紛争鉱物問題に関する取り組み

コンゴ民主共和国(DRC)及びその隣接国など、紛争が絶えない地域原産の鉱物が、人権侵害や暴力行為を行う反政府軍の武装資金源と化していることが大きな国際問題となり、OECD(経済協力開発機構)では、紛争地域及び高リスク地域からの鉱物のサプライチェーンにおいて人権を尊重するとともに、紛争への関与を回避するためのリスク管理を行うよう企業に求めています。
これらを背景として、2010年7月、米国「金融規制改革法」(ドッド=フランク法)が成立し、米国証券取引委員会(SEC)は、同国で上場する企業に対し、DRC及びその隣接国で産出される4鉱物(錫、タンタル、タングステン、金)について、その使用実績の有無や原産国の開示義務を課す規制を制定しています。

三菱マテリアルは、総合素材メーカーとして責任ある鉱物調達を目指しており、紛争鉱物問題への対応をグローバルなサプライチェーンにおける重要課題と認識し、本法の主旨を踏まえた活動を強化しています。
今後も、お取引先をはじめとするさまざまなステークホルダーの皆さまと連携し、紛争鉱物不使用に向けた取り組みを実践しながら、深刻化する資金洗浄による紛争の助長を防止し、人権侵害や暴力行為への加担を回避するなど、より責任ある鉱物調達に向けた取り組みを推進いたします。

責任ある鉱物調達・製錬事業者として

OECDやSECの動向と連動し、RMILBMAなどが、紛争鉱物問題(責任ある調達管理)に関するガイダンス等を策定しています。
当社グループでは、金、銀、及び錫を製錬する責任ある事業者として、これらの世界的な要請に対応するための取り組みを進めています。

金属事業カンパニー(金、銀、錫に関する取り組み)

当社金属事業カンパニーでは、2011年6月からEITI*1(採取産業透明性イニシアチブ)が進める「鉱物資源に関わる資金の流れの透明性確保に向けた活動」に支援表明をしてきました。
紛争鉱物問題に関しても、2012年から準備を進め、2013年8月以来、LBMA(ロンドン地金市場協会)*2から、「金」に関する紛争鉱物不使用の認証を継続取得し、「銀」について新たに運用を開始しています。
2014年2月から「錫」に関するRMIのRMAP*3認証を毎年取得しています。

  • *1 EITI:Extractive Industries Transparency Initiative 石油・ガス・鉱物資源等の開発に関わるいわゆる採取産業から資源産出国政府への資金の流れの 透明性を高めることを通じて,腐敗や紛争を予防し,成長と貧困削減に繋がる責任ある資源開発を促進するという多国間協力の枠組み http://eiti.org/
  • *2 LBMA:The London Bullion Market Association 金市場で流通する金地金の品質等を管理する協会 http://www.lbma.org.uk/responsible-gold
  • *3 Responsible Minerals Initiative(RMI)責任ある鉱物イニシアティブのResponsible Minerals Assurance Process(RMAP)認証(旧「Conflict-free Smelter Program」)

当社の「責任ある鉱物調達方針」に反する行為があった場合、「責任ある鉱物調達ホットライン」にご連絡ください。

三菱マテリアル金属事業カンパニー 責任ある鉱物調達方針

制定:2013年6月19日
最終改訂(改訂4版):2019年2月15日

金属事業カンパニーでは、金、銀及び錫の地金を製造しています。紛争地域等の高リスク地域における、人権侵害、テロリストへの資金供与、マネーロンダリング、不正取引などに係る原料調達は行っておりませんが、今後も不使用の徹底を図るため、金、銀についてはLBMA(London Bullion Market Association)のガイダンス、錫についてはRMI(Responsible Mineral Initiative)のRMAP(Responsible Minerals Assurance Process)に沿った管理システムを構築・運用し、定期的に第三者機関による監査を受けることとします。以下に金、銀及び錫に適用する当カンパニーの責任ある鉱物調達方針を示し、実践してまいります。

