第8回 ステークホルダーミーティング

新しい時代の要請にチャレンジし、
持続可能な社会に貢献するために
~ SDGsと事業の繋がりを中心に ~

ミーティング風景

社外有識者の視点で当社の取り組みを客観的に検証し、いただいたご意見を経営に活かすために、ステークホルダーミーティングを開催しています。8回目となる今回のテーマは「持続可能な開発目標(SDGs)」。外部環境をより長期の視点で捉えて企業の価値創造や持続可能性を検討することの重要性について、事業戦略や統合報告書のあり方も視野に入れ、有識者との意見交換を行いました。

開催日時 2017年3月23日(木) 13:00~16:00
開催場所 JAビル内会議室(東京・大手町)
三菱マテリアル
グループ参加者
飯田 修副社長執行役員(社長補佐、金属事業カンパニー プレジデント、生産技術・アルミ事業関係担当)
小野 直樹副社長執行役員(社長補佐、セメント事業カンパニー プレジデント、環境・CSR・資源関係担当)
鈴木 康信専務執行役員(経営戦略部門長)
木村 良彦常務執行役員(システム企画・技術開発関係担当)
松野 芳夫環境・CSR部長
岩田 卓環境・CSR部CSR室長
ファシリテーター 田中 信康 氏(株)オルタナ オルタナ総研事務局長(サンメッセ(株) 執行役員)

* 部署名・役名は開催当時のものです。

事業の対外アピール活用とともに、変革に繋がるビジョンの重要性。

蟹江 憲史 氏 慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科
教授
蟹江 憲史 氏

SDGsは事業を通じて社会課題を解決する取り組みを発信する際の世界共通言語であり、グローバル企業間の比較を容易にする"新しい物差し"となると考えています。今、世界で起こっているさまざまな事象の裏には、資源の有限性や気候変動等の社会課題が密接に関連しており、切迫した危機感があります。この危機感を踏まえてSDGsを自社でできる活動に繋げていくことは、企業の存在意義を高め、社会に幅広く伝えるうえでも大切になってくるでしょう。
ユニリーバ、ネスレといったSDGsに率先して取り組んでいるグローバル企業は、そうした対外的なアピールの仕方に長けています。E-Scrap処理世界一といった先進的でインパクトの大きい取り組みをされている御社も、活動をより効果的に伝えるために、事業活動とSDGsとのひも付けを行うことは有効だと考えます。また、SDGs先進企業の間では、SDGsに関する標準化や認証等の方向でデファクトスタンダード化を目指す動きも見られますので、御社も戦略的に検討を進められてはいかがでしょうか。
長期の時間軸で外部環境を俯瞰するため、SDGsの活用を統合報告書に結び付けるアイデアは、非常に興味深いと思いました。SDGsを活用してビジョンを語り、統合報告書でその進捗を測る・・・このふたつは事業活動を進めるうえで、車の両輪の役割を担うと考えられます。
SDGsは事業活動と世界規模での普遍的社会課題を結びつけるという点で便利なツールで、多くの事業領域がSDGsと関連してくると思います。SDGsの長期の視点で夢を語り想像力を働かせて、いかに面白いことをするかが重要で、逆にその夢があるから、皆が引っ張られるという部分もあると思うのです。
SDGsに関する国連のレポートのタイトルは"Transformingthe World"(我々の世界を変革する)というものです。実現可能性も大切ですが、一足飛びに変革に繋がるビジョンを掲げることも、これからの企業には求められています。

