です。

当社のE-Scrapリサイクル事業の特徴

  1. ① 優れたプロセス
    • 独自の「三菱連続製銅法」による安定操業処理
    • 他社(前処理炉+自溶炉)に比べて圧倒的なコスト競争力
    • 業界トップレベルの低環境負荷
  2. ② 幅広い対応能力
    • あらゆる種類のE-Scrapを受け入れ、貴金属の回収まで行う世界有数の処理能力
    • 金銀低含有品は乾式製錬で、金銀高含有品(少量多種)は湿式製錬で、どちらも処理可能
E-Scrapの受け入れ・処理工程

E-Scrapの受け入れ・処理工程

E-Scrapの受け入れ・処理工程

E-Scrapの受け入れ・処理工程

E-Scrapの受け入れ・処理工程

当社グループの取り組み実績

2014年度のE-Scrapの処理量は約8万t超でしたが、2011年度の約4万tからほぼ倍増しています。E-Scrapから回収した金の量は2014年度で約4tとなり、当社の金生産量の約1割に相当します。

重点成長戦略としてのリサイクル事業の強化

E-Scrapリサイクル事業のグローバル展開 E-Scrapリサイクル事業のグローバル展開

当社グループが長期経営方針のビジョンに掲げる“循環型社会に貢献するNo.1企業”の実現に向け、金属事業ではリサイクル事業の強化を重点成長戦略と位置づけています。
その長期ビジョンとして、直島製錬所、小名浜製錬(株)小名浜製錬所に加えて海外グループ会社のインドネシア・カパー・スメルティング社(インドネシア)を活用した、E-Scrapリサイクル事業のグローバル展開と処理力拡大を掲げています。金属資源の有効活用を進めることで循環型社会の実現に貢献し、製錬事業の収益力向上も目指します。

今中期経営計画においては、集荷面でのグローバル調達と受け入れ・処理面での能力増強に注力しています。グローバル調達については、欧州、北米、アジア圏からの集荷量を増やし、原料供給ルートの多様化と集荷エリアの分散化を図ります。2014年7月、当社は米国三菱マテリアル社内にE-Scrapリサイクル事業の拠点を開設しました。有望な市場である北米地域を足がかりに、更なる集荷量の拡大と対応の迅速化に取り組みます。
受け入れ・処理能力の強化については、2014年にE-Scrap持ち込み予約の新WEBシステムを導入し、受け入れ作業効率を向上させました。また、直島製錬所では世界最大規模となる約11万t/年のE-Scrap処理を実現するため、受け入れ・処理設備の増強を図っています。

世界から高く評価されるリサイクル事業で循環型ビジネスモデルを追求

近藤 隆雄金属事業カンパニー リサイクル部長(現・資源・リサイクル事業本部 バンクーバー事務所長)近藤 隆雄

WEEE指令や日本の家電リサイクル法の施行により2000年代から再資源化の取り組みが始まったE-Scrapは、年々発生量が増加しています。
当社のE-Scrapリサイクルは、金属事業カンパニーが最も注力する事業のひとつです。三菱連続製銅法が持つ圧倒的な優位性と高度な操業ノウハウを武器に、国内外からの集荷を急拡大しています。
含有金属を最大限まで回収し、環境負荷が低い当社のリサイクルプロセスは、世界の環境当局やリサイクル業者から高く評価されています。資源の有効活用を図る循環型ビジネスモデルを追求し、E-Scrapリサイクルで世界トップを目指します。

(部署名・役名は開催当時のものです)

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家電リサイクル事業の推進

グループの強みを活かし、循環型社会に貢献

当社グループは総合素材メーカーとして、社会に不可欠な資源や素材を提供してきました。そして、事業を通じて培ってきた技術やノウハウを活かし、多岐にわたるリサイクル事業を展開しています。
その注力分野のひとつである家電リサイクルでは、家電リサイクル法が施行される2001年より前から取り組みを始めました。現在は家電メーカーと共同で、全国5社6工場を操業しています。工場ではエアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機を受け入れ、分別・破砕を経て鉄や銅・アルミ等の非鉄金属、プラスチックといった資源を選別。それらの一部を当社の非鉄製錬所及びセメント工場でリサイクルしています。また、フロンガスや鉛等の環境負荷物質についても適正に回収、再資源化しています。更に最終処分場を必要としない製錬・セメント資源化システムを最大限に活用することで、循環型社会の構築に貢献しています。
2014年度は5社6工場で約230万台の家電をリサイクル処理しました。これは全国で処理された家電合計の約20%にあたります。回収された主な資源は、鉄スクラップ48,600t、銅スクラップ6,500t、アルミスクラップ2,800t、プラスチック類31,600tとなり、LCAで評価すると下表のような環境負荷削減効果が算出されます。