1. 総則
  1. (1)人権を尊重し、いかなる非人道的行為への直接的・間接的加担をも回避するため、武力紛争または広範な暴力または人々に危害が及ぶその他のリスクが存在するような、紛争地域および高リスク地域における勢力との関係が疑われるような鉱物を使用しません。
  2. (2)原料調達に関するリスク管理を行い、紛争地域および高リスク地域における当該勢力と関係のある鉱物であることが判明した場合は直ちに取引を停止します。
  3. (3)金、銀及び錫を含む原料調達管理の体制及び実施状況についての第三者保証を毎年取得して、その監査結果をLBMA(金、銀)及びRMI(錫)に報告します。
2. 管理体制と責任
  1. (1)鉱物管理の主管部署は金属事業カンパニー本社であり、製錬所が独自に調達する原料はありません。
  2. (2)当カンパニーが選任するコンプライアンス責任者は、関連部署を統括して管理システムを運用するなど、管理マニュアルで定めた権限を有し責任を負います。
  3. (3)当カンパニーが選任するサプライチェーン責任者は、管理体制全体を統括し、定期的にマネジメントレビューを行うなど、管理マニュアルで定めた権限を有し責任を負います。
3. 紛争地域および高リスク地域との関係が疑われる勢力からの原料調達における判断基準

当社が定めた紛争地域および高リスク地域における人権侵害、テロリストへの資金供与、マネーロンダリングや不正取引への関与が判明した、またはその可能性が高いことが判明した、金、銀または錫を含む原料の調達を、高リスクの原料調達と判断します。

4. 原料購入先に関するデューディリジェンス(以下「DD」という)の実施

金、銀を含む原料及び錫を含む原料の全ての購入先についてDDを実施し、リスク評価を行います。リスク評価の結果、サプライチェーン責任者が高リスクと判断した場合は原料購入の取引を停止します。

5. カンパニー本社購入原料のモニタリング
  1. (1)カンパニー本社で購入した原料は製錬所に供給されます。製錬所では、受入れる全ロットについて、現物確認、鉱量の測定、及び含有成分の分析が行われ、カンパニー本社が事前に提供する購入先提示の情報との整合性の確認を製錬所が行い、その結果をカンパニー本社へ報告します。
  2. (2)これら従来から実施してきた原料受入れに関するモニタリングシステムを、カンパニー本社における責任ある鉱物調達の観点からも活用し、鉱物混入の防止システムとして運用することとします。
6. 責任ある鉱物調達システムの運用
  1. (1)コンプライアンス責任者は、カンパニー本社関連部署及び製錬所に対して、各時点で必要と認められる状況に応じて教育訓練を実施します。
  2. (2)コンプライアンス責任者は、カンパニー本社関連部署及び製錬所に対して、少なくとも1年に一度の頻度でモニタリングを実施します。モニタリングでは責任ある鉱物調達システムに従って適切に業務が遂行されているか、逸脱がないかを評価します。
  3. (3)原料調達において、新たな購入先との取引が開始される場合は、その情報がコンプライアンス責任者に伝達されるシステムとし、鉱物混入の防止に努めます。
  4. (4)コンプライアンス責任者は、責任ある鉱物調達に関する全ての業務を記録に残し、5年間保存します。また管理マニュアルの文書体系は状況に応じて逐次改訂し、適正に管理するものとします。

日本新金属(株)(加工事業カンパニー所管)(タングステンに関する取り組み)

タングステンの製錬を行うグループ会社の日本新金属(株)では、中国の調達先製錬会社に直接出向くなど、紛争鉱物不使用の外部認証取得に向けた働き掛けを行いました。また、日本新金属社自身も認証取得に向けた準備を進め、2014年4月に「紛争鉱物マネジメント方針」を策定し、同年12月にはタングステンに関するCFS認証を取得しました。

日本新金属株式会社「紛争鉱物マネジメント方針」日本新金属(株)「紛争鉱物マネジメント方針」

タングステンの紛争鉱物不使用認証取得に向けて

川口 晃日本新金属(株)
取締役営業本部長
川口 晃

現在、中国産タングステン原料の世界シェアは80%以上に上り、当社でも中国からの調達が大きな比率を占めています。米国で成立した法令の主旨を中国の取引先製錬所に伝え、理解を得るには時間がかかりましたが、サプライチエーン全体での取り組みの重要性を粘り強く説明し、協力を得ることができました。
原料調達先との関係は一朝ータに作れるものではなく、諸先輩方が築き上げた信頼関係の賜物だと感じており、今後も取引先との関係を大切にしていきたいと考えています。

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