長期志向のESG投資は拡大見込み。SDGsでの長期課題の解決に期待。

河口 真理子 氏 株式会社大和総研
調査本部
主席研究員
河口 真理子 氏

社会課題の解決に向けて、多くのグローバル企業がサプライチェーンの変革を求め始めています。トヨタ自動車(株)の「環境チャレンジ2050」やApple 社の「RE100」(事業運営を100% 再生可能エネルギーで行うことを目標に掲げる企業のイニシアチブ「Renewable Energy 100%」)加盟がその代表例です。今後、環境や人権等の取り組みに関する要求が一層増大することが予想されますので、彼らが捉えている社会課題やSDGsの背景を認識する必要があると思います。
また、投資家は、SDGsを企業と社会課題を共有できるツールと捉え、企業の長期的な視点を評価できるという点から注視しています。投資家も短期志向と長期志向の二極化が進んでいますが、長期的なリターンを追求するESG投資は今後更なる広がりが見込まれます。
日本では2015年にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国連のPR(I 責任投資原則)に署名して以来、ESG投資への取り組みが本格化しており、株価の上下ではなく、配当や事業成長で判断する長期志向の投資が拡大すると、四半期報告が企業に与える影響は小さくなることが予想されます。一方、企業側も長期志向の投資家にアピールするために、自社の長期ビジョンや強みを掲げ、積極的にコミュニケーションを図ることがますます重要になります。
今回、御社の各事業部門の方々が手探りの中で「事業環境変化とSDGs」の繋がりを検討されたことに感心しました。SDGsという"新しいレンズ"を通すと、長期視点での課題がよりはっきりと整理できます。それらを踏まえ、「本当に重要な価値とは何か」について、御社の「創業時、先人たちが何を目指してきたのか」というところから議論し、「100年後にどうありたいのか」という視点で、検討されてはいかがでしょうか。
その際、手持ちの札のみで答えを出す近視眼的なリニア(直線)思考ではなく、現状に囚われない2次関数的な思考を持つことが重要です。そうした意味で、中央研究所の若手研究員だけで行われたという自由な意見交換は素晴らしい取り組みです。一見荒唐無稽に思えるような若手の発想をサポートする"野心的な姿勢"を大切にしていただきたいと考えます。

日本と欧米、双方の視点に立った戦略的活用への検討を。

藤井 敏彦 氏 独立行政法人経済産業研究所
コンサルティングフェロー
(多摩大学 ルール形成戦略研究所 客員教授)
藤井 敏彦 氏

SDGsは「世界中の企業が戦うための武器」のようなものだと考えています。ですから、どのような武器としてSDGsを使うべきかについて幅広く検討を進めることは、貴社にとっても有益なことでしょう。
その際、念頭に置いておくべきは、日本と欧米ではCSRやSDGsに関する解釈及びアプローチが大きく異なるという点です。日本では、これまで行ってきた活動をCSRやSDGsにひも付ける「事後的な正当化」が中心であり、確実にできることに取り組む、積み上げ方式のアプローチが主流です。一方、欧米では、社会課題解決に向けて高い理想を掲げ、実現不可能にも思える目標を宣言し、長期思考でその実現に向けて新たな事業創造や価値の変革に取り組むバックキャスティングのアプローチと、それらをストーリーとして語るコミュニケーション力が求められます。
日本的な考えでは欧米の手法は一見無責任に捉えられがちですが、現状の積み上げだけでは野心的な目標の達成や、新たな価値の創造は難しいのが実情です。グローバルな事業環境で大きな一歩を踏み出すために、日本と欧米、双方の視点を持ちながら、「戦略的に無責任になる」ことも必要ではないでしょうか。
そのうえで、自社の取り組みを統合報告書で開示・発信できると良いですが、最も重要なのは事業戦略だと考えます。「これから何をやるか」が読み取れるような統合報告書が企業報告の主流となると、企業はイノベーションの枠組みから再考を求められるでしょう。また、"イノベーション"を従来型の「製品・サービス/マーケット」の二層で捉える枠組みは限界を迎えており、これからは「製品・サービス/マーケット/制度・ルール/社会認識」の四層ピラミッド構造のうち、特に下二層の「制度・ルール/社会認識」をどう変革するかが鍵です。Uber社が爆発的にヒットさせたライドシェアのように、既存の概念や制度を変える製品・サービスが大きなイノベーションをもたらすのではないでしょうか。

図

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重要なご指摘として私たちが受け止めた点

  • 環境や人権面等でのグローバルな危機認識により、サプライチェーンにおいても顧客からの要請が今後増えると考えられる。全ての部門でSDGsや社会課題を認識し、外部環境変化へのリテラシーを高めていく必要がある。
  • SDGsは社会課題を解決する自社の取り組みを発信するうえでの世界共通言語であり、グローバル企業が戦うための武器となる。当社が展開する多様な事業とSDGsとの繋がりを理解し、各部門の暗黙知を発信する等、SDGsの活用方法について幅広く検討すべきである。
  • SDGsに取り組む際には、日本と欧米でSDGsの捉え方や取り組み方に差があるという点を踏まえ、双方の視点を持つことが求められる。
  • 当社の有する世界・国内トップクラスの事業について、グローバルに訴求できる戦略的なストーリーで示し、評価の向上に繋げることが重要である。
  • 既存の概念、制度を変える製品・サービスが大きなイノベーションをもたらすこれからの時代において、事業戦略を明確に発信することが重要である。

飯田 修 副社長執行役員 社長補佐
金属事業カンパニー プレジデント
生産技術・アルミ事業関係担当
飯田 修

小野 直樹 副社長執行役員 社長補佐
セメント事業カンパニー プレジデント
環境・CSR・資源関係担当
小野 直樹

第8回 ステークホルダーミーティング集合写真

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