* Life Cycle Assessment:原料の採取から廃棄に至るまでの製品のライフサイクルにおける環境への影響を分析、評価する手法。

国内での家電リサイクルを推進するとともに、海外への展開も視野に入れ、取り組みを始めました。中国、インド、東南アジアにおいて家電リサイクルに関するニーズや法制面の情報収集を行っており、事業化を慎重に検討しています。2014年11月には中国・広州で開かれた国際会議で当社の家電リサイクル事業について講演し、家電リサイクルへの関心が高まっている中国で当社の高度な技術を紹介しました。

家電リサイクルによる環境負荷削減効果 (2014年度のLCA分析評価)

家電リサイクルを実施して、使用済み家電製品から回収した資源を新しい素材に再利用した場合

(使用済み家電製品を埋め立て処分し、天然資源から新しい素材を製造した場合との比較)

項目 実績値
CO2排出削減量 11.8万t
天然鉱物資源消費量削減効果 12万t
エネルギー使用量削減効果 5.6万t
埋立処分量削減効果 10.4万t

上表にはフロン回収による影響は考慮しておらず、回収フロン約500tをCO2削減量として換算すると約130万tとなる。

※ エアコン、冷蔵庫、洗濯機の冷媒フロン及び冷蔵庫の断熱材フロン

リサイクル関連拠点所在地

レアアース、太陽電池への新たな取り組み

当社は家電リサイクル事業で培った技術を応用し、レアアースや太陽電池等、新たなリサイクルの取り組みも進めています。
レアアースについては、省エネ性能の高いエアコンのコンプレッサーに使用されているネオジム磁石に着目しました。ネオジム磁石にはネオジム、ジスプロシウム等のレアアースが含まれています。当社は2009年から、ネオジム磁石のリサイクル技術開発に取り組み、磁石を効率的に回収するプロセスを実用化しました。ネオジム磁石はハイブリッド自動車の駆動モーターにも含まれており、今後回収量の更なる増加が見込まれます。
現在普及が進む太陽電池パネルは、2020年に全国で約2万tが廃棄されると予測されます。当社は2014年度からリサイクル技術の開発を始めましたが、使用済み製品からアルミ、銅、銀等の金属資源を効率良く回収、再資源化する技術の確立を目指します。

ネオジム磁石のリサイクル技術開発・実証でレアメタルリサイクル賞を受賞

当社及びパナソニック(株)が出資しているパナソニックエコテクノロジー関東(株)で実施してきた「使用済みエアコンからのネオジム磁石回収技術と実証」が、一般社団法人産業環境管理協会の2014年度のレアメタルリサイクル賞を受賞しました。経済産業省とNEDOの助成を受けてエアコンのコンプレッサーからネオジム磁石を回収するリサイクル技術の開発と実証を行ったもので、技術開発・実証の成果が高く評価されました。

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自動車リサイクルへの展開

家電リサイクルの技術・ノウハウを活用

従来、自動車のリサイクルは鉄スクラップの流通を主体に行われてきました。しかし近年、ハイブリッド自動車や電気自動車等の次世代自動車への移行により自動車の電装化が進み、銅やアルミ等の非鉄金属、ネオジム等のレアアース、貴金属の使用量が増えています。加えて、車体軽量化を実現した炭素繊維ボディ車も商業化が進んでいます。
こうした自動車産業の構造変化に伴い、今後自動車リサイクルビジネスの構図が大きく変わることが予想されます。こうした動向を踏まえ、当社は、家電リサイクル事業で蓄積した技術やノウハウを活かした自動車リサイクルを進めています。これまで回収されてこなかった部品や素材のリサイクルを実現するべく、2014年6月より自動車リサイクル企業に経営参加し、ハイブリッド自動車のモーターから資源を回収する設備を開発し、事業を展開しています。
更に、次世代自動車や今後普及が予想される家庭用蓄電池に使われているリチウムイオン電池についても、含まれているコバルト、ニッケルの有効利用を見据えた技術開発に取り組んでいます。輸送や処理における安全に配慮したうえで、集荷から最終処分までの一貫した処理システムの構築を目指しています。

高い技術と社内シナジーを活かし、事業展開を加速

山口 省吾資源・リサイクル事業本部 環境リサイクル事業部長 山口 省吾

2001年より開始した家電リサイクル事業は順調に推移しており、家電メーカーと共同で運営する5社6工場の市場シェアは20%に達しました。この経験で得た高度な技術を自動車リサイクルへと応用展開し、環境リサイクル事業の拡大を図ります。
今後は金属事業カンパニーとの連携をより一層深めるとともに、希少資源の回収や処理困難物の適正処理について技術開発を積極的に進めます。素材メーカーとしての特徴を活かした事業モデルの創造を通じて、自然の恵みである資源を大切に利用し、再生、再利用する循環型社会の構築に貢献したいと考えています。